flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

「調査捕鯨」に参加してる乗組員の労働環境改善はどうすんの?

2011-05-22 21:08:58 | 捕鯨騒動
先月22日のことになるが、水産庁は「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」なる会合を開いていた。
↓の記事を書いた時点では、議事録が公開されてなかったのだが・・・。
・「調査捕鯨」に関する委員会のタイトルを間違えたかもしれない水産庁 (2011年4月26日 flagburner's blog(仮))

その第1回目会合の議事録(概要)が公開されてたのを忘れてたので、少しばかりネタにしておく(馬鹿)
・第1回 鯨類捕獲調査に関する検討委員会議事概要(2011年4月22日 水産庁;.pdfファイル)

とはいえ、この会合は最初から「調査捕鯨」を存続させるのが前提になっていた。
その辺は、谷川 尚哉中央学院大学法学部准教授と宮原 正典水産庁次長のやり取りでも示されていた。
以下、2011年4月22日?分水産庁『第1回 鯨類~』から(順番的に前後するが)、P7-P8 の一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○谷川委員 最初の趣旨のお話のところで質問してもよかったのですが、事前に送っていただいた開催要領の(案)では、「今後の鯨類捕獲調査のあり方
について」幅広い意見を聴くためにこの委員会を開催するとなっていたのですけれども、今日の資料では「鯨類捕獲調査を安定的に実施するため」に意
見を聞くためと変っているんですが、これは何か理由があるのでしょうか。

○水産庁宮原次長 この開催要領については、今日までいろいろな関係者のご意見もうかがう機会がございまして、やはり原案ですとはっきり申し上げて
捕獲調査をやめることを議論するのではないかというような誤解があるのではないかとか、あるいはかなり否定的なことをやるためにこの会議をやっているのではないかですとか、あとはシーシェパードという不法な団体が不法な行為によって大変不本意な状況に追い込まれたということについて、その結果としてやめるというようなニュアンスが出るとすれば対外的にマイナスになるのではないかというようなご意見もございました[おまけ1参照]。
そういうことでここでは「調査の実施」ということを掲げさせていただいたということでございます。

○谷川委員 ということは、農水省も水産庁も調査捕鯨はかねて水産白書にも毎年書いてあったし、IWCの場でも日本政府代表団は主張しているように調査捕鯨は実施するという前提でこの委員会もあるということで理解していい訳ですね。
水産庁や農水省の基本姿勢は変わらないということでしょうか。


○水産庁宮原次長 はい。
ただ、誤解がないように申し上げておきますけれども、ご意見については広くうけたまわるつもりでございます。
我々が最初から何かポジションを決めた上で、この検討会をしているというわけではないという部分もございますので、目的は目的でございますけれども、ご意見についてはあらゆるご意見をうけたまわるつもりでこの検討会を開いております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

また、この後の議事録で、宮原次長は「~この場では色々なご意見を頂戴するのが一番重要なことであると考えております」とも述べていた。
要は、「調査捕鯨」の今後に関して議論した、という形作りという意味でしかないようで・・・。


そんな性格を持つ会合だからか、内容が余りにもユルかった(+アレだった)ので、ネタにする側としてはにっちもさっちも行かないのが事実。
さしあたっては、会合の冒頭で触れられていた「調査捕鯨」の話からネタにする・・・。
以下、2011年4月22日?分水産庁『第1回 鯨類~』から、P.2 にある高成田 亨氏と森下 丈二資源管理部参事官のやり取り部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
議題(2)鯨類捕獲調査について

(資源管理部遠洋課花房課長から資料5[おまけ2参照]に基づき説明。)
○高成田委員 この資料は公表されるのですね。
この歴史の中で日本における組織的捕鯨について、和歌山県の太地町の博物館などに行くとパンフレットに「我が国で最初」と書いてあって、私もそうだと思っていたものですから、それとの関係はどうなっているのでしょうか。

○資源管理部森下参事官 どの時点をもって沿岸捕鯨が始まったかを定義するかによると思います。
鯨組というものが組織された時点をとるのか、あるいは網捕り式の捕鯨、その前は突き捕り式で網を使わなかったのですが、突き捕り式が網捕り式になった時点をとるのかということでその時点も変ってくると思います。
委員ご指摘のように、1600年代の時点で太地のほうでは組織された捕鯨がたしかに突き捕り式という形で行われております。
本日の資料ではたまたま網捕り式の鮎川浜のほうを記載しているということです。

○谷川委員 網捕り式も太地で始まったというのが定説なのではないですか。
○高成田委員 ちょっと時期が違いますね、1800年というのはちょっと遅すぎますね。
(以下略)
---- 引用以上 ----

森下氏の発言は、良くも悪くもどこかの国家が「公式の文化」を定める際に必要なことを述べてるのかもしれん。
ここでは、(国家にとって都合のいい形にするため)捕鯨文化とやらを「いつ」「どこで」始まったのかを示すってことだが。
そしてそれは、始まった経緯の異なる各地での捕鯨を「一つの」文化としてまとめる、という作業も裏で伴うわけで・・・。


話を戻す。
この後、会合は「調査捕鯨」の今後に関してしょうもない議論をしていた。
で、この会合の終盤になって、秋道 智彌総合地球環境学研究所教授が今後の会合に呼ぶ参考人に関する発言をしていた。
以下、2011年4月22日?分水産庁『第1回 鯨類~』から、P.10 に掲載された秋道教授の発言部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○秋道委員 参考人の選び方ですけれども、我々がこの人どうですかというようなことは、今のところはないと思うのですが、一般論として、科学者でも特に生態学関係で調査捕鯨にかなり批判的なご意見もあります。
北太平洋のミンクの胃袋を開けて人間と競合するというあのロジックを否定するような例がございます。
それから、何も致死的な調査でなくても生きたままちょっと肉片を取るだけでいいじゃないのという意見もあり、私もグリーンピースと論争したことがあるのですが、ここに書いてある科学者とはどういったことを想定されるのかもよくご検討いただいて、これは失礼な言い方ですが、御用学者みたいな人ではなくて純粋に生態学をやっている人の話を聞きたいと思います。
というのは、私は一番彼らに対して期待もしているのは、知床でフードチェーンというかそういう調査をやっている方がいますね、横浜国大の先生[引用者注]とか、あのぐらいでやっと食物連鎖もわかるので、先ほども話が出ましたが、南極海のような大きなところで生態系の解明ができれば、これは本当にすばらしいことだと思うので、調査捕鯨はそういう資源管理に関する本当にいい調査データをとれるということを世界に宣言するぐらいのことがなかったらだめじゃないかなと思います。
(以下略)

引用者注:「横浜国大の先生」ってのは、おそらく松田 裕之教授のことか。
↓松田教授の個人 blog
・横浜国大 松田裕之 公開書簡

松田教授は、長年知床周辺の動物や植物による食物連鎖についても研究してるようだが・・・。
---- 引用以上 ----

御用学者じゃない人、か。
純粋に生物学を専門分野にしてる研究者でも、御用学者なのかそうでないのかは口で言うほど簡単に線引きできないと思うが・・・。
つーか、秋道教授の発言は、今まで日本政府が「クジラ食害論」を喧伝してきたのにその根拠があまりなかったことの裏返しか。
「クジラ食害論」については以下参照(手抜き)
・「クジラ食害論」は人気がある仮説のようだ(2010年5月29日 ドイツ語好きの化学者のメモ)

今から(南極海における)食物連鎖について検証するってことは、実際の結果が出るまで何年かかるのやら(苦笑)


なお、今月17日に行われた第2回の会合については非公開で行われたため、水産庁は議事録を公開していない。
理由は、第2回会合の議題が南極海における「調査捕鯨」において行ってる Sea Shepherd 対策に関することだから、とのことだが・・・。
いっそのこと、Sea Shepherd を混乱させるために、議事録を公開する(Sea Shepherd 対策を公表する)勢いじゃないとダメじゃね?
で、翌シーズンの南極海における「調査捕鯨」では公表したものと全く異なる対策を取る、と。
無論、Sea Shepherd がそれに引っかかる保証は一切ないけど・・・。


それにしても。
こんな調子の会合だと、「調査捕鯨」に参加してる乗組員の労働環境改善について話題すら出ないんじゃないか、という心配が・・・。


おまけ1:不法と違法については、案外線引きが適当っぺぇ。
この辺は以下参照(手抜き)
・「違法」と「不法」の違いは?(2009年4月1日 nhk.or.jp)

不法行為云々を判断するのは個人の主観が影響するみたいだが・・・。


おまけ2:↓2011年4月22日に行われた会合の資料5
・資料5:鯨類捕獲調査について(2011年4月22日? 水産庁;.pdfファイル)

この中には、「捕鯨の歴史」が表で示されてたのだが・・・。
以下、2011年4月22日?分水産庁『資料5:鯨類捕獲調査について』から、P2『捕鯨の歴史』の前半部分を(略

---- 以下引用 ----
9世紀:ノルウエー、フランス、スペインで捕鯨が始まる。
12世紀:日本で手投げ銛を使った突き捕り式捕鯨が始まる。
1606年:太地(和歌山)で刺手組が組織され、手投げ銛による突き捕り式の組織的な捕鯨が始まる。
1612年:和田浦(千葉)でツチクジラを対象とした突き捕り式捕鯨が始まる。
1675年:太地で網捕り式捕鯨法が考案され、日本各地に伝搬し沿岸捕鯨が飛躍的に発展。
1712年:アメリカでマッコウクジラの捕鯨が始まる。
1838年:鮎川浜(宮城県)で鯨組が組織され、網捕り式による組織的な捕鯨が始まる。
(以下略)
---- 引用以上 ----

日本における捕鯨の歴史を記してるならともかく、ノルウェーやフランスなどにおける捕鯨の歴史に触れてるのはどういう理由なんだろうか?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。