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警察における取調べの実情について(2011年版):取調べ可視化へのアンチテーゼ?

2011-10-20 20:13:57 | 時事ネタ(国内)
今回は小ネタ。


なんか知らないが、警察庁が『警察における取調べの実情について(2011年版)』という報告書を出していた模様。
・警察庁調査:重大事件の6割、取り調べで重要証拠を発見(2011年10月20日 毎日jp)

色んな意味で判断に困るこの話。
さしあたっては、2011年10月20日分毎日jp『警察庁調査~』を全文(略

---- 以下引用 ----
警察庁は20日、容疑者の取り調べに関して都道府県警の捜査員に行った調査の結果を発表した。
捜査本部を設置した重大事件の6割は、取り調べによって重要な証拠が発見されている、との傾向がみられた。

 昨年中に解決した殺人などの捜査本部事件の容疑者86人(56事件)と、八つの都府県警の今年2月に検察の処分が終了した一般事件(交通以外)の容疑者397人について、取り調べの実情を調査した。

 それによると、捜査本部事件のうち、取り調べで重要な証拠が発見できた事件は32事件で57.1%。
複数回答で、発見された証拠などは遺体5件▽凶器などの犯行道具26件▽被害品10件▽共犯者解明の情報9件だった。
取り調べ初日から自白した容疑者は48人、2日目以降の自白は9人、否認・黙秘を続けたのは29人だった。

 逮捕前も含めた取り調べ日数は、一般事件の平均が5.7日、捜査本部事件17.6日。
取り調べ時間は一般事件15時間15分、捜査本部事件65時間31分。
取り調べ回数は一般事件10.1回、捜査本部事件41.0回だった。

 自白の理由について、捜査本部事件で最も多かったのは「取調官と容疑者の信頼関係」の68.4%で、一般事件の32.1%を大きく上回った。
担当者は「刑の重い事件ほど、自白を得るための信頼関係が必要となることを示している」と話している。
【鮎川 耕史】
---- 引用以上 ----

上の記事における 2つの強調部分が矛盾してる気がするのは俺だけか?


・・・で終わると問題があるので、今度は警察庁の報告書をネタにする。
・警察における取調べの実情について(2011年10月20日 警察庁;.pdfファイル)

一般事件と捜査本部事件では、被疑者が自白するまでの日数について割と似てる傾向があった。
以下、2011年10月20日分警察庁『警察における~』から、 P.5 の図表4 に掲載された自白の時期について引用しとく。
ただし、数字の単位は%。

*一般事件
自白率:85.6
開始初日:70.8
2~5日目:9.0
6~10日目:3.0
11~15日目:2.0
16日目以降:0.5
自白せず:14.4

*捜査本部事件
自白率:66.3
開始初日:55.8
2~5日目:7.0
6~10日目:1.2
11~15日目:2.3
16日目以降:0.0
自白せず:33.7


正直なところ、取り調べ初日で警察官と被疑者が信頼関係を築けるとは思えないのだが・・・。

にも関わらず、警察庁の報告書は 捜査本部事件での自白状況について不思議な論理展開をしていた。
以下、2011年10月20日 警察庁『警察における~』から、P.6~P.7 と図表7 の画面メモ(ややこしい)を(略


---- 以下引用 ----
(中略)
一般事件の自白の契機については、多い順に、自分に不利益な証拠が強固であるとの認識とするものが42.4%、罪の意識からとするものが41.8%、取調べ官と
の信頼関係からとするものが32.1%、情状への悪影響から自供した方が得策と考えてとするものが21.8%、説得力のある取調べ技術とするものが14.1%であった。
捜査本部事件の自白の契機については、多い順に、取調べ官との信頼関係からとするものが68.4%、説得力のある取調べ技術とするものが50.9%、罪の意識か
らとするものが47.4%、自分に不利益な証拠が強固であるとの認識とするものが 22.8%、情状への悪影響から自供した方が得策と考えてとするものが7.0%であった。

これらの結果から、一般事件では、犯した罪の意識と不利益な証拠が強固であるとの認識が自白の契機となったと見られるものが多く、取調べにおいて客観的
証拠を示し、また、犯した罪の大きさについて認識させることによって被疑者が自白に至るという例が多いものと考えられる。
また、取調べ開始初日に自白する割合が7割であるなど自白の時期が早いにもかかわらず、3割前後の取調べ官が自白の契機として信頼関係を挙げていることが分かる。
他方、捜査本部事件では、一般事件に比べ、不利益な証拠が強固であるとの認識から自白したと見られるものの割合は相対的に低く、取調べ官との信頼関係や説得力ある取調べ技術により自白したと見られるものの割合が高くなっていることから、客観的な証拠を示すだけではなく、被疑者の心情に訴えかけることによって、自白を促しているものとうかがわれる

(以下略)

↓図表7 の画面メモ
警察庁の報告書のP.7
---- 引用以上 ----

一般事件だと、自白の契機として取調官との信頼関係は3割程度なのだが・・・。
なんつー自画自賛(唖然)

というか、刑事事件でも取り調べ初日に自白した人が結構な割合を占めてるのに、信頼関係が自白の契機と考えるってのはどういう神経なんだ?
好意的に捉えて、検察による取り調べ過程の可視化(映像に記録するとか)に対するアンチテーゼとして、警察官(取調官でもある)がこういう評価を出した感が否めない。
それとも、これが警察官の本音なの?
色々謎である。


にしても。
被疑者が自白した理由についても、(元)被疑者自身から聴いた方がいいと思ったのは俺だけか?
あ、警察庁以外の人達が調査するってことで・・・。



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