去年の6月にメンバー2人が逮捕されて以来、活動が制限されてる感が否めない Greenpeace Japan。
そんな Greenpeace Japan が、このメンバー2人の公判前整理手続きに関してコメントを出してきたのだが・・・。
・法の秤は公平に ――グリーンピースの裁判、鯨肉横領の真偽を問えるか(2009年3月23日 greenpeace.or.jp)
2009年3月23日に行われたこの件に関する 2度目の公判前整理手続き。
ここでは、2009年3月23日分 Greenpeace Japan の声明から、公判前整理の結果について述べてるところを引用しておく。
---- 以下引用 ----
本日3月23日、青森地方裁判所で行なわれた第2回公判前整理手続きの協議で、国際環境NGOグリーンピース職員2名が調査捕鯨の不正告発のために鯨肉の箱を持ち出した行為について刑事責任が問われるべきかどうかをめぐり、弁護団が鯨肉横領行為の有無を訴訟審理の対象とすべきと訴えた。
これに対して、裁判所はさらに議論が必要とし、判断を保留した。
さらに、裁判所はこの点について、検察官側の意見を求めた。
グリーンピースは、鯨肉横領の究明は佐藤潤一と鈴木徹の行った行為の正当性や行為の倫理性、法益の均衡について判断するために不可欠として、今後も調査捕鯨に関わる情報開示とともに公正な裁判を求めていく。
本日の裁判所の対応に、海渡雄一主任弁護士は「さらに議論を重ねるという裁判所の姿勢に希望をつなげたい」と述べ、引きつづき、憲法と国際人権法の観点から公権力を監視する「国民の知る権利」を擁護していく決意を示した
(以下略)
---- 引用以上 ----
判断保留ね・・・。
なんか、裁判所が公判を引き伸ばして、Greenpeace Japan を身動きが取れない状態にしたいと思えなくも無い(苦笑)。
一応、海渡氏は「~希望をつなげたい」とか述べてるけど、裁判所的にはすでに結果を出してるかもしれないしな~。
その結果についてどうこう言える立場じゃないけど・・・。
で、この整理手続きについて、先月27日に検察が出した意見書への反論も Greenpeace Japan が公表していた。
・検察官提出意見書(平成21年2月27日)に対する意見書(3月23日)主任弁護士 海渡雄一(PDF,572k)(2009年3月23日 greenpeace.pr.jp)
↑の意見書で取り上げられていた検察側の主張は以下の 4つ。
・窃盗罪の適用が憲法21条[注1]に照らして合憲とされるにもかかわらず、[国際人権規約]B規約19条[注2]に抵触することはあり得ない。
・被告人両名の行為を建造物侵入・窃盗罪に問うことが、憲法21条に反するものでない事は論をまたない。
・被告人両名は、鯨肉横領事件に関する証拠を得ようと考え、鯨肉入り段ボール箱という『財物』を持ち出したものであるところ、[国際人権規約]B規約19条2項により保証されるのは『情報及び考え』を求める自由であり、他人の財物を窃取する自由まで含まれるものではない事は文理上明らかである。
・同条[世界人権規約B規約19条]3項において、『他の者の権利または信用の尊重』の目的のために必要とされる場合には、同条[世界人権規約B規約19条]2項の権利の行使について一定の制限が認められていることからも、被告人両名の行為が同条項により保証されるとは解されない。
随分検察官も国際人権規約のことを気にしていたようで・・・(謎笑)。
話を戻す。
Greenpeace Japan が公表した意見書への反論では、検察側の主張について沖縄密約事件等を上げて反論している(検察官提出意見書に対する意見書を読んでね)。
その上で、検察側が、2人のメンバーを建造物侵入・窃盗罪に問うことの「必要性」を証明しなければならない、と述べている。
以下、2009年3月23日分検察官提出意見書に対する意見書から、P.8 の一部を引用しておく。
---- 以下引用 ----
(中略)
今回提出された検察官の意見から、検察官は本事案について規約の解釈に違いがあるものの、その適用そのものについては異論が無いと解される。
よって、争点は規約の解釈に関わることになるが、規約 19条に基づいて「表現の自由」を制限し被告人両名を建造物侵入・窃盗罪に問うであれば、検察官はその「必要性」を証明しなければならない事になる。
この「必要性」の証明にあたっては、被告人両名の行為によって得られた公共の利益と比較して、被告人両名を建造物侵入・窃盗罪に問うことの法益の方が高いことを証明しなければならない。
(以下略)
---- 引用以上 ----
うはは。
Greenpeace Japan にしてみれば、検察が自分達の土俵で勝負に出てくれたって所だろうか。
確かに、(某ドラマで知ったけどw)被告となってるメンバー 2人が有罪かどうかの証明責任を果たすのは検察だしな。
さらに、この後検察官提出意見書に対する意見書では、メンバー2人の行為に基づく告発(鯨肉持ち出し)が公共性の高いものであったと述べている。
そして、この件に関して検察側が証明するべき事項について述べている。
以下、2009年3月23日分検察官(略)から、P.9 の一部を引用しておく。
---- 以下引用 ----
(中略)
また、被告人両名の行為を罰することにより、今後政府の税金の使い道についての不正を指摘しようとする国民の調査と表現活動に対して、萎縮効果を与えてしまうことの不利益も十分に考慮しなければならない。
検察官はこれらの事を考慮したうえで、被告人両名が告発のために証拠品として箱を持ち出した行為を建造物侵入・窃盗罪に問うことが民主主義社会において「必要」であることを証明しなければならないが、上記の意見書においてはその証明ができていないと言わざるを得ない。
よって、被告人両名が告発のために証拠品として箱を持ち出した行為を建造物侵入・窃盗の罪で処罰することは、規約19条によって被告人らに保証されている「表現の自由」に対する恣意的な干渉であり、同規約に反する。
被告人両名は無罪である。
(以下略)
---- 引用以上 ----
~民主主義社会において「必要かどうか」を、か・・・。
なんか悪魔の証明に思えなくも無い(苦笑)。
果たして、検察がこの件についてどのように証明するか見物だわな。
それにしてもこの裁判。
決着がつくまでにどれだけの時間がかかるのだろうか?
2009年4月3日追記:
以下の記事にtrackback を送信。
・グリーンピースメンバーによる「横領」鯨肉「窃取」が許されなければならない理由 (2009年4月2日 情報流通促進計画)
注1:日本国憲法第21条を↓から引用しておく。
・日本国憲法(houko.com)
---- 以下引用 ----
第21条
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵してはならない。
---- 引用以上 ----
注2:っていうか、国際人権規約 B規約(International Covenant on Civil and Political Rights)って何?
という人は↓参照。
・国際人権B規約(97年8月29日)
で、検察がしつこく取り上げていた B規約第19条の条文を以下から引用しておく。
・市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第三部(外務省)
---- 以下引用 ----
第十九条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。
この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。
したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。
ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
---- 引用以上 ----
そんな Greenpeace Japan が、このメンバー2人の公判前整理手続きに関してコメントを出してきたのだが・・・。
・法の秤は公平に ――グリーンピースの裁判、鯨肉横領の真偽を問えるか(2009年3月23日 greenpeace.or.jp)
2009年3月23日に行われたこの件に関する 2度目の公判前整理手続き。
ここでは、2009年3月23日分 Greenpeace Japan の声明から、公判前整理の結果について述べてるところを引用しておく。
---- 以下引用 ----
本日3月23日、青森地方裁判所で行なわれた第2回公判前整理手続きの協議で、国際環境NGOグリーンピース職員2名が調査捕鯨の不正告発のために鯨肉の箱を持ち出した行為について刑事責任が問われるべきかどうかをめぐり、弁護団が鯨肉横領行為の有無を訴訟審理の対象とすべきと訴えた。
これに対して、裁判所はさらに議論が必要とし、判断を保留した。
さらに、裁判所はこの点について、検察官側の意見を求めた。
グリーンピースは、鯨肉横領の究明は佐藤潤一と鈴木徹の行った行為の正当性や行為の倫理性、法益の均衡について判断するために不可欠として、今後も調査捕鯨に関わる情報開示とともに公正な裁判を求めていく。
本日の裁判所の対応に、海渡雄一主任弁護士は「さらに議論を重ねるという裁判所の姿勢に希望をつなげたい」と述べ、引きつづき、憲法と国際人権法の観点から公権力を監視する「国民の知る権利」を擁護していく決意を示した
(以下略)
---- 引用以上 ----
判断保留ね・・・。
なんか、裁判所が公判を引き伸ばして、Greenpeace Japan を身動きが取れない状態にしたいと思えなくも無い(苦笑)。
一応、海渡氏は「~希望をつなげたい」とか述べてるけど、裁判所的にはすでに結果を出してるかもしれないしな~。
その結果についてどうこう言える立場じゃないけど・・・。
で、この整理手続きについて、先月27日に検察が出した意見書への反論も Greenpeace Japan が公表していた。
・検察官提出意見書(平成21年2月27日)に対する意見書(3月23日)主任弁護士 海渡雄一(PDF,572k)(2009年3月23日 greenpeace.pr.jp)
↑の意見書で取り上げられていた検察側の主張は以下の 4つ。
・窃盗罪の適用が憲法21条[注1]に照らして合憲とされるにもかかわらず、[国際人権規約]B規約19条[注2]に抵触することはあり得ない。
・被告人両名の行為を建造物侵入・窃盗罪に問うことが、憲法21条に反するものでない事は論をまたない。
・被告人両名は、鯨肉横領事件に関する証拠を得ようと考え、鯨肉入り段ボール箱という『財物』を持ち出したものであるところ、[国際人権規約]B規約19条2項により保証されるのは『情報及び考え』を求める自由であり、他人の財物を窃取する自由まで含まれるものではない事は文理上明らかである。
・同条[世界人権規約B規約19条]3項において、『他の者の権利または信用の尊重』の目的のために必要とされる場合には、同条[世界人権規約B規約19条]2項の権利の行使について一定の制限が認められていることからも、被告人両名の行為が同条項により保証されるとは解されない。
随分検察官も国際人権規約のことを気にしていたようで・・・(謎笑)。
話を戻す。
Greenpeace Japan が公表した意見書への反論では、検察側の主張について沖縄密約事件等を上げて反論している(検察官提出意見書に対する意見書を読んでね)。
その上で、検察側が、2人のメンバーを建造物侵入・窃盗罪に問うことの「必要性」を証明しなければならない、と述べている。
以下、2009年3月23日分検察官提出意見書に対する意見書から、P.8 の一部を引用しておく。
---- 以下引用 ----
(中略)
今回提出された検察官の意見から、検察官は本事案について規約の解釈に違いがあるものの、その適用そのものについては異論が無いと解される。
よって、争点は規約の解釈に関わることになるが、規約 19条に基づいて「表現の自由」を制限し被告人両名を建造物侵入・窃盗罪に問うであれば、検察官はその「必要性」を証明しなければならない事になる。
この「必要性」の証明にあたっては、被告人両名の行為によって得られた公共の利益と比較して、被告人両名を建造物侵入・窃盗罪に問うことの法益の方が高いことを証明しなければならない。
(以下略)
---- 引用以上 ----
うはは。
Greenpeace Japan にしてみれば、検察が自分達の土俵で勝負に出てくれたって所だろうか。
確かに、(某ドラマで知ったけどw)被告となってるメンバー 2人が有罪かどうかの証明責任を果たすのは検察だしな。
さらに、この後検察官提出意見書に対する意見書では、メンバー2人の行為に基づく告発(鯨肉持ち出し)が公共性の高いものであったと述べている。
そして、この件に関して検察側が証明するべき事項について述べている。
以下、2009年3月23日分検察官(略)から、P.9 の一部を引用しておく。
---- 以下引用 ----
(中略)
また、被告人両名の行為を罰することにより、今後政府の税金の使い道についての不正を指摘しようとする国民の調査と表現活動に対して、萎縮効果を与えてしまうことの不利益も十分に考慮しなければならない。
検察官はこれらの事を考慮したうえで、被告人両名が告発のために証拠品として箱を持ち出した行為を建造物侵入・窃盗罪に問うことが民主主義社会において「必要」であることを証明しなければならないが、上記の意見書においてはその証明ができていないと言わざるを得ない。
よって、被告人両名が告発のために証拠品として箱を持ち出した行為を建造物侵入・窃盗の罪で処罰することは、規約19条によって被告人らに保証されている「表現の自由」に対する恣意的な干渉であり、同規約に反する。
被告人両名は無罪である。
(以下略)
---- 引用以上 ----
~民主主義社会において「必要かどうか」を、か・・・。
なんか悪魔の証明に思えなくも無い(苦笑)。
果たして、検察がこの件についてどのように証明するか見物だわな。
それにしてもこの裁判。
決着がつくまでにどれだけの時間がかかるのだろうか?
2009年4月3日追記:
以下の記事にtrackback を送信。
・グリーンピースメンバーによる「横領」鯨肉「窃取」が許されなければならない理由 (2009年4月2日 情報流通促進計画)
注1:日本国憲法第21条を↓から引用しておく。
・日本国憲法(houko.com)
---- 以下引用 ----
第21条
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵してはならない。
---- 引用以上 ----
注2:っていうか、国際人権規約 B規約(International Covenant on Civil and Political Rights)って何?
という人は↓参照。
・国際人権B規約(97年8月29日)
で、検察がしつこく取り上げていた B規約第19条の条文を以下から引用しておく。
・市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第三部(外務省)
---- 以下引用 ----
第十九条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。
この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。
したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。
ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
---- 引用以上 ----
調査捕鯨の実態を秘匿することによる国民の不利益についての検察側の見解が聞きたいもんです。
>~検察側の見解が聞きたいもんです。
う~ん。
どうも、「隠しても不利益なんて無い」の一点張りで終わりそうな気がしますが。
>総会まで身動きとれなくなると昨年と同じパターンですね(--;;
確かに、去年のメンバー2人の逮捕って、IWC の総会にうまいこと合っていたんですよね。
仮に公判の第一審が IWC2009 総会前に終わっても、検察が控訴して再び法廷闘争に・・・。
というのが私の心配してる点です。