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2010-06-04 19:49:09 | 捕鯨騒動
色んな意味で話題になっている映画『The Cove』の日本上映に関しては、自称「迷惑行動する保守」の方々が上映中止を求めていた。
そんな中、東京は渋谷の映画館が『The Cove』上映中止を決めたらしい・・・。
・反イルカ漁映画「ザ・コーヴ」東京公開が中止に(2010年6月3日 eiga.com)
・映画「ザ・コーヴ」上映中止 都内の映画館、抗議予告で(2010年6月4日 asahi.com)

『The Cove』上映に対する、自称「迷惑行動する保守」の方々による抗議とかについては以下参照(手抜き)
・映画『靖国』の騒動より性質が悪そう・・・(2010年5月19日 flagburner's blog(仮))

で、上映中止を決めたのは渋谷の『シアターN渋谷』という映画館。
公式サイトは↓
・シアターN渋谷

以下、シアターN渋谷の公式サイトから、『The Cove』の上映中止を決めた理由について述べてるところを引用する。

---- 以下引用 ----
2010.06.04
「ザ・コーヴ」上映中止のお知らせ
当劇場にて 6 / 26 (土)より公開を予定しておりました「ザ・コーヴ」(配給:アンプラグド)は、当劇場に対する度重なる上映中止を求める抗議の電話や、抗議活動の予告などもあり、劇場近隣施設並びに他のお取引先様にご迷惑をお掛けする可能性があること、そして何よりも本作品に限らず当劇場をご利用頂くお客様が安心して上映作品を鑑賞する環境を提供する事が難しいと判断し、誠に残念ではありますが、上映を中止することとなりました。

---- 引用以上 ----

いや、迷惑をかけるのは自称「迷惑行動する保守」の方々だから、映画館側に責任はそれほどないと思うが・・・。


ってのはともかく。
なんかこの騒動って、2008年に映画『靖国』の上映を巡って起きた騒動と事情が結構似てるのよね。
ただ、映画『靖国』は文化庁の助成を受けていたという面で、より政治的な色が強かったけど・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・日本は検閲いらず(2008年4月1日 非国民通信)
・映画「靖国」上映中止問題の本質を問う~文化庁に問題あり!(2008年4月2日 情報流通促進計画)
・[時事][産経ヲチ]狂ってる腐ってる終ワットルそれが今日の産経「主張」!(2008年4月1日 土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪)
・[watch][media][sankei]「靖国」上映中止、各紙の社説。(2008年4月2日 黙然日記)
・ 阿比留瑠比記者と映画『靖国』(2008年4月4日 vanacoralの日記)
・有村議員、肝心な質問に「一切応えず」(2008年4月11日 vanacoralの日記)

で、今回の『The Cove』なのだが、幸か不幸か政治家の方々からの抗議はさほど来てないのよね。
(太地町の議員の方々は上映中止を求めたけど)
もっとも、この件について、赤松 広隆農水相(当時?現役?)は不思議な答弁をしていたけど・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・赤松 広隆農水相と伊東 良孝氏の不思議な答弁(2010/04/07)(2010年4月29日 flagburner's blog(仮))

今回はむしろ、自称「迷惑行動する保守」の方々によるしょうもない抗議活動の方が目立ってたりする。
しかも、実際に成果を挙げたもんだから、今後余計に調子づくこと請け合いだ。
なんてこったい。


それはそうと。
『The Cove』の手法とかについては、2010年6月号『創』で森 達也+綿井 健陽+想田 和弘の三氏が対談の中で色々語っていた。
この中では、『The Cove』の上映中止を求める活動の裏についても語ってるが・・・。
・上映中止が懸念されるドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」を論じる!森達也×綿井健陽×相田和弘(1/4)(2010年6月2日 Yahoo!ニュース)
・上映中止が懸念されるドキュメンタリー映画(中略)(2/4)(2010年6月2日 Yahoo!ニュース)
・上映中止が懸念される(中略)(3/4)(2010年6月3日 Yahoo!ニュース)
・上映中止が懸念(中略)(4/4)(2010年6月3日 Yahoo!ニュース)

この対談の中で特に気になったのが、日本版に存在するモザイクに関する議論。
以下、2010年6月2日分 Yahoo!ニュース『上映中止が懸念されるドキュメンタリー映画(中略)(2/4)』から、その部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
【森】この映画を見ていない人たちが批判する最大の論拠は、「盗撮という手法は許せない」ということのようです。
これについて、想田さんはどう思いますか?
アメリカ版では、漁師たちの顔にモザイクは入ってないんでしょ?

【想田】アメリカ版では入っていません。
それも僕は引っかかっているんです。
日本語版でモザイクをかけないことにこだわりがないというのはやっぱり、映画がツールになってしまっているということですよ。
漁をやめさせることが最終目的だから、それさえ叶えばいいということですよね。

【綿井】太地町から配給会社に抗議も来ていますが、映画製作者側はとにかく日本で上映するということを最優先にしたようです。
たとえ顔をモザイクにしてでも上映さえできるんだったらということで。
取材する側とされた側の二者間で折り合いがついているなら、僕はモザイク自体は、この映画ではあんまり気にしていないんですけどね。

【想田】映画をツールとして見れば気にしなくてもいいですが、でもドキュメンタリーの作家として見れば、もっとそこにこだわった方がいいと思うんです。
たとえば「ゆきゆきて、神軍」にモザイクがかかることを想像できますか。
モザイクをかけたら、まったく違う映画ですよね。

【森】モザイクよりも公開を優先したということなら、その瞬間に作品よりもプロパガンダを選んだという見方は確かに可能です。
僕だったらモザイクは絶対につけない。
でも日本で上映することを最優先にしたかったという監督の心情も、ある程度は理解できます。
……ここは難しいな。

【想田】でもね、たぶん監督にとって、モザイクがかかることはさほど都合が悪くないのでは。
というのは、モザイクをかければかけるほど、漁師たちは顔の見えない存在になっていく。
むしろ悪役に仕立てやすくなるわけです。

だからそれほどこだわる必要はない。
それも僕は、つくり手のプロパガンダ性を証左する部分だと思います。

 先ほど隠し撮りをどう思うか、ご質問がありましたが、僕個人としては隠し撮りだからダメだとは思いません。
隠し撮りで撮れるもの、隠し撮りじゃなきゃ撮れないものもあると思うので、それを最初から絶対ダメだと言うつもりはありません。
でもそれをやるには、いろいろなことを覚悟しなければならない。
隠し撮りというのは、被写体との関係性を放棄するということですから、そこには必ず断絶が映るわけです。
漁師のことなんて理解しようとしなくていい、という断絶。
善悪二元論の構図を象徴してます。
だからオバリーだって、せっかく興味深い人物なのに、結局「正義」のイデオロギーに回収されてしまっていますよね。

【森】僕はメッセージの正しさや主張の強さで減点するつもりはない。
「華氏911」だってそこに現れるムーアの思想については、僕はまったく同意します。
やはり手法を問題にしたい。
最終的にこの作品は、正義の味方的な二元論に回収されなかったと僕は思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----

『The Cove』に限らず、日本国内で映像作品にかけられてるモザイクの問題は、日本社会の在り方そのものに関わってくる話だしな~。
これについては、もっと深い議論が必要なところなのだが・・・。
(一応、3者の対談でもネタにされてるが、ここだけで終わって欲しくない所だ)


2010年6月5日追記:
『The Cove』の上映中止を決めた映画館が増えた模様。
・映画「ザ・コーヴ」、さらに2館上映中止 抗議予告受け(2010年6月4日 asahi.com)

ちなみに、自称「迷惑行動する保守」の方々は『The Cove』上映予定映画館に抗議を続けるらしい・・・。

映画館逃げて~(謎)


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