flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

映画『靖国』の騒動より性質が悪そう・・・

2010-05-01 18:18:05 | 捕鯨騒動
今回は Mukke さん↓経由で知った話。
・[デムパ]法治主義も言論の自由もかなぐり捨てて「行動」に勤しむ社会の敵ども(2010年4月30日 Danas je lep dan)

先月のことになるが、映画『The Cove』を日本で配給するアンプラグド(Unplugged)が、社長と本社周辺での抗議活動を「禁止する」よう東京地裁に申し立て、これを認める仮処分がいたとか。
これに対し、主権回復を目指す会など、自称「迷惑行動する保守」が怒りを露わにしていたのだが・・・。
・【街宣・第三弾】!『仮処分を粉砕して日本民族の誇りを守れ!』(2010年4月25日 せと弘幸Blog『日本よ何処へ』)
・声明文『仮処分を粉砕して日本民族の誇りを守れ!』 映画『ザ・コーヴ』上映は人種差別の扇動だ (株)アンプラグドの人種差別を粉砕せよ!(2010年4月24日 主権回復を目指す会)

元々えせ右翼(右翼標榜反社会勢力)の街宣行為を防ぐために取られている手段として、裁判所による仮処分なんてのが使われてるんだよな。
この辺は以下を参照↓
・えせ右翼の街宣行為(2009年4月27日 群馬弁護士会コラム)
・『エセ右翼-その実態と対策』を読んだ(後半)。「街宣禁止の仮処分」「損害賠償請求」をめぐって(2009年10月27日 りゅうオピニオン)

アンプラグドにしてみれば、自称「迷惑行動する保守」の方々はこのレベルでの対応をするべき相手、と判断したってところだろうか?


話を戻す。
で、この仮処分に対し、自称「迷惑行動する保守」の片割れである主権回復を目指す会(誰にとっての「主権」なの?)は、色んな意味でぶっ飛んでる声明を出した。
以下、2010年4月24日分主権回復を目指す会『声明文『仮処分を粉砕して~』を全文(嫌だけど)引用する。
読む前に頭痛薬の用意と身辺整理を忘れずに!

---- 以下引用 ----
平成22年4月24日
主権回復を目指す会代表 西村修平
東京都千代田区西神田1-1-2
パトリス26―502



 映画『ザ・コーヴ』の上映企画を強行する(株)アンプラグドは主権回復を目指す会と西村修平代表に、同社と同社社長・加藤武史の自宅近辺での街宣・抗議活動を禁止する仮処分を東京地裁へ提出、同地裁はこれを決定した。

 仮処分は日本国民への言論弾圧であり、民主主義を支える根幹に関わる重大な問題である。
国家権力を背景に国民の声を圧殺する(株)アンプラグドと加藤武史の仮処分をこのまま放置はしない。
なぜなら、言論の自由に対する由々しき挑戦であるからだ。


 加藤武史は試写会と称して、朝日新聞などの反日メディアのみを招いては頻りに前宣伝にこれ努めたが、この映画のデタラメを追及する我々には試写の場を設けないと居直っている。
何故、我々に対しては試写の場を拒絶するのか。
それは叩けば幾らでも埃が舞い上がるいかがわしい映画であることを、加藤武史自身がもっとも認識しているからに他ならない。

 映画では、水銀汚染を隠すためにイルカの肉を鯨肉として販売している等としているが、一体日本の海の何処が水銀に汚染されているのか。
誰が何処へ、その水銀で汚染された「イルカの肉を鯨肉」として偽り販売しているのか。
更に、その汚染された太地で獲れたイルカがわざわざ学校給食に出されているのか?

 ドキュメンタリーと称して、何から何まで捏造のデタラメが映画『ザ・コーヴ』だ。
最も許せないことは、イルカ漁で生計を立てている漁民を「可愛いイルカ」を無惨に殺戮する野蛮な日本人として印象づけていることだ。
これは単に漁民ばかりではなく職種を問わず、食の生産に携わる人々に対する許し難い人権侵害であり、許容できない差別である。

 鯨と並んでイルカ漁は、欧米白人らも行って食に与っているが日本人にはこれを認めず、わが民族を野蛮で卑しいとまでに演出している。
映画『ザ・コーヴ』は我が国漁民と日本民族を蔑視・差別する究極のプロバガンダ、人種差別映画でなくして何であろうか。

 国家の安全保障は何も軍事や経済ばかりではない。
国家を支える日本人としての民族的誇り、矜持でなくして、国民の生命・財産・安全は守れない。国家の名誉を守ることは個々の国民に課せられた使命でもある。
映画『ザ・コーヴ』は日本の名誉と誇りを傷つけることを目的にした精神テロ映画である。
上映を許すことは、テロ行為を放置することである。

 我々日本民族は、国民の生命・財産・安全、国家の名誉を死守するため映画『ザ・コーヴ』の上映をあらゆる手段を駆使して必ず阻止する。
国民に課せられた使命を実行するまでである。

 主権回復を目指す会は東京地裁へ、民事保全法第26条に基づく意義申立を行った。

 加藤武史と社員を含めた(株)アンプラグドに忠告する。

 仮処分の決定などで我々の強固な意志は微塵も揺るぎはしない。
主権回復を目指す会並びに<『語る』運動から『行動する』運動へ>は公言したことを必ず実行する。
---- 引用以上 ----

「一体日本の海の何処が水銀に汚染されているのか。」って?
確かに、環境省が出していた『日本周辺海域における海洋汚染の現状』で、日本の領海において重金属類は「 大都市圏からの負荷が沿岸域の堆積物に影響を及ぼしている。元来、自然に存在するものであり、沖合域においては人為的負荷が認められるレベルではない。」という記述があるのよね。
ただし、その状況は海域毎に異なるのだが。
とりわけ、日本海の割と韓国よりの海域の状況は(環境基準以下とはいえ)結構ヤバめらしい・・・。
この辺は↓を参照(手抜き)
・日本周辺海域における海洋汚染の現状(2009年10月?日 環境省;.pdfファイル)
・平成 19 年度海洋環境モニタリング調査結果について(2009年3月31日 環境省;.pdfファイル)

だが、これはこの意味不明な声明ではまだ「マシ」な方だ。
この声明で一番危険なのは、「~国民の生命・財産・安全、国家の名誉を死守するため映画『ザ・コーヴ』の上映をあらゆる手段を駆使して必ず阻止する。」という下り。
さながら、『The Cove』の上映を行う映画館に押しかけて強制的に上映中止させる勢いだ。
これってどう考えても、「国民の生命・財産・安全を守る」のでなく単に言論弾圧じゃね~の?
仮に実力行使で『The Cove』の上映中止を実現させたとしても、結局『The Cove』にハクをつける(日本で上映中止を求めるイカレた連中が出た、ってのは売り文句として上等だ)だけってのは日の目を見るより明らかだってのに・・・。
この声明を書いたお方は、映画『靖国』で抗議した際の失敗に何も学んでないのだろうか?
だとしたら、どこかの医者に診療を頼んでも横に首を振られること請け合いだ。


ま、アンプラグドへの抗議デモに参加してるメンバーの中には人として「終わってる」お方もいるからな(苦笑)
↓はその一例・・・。
・国内外からの反日テロに抗戦せよ! その3(2010年4月28日 新・極右評論)

この記事では、主権(中略)代表こと西村 修平氏の発言と鳩山(兄)首相の「日本列島は日本人だけのものではない」という発言を引き合いに、Binyamin Netanyahu イスラエル首相が世界中にいるパレスチナ難民の帰還権を認め謝罪と賠償を行う勢いの言説をかましていた。
以下、2010年4月28日分新・極右評論『国内外からの反日テロに抗戦せよ! その3』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
 つまり朝鮮人のための日本列島でもあり、支那人(中国人)のための日本列島でもあることを述べたのだ。
現在の日本は政権政党からして下はこざっぱ役人まで、外国の文化を崇めて受け入れる拝外(はいがい)思想に冒されている。排外とは正反対の拝外(はいがい)である。
 鳩山が述べたこの「日本列島は…」の部分は日本政府あるいは民主党政権、法務省にでも何省にでも警察にでも自衛隊にでも置き換えることが出来よう。
全て日本の公的機関であるのだから。

即ち「日本の警察は日本人だけのものではない」と置き換えてみたら、驚愕の未来像が到来するのは自明ではないか。
日本はダメで、それ以外は良いとする拝外思想に基づいてこのような発想が出て来ているのだから、それ以外…つまり外国人の中で最多を占める支那人のための警察でもある、という結論に至る。
 日本列島で日本人と支那人が争っても、どちらのものとしても存在する警察は常に中立にある…これを聞いて日本の警察は何と公正な存在なのか、と思う人もいるだろう。

 ところが「日本の警察は日本人だけのものではない」社会がいかに歪で、恐ろしいものであるかに気付かない時点で既に精神を侵されている。
日本の内閣・各官庁から各自治体、警察、自衛隊に至るまで日本人だけのものではないとしたら、国そのものが存立意義を失ってしまう。
 支那人であろうが朝鮮人であろうが誰でも出入りが可能でいかなる権利も容易に取得可能なら「日本国」として存在する理由もないわけで、無法地帯になって支那の自治区に収められてしまうのが末路だろう。
(以下略)
---- 引用以上 ----

「日本の警察は日本人だけのものじゃない」ってことを危険視するって・・・。
日本国籍保持者による、日本にいる非日本国籍保持者への犯罪は無罪ってことを言いたいのか?

そして、この後、この記事では件の抗議活動に関する本音と排外主義を支持する理由を述べた。
2010年4月28日分新・極右評論『国内外からの反日テロに抗戦せよ! その3』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
 そのような恐るべき事態にさせないとして良識ある国民が行動に立ち上がる「行動する保守」運動(後に「行動する運動」そして「行動する社会運動」へ)が台頭してきたわけだが、現に政府・警察と一般国民が対峙する状況が生じているではないか!

 アンプラグドへの抗議行動にせよ、一般国民が警察署へ抗議に赴くまで飛び火することが頻発している。
抗議するほうもやりたくてやっているわけではないし、署の正門玄関前で抗議を受ける警察官個々にとっても快いものではない。
 
 現行の国ぐるみが侵された拝外思想の下では官と民の双方が不幸になっている。
だから私は国を挙げた「排外主義」を説くものである!
(以下略)
---- 引用以上 ----

じゃ、抗議デモなんかやんなよ(毒)
そんな精神状態でデモを行うより、仕事をするか家で本でも読んでる方がよっぽど生産的だと思うけどな。
(ちなみに、俺は現在仕事がないので最初の選択肢はないけど)


なお、この騒動は、英語圏の方々にも伝わっていた模様。
・Protesters Demonstrate to Block the Release of 'The Cove' in Japan(2010年4月22日 TakePart.com)

日本にとっての逆宣伝だな(毒)



それにしても。
映画『The Cove』に関して、「反イルカ漁映画」というイメージが先行してる感が否めないのは俺だけか?
この映画とそれにまつわる騒動を通して、和歌山県太地町でイルカ漁が行われてるのを知った人達が結構多かったと思う俺。
ってことを踏まえれば、むしろ「太地町でイルカ漁が行われてることを宣伝する」映画と見ることもできなくもない・・・。


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