粗茶淡飯

中国・台湾・日本のお茶に関する色々。執筆者・徳田志保。

国産紅茶④

2016-07-28 23:23:44 | 国産紅茶(和紅茶・日本茶)



台湾での研修を持ちかけた理由はいくつかあります。

・インド紅茶を目指しても、不利な条件が多い。

まずはコスト。あちらは以前より上がっているとは言え、まだまだ安いです。そして茶樹(品種の違い)。日本が緑茶品種の開発を重視するように、あちらは紅茶をより良く作るための品種改良が進んでいて、日本とはあまりにも違う。

・中国紅茶は時期尚早?

1つの品種から、緑茶と紅茶を作る産地があるので、先々アテンドをしたいと思っていましたが、生産者として中国のお茶に正面から向き合うには、技術面以外のことで、いくつかのステップを踏む必要があると考えていました。

・台湾の日月潭紅茶なら…

まず、台湾という国に知日派が多いこと、この紅茶が日本人と深い縁があること。そしてここの作り方ならば日本人が無理なく導入出来るものがあること。

私がお茶に関連した専門用語も含め、中国語の通訳が出来ることもありました。

品種の違い、施肥の違い、栽培に対する考え方の違い、畑に関するありとあらゆることは、気候風土が違えば、何から何まで違います。

工場の設備もです。道具(機械)はもちろん、技術も大まかな動作から、小さな動作まで、出来る人の仕事には意味があります。

まずは、身体や五感を使ってお茶の作業を習得している生産者同士を会わせて、直に話を聞かせ、畑を見て、茶葉に触ってもらい、経験豊富で確実な技能を有した人材と交流させた方が早いと思いました。そしてすぐとは行かないまでも、生産者として、なるべく早く結果を出して周囲に理解してもらうには、この選択が1番の近道ではないかと考えました。

参加者には特段条件を出すことはありませんでしたが強いて言えば…助成金など他人様の懐をアテにして欲しくなかったので、「自分のお金で来るように」とだけ伝えました。(^_^;)

台湾側の人材選定も私なりの指針がありました。台湾紅茶の技術の習得は単なる通過点の1つと考えていたからです。そこで、日本語や英語が達者だったり、日本人に慣れ過ぎた台湾茶生産者は除外しました。
当時私が白羽の矢を立てた劉さんはその私の狙いに十分過ぎるくらい、応えてくれたと思います。参加者は保守的ではあるけれど柔軟な中華思想の持主である劉さんと、やりたい放題!?の私に振り回されながら、紅茶の製造に関する技術や周辺情報を順調に習得し、その動きは劉さん自身の訪日にも繋がり、最終的に2年連続の日台交流となりました。

次回⑤は、製造の話です。

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