しばらくの間、不眠に悩まされていた。
部屋の電気を消してベットに入り辛抱強く目を瞑る事4時間以上。
やはり眠れない。
そんな夜、ふと昔のある出来事を思い出した。
小さなバーのカウンターでバーテンの仕事をしていた23歳の私。
オーナーと私はそれぞれの昼間の仕事を終えると、夜にはそのバーに来て趣味半分、金儲け半分でお店をオープンする。
オーナーはカウンターに座りお酒を飲みながら常連客と話し、私はお酒係&その話の聞き役だ。
ある日のこと。
オーナーはさっきまで居た常連客を連れ他のお店へ飲みに出掛けた。
その夜はシトシトと霧雨が降り、夜の街には全体的に人影が少なかった。
しばらくの間私の立つカウンターにも誰一人としてお客の姿はなかった。
1人きりカウンターでお客を待つ私は、売り物ではない安いワインをロックグラスでチビチビ飲んでいた。
その時、1人の客が入店した。そのお客は2ヶ月に3回程度の出席率で来店する、30代後半の男性。
某有名ブランドのショップ店員であるその男性客は、渋くてお洒落な感じでもあるのだが、アパレル業界の持つ華やかなイメージとは裏腹に、何故かいつも淋しそうな雰囲気をもっている、至極無口な人だった。
無口なお客にとって「無言は心地よいもの」であり、私はこのタイプのお客には、無理に話しかけるような接客態度は控えていた。
しかし、その夜は男性客の方から話し掛けてきたのだ。
「最近、眠れないんです・・・」(男性客)
一瞬、独り言かと思ったが、すぐ返事をした。
「そうなんですか・・・それは辛いですね。」(fanshen)
「fanshenさんは眠れない夜はどうしてますか?」(男性客)
「そうですね・・・私の場合よくハーブティーなんかを飲みますよ。リラックスして眠りに付きやすくなります。」(fanshen)
実はこれは全くのウソだった。
当時、9時~25時まで働き詰め、その後朝まで飲んだくれていた私の辞書には「不眠」の二文字は皆無であった。でも、枯れ果てた知識の泉から出来る限りの情報を引き出し、何とか答えたのだ。
「実はハーブティーも試してみたんですけど、やっぱり眠れなくて、でも薬も飲む気がしなくてね。苦笑」(男性客)
「でも、人って匂いに敏感ですよね・・・例えば、昔懐かしい何かの匂い・・・お母さんが作ってくれたお菓子や風邪をひいた時に食べた桃缶の匂いだとか、そんな子供の頃の懐かしい匂いのするもを、眠る前に食べたり芳いでみたらいかがですか?」(fanshen)
実はこれで不眠が解消できる確証はなかった。
でも、いつも無口な男性客がポツリとこぼしたその想いをどうにかして拾ってあげたいという気持ちから、私はそんな返答をしたのだ。
「ええ、そうですね。それってとてもロマンチックですね。今夜試してみようかな。」(男性客)
「ぐっすり眠れるといいですね。」(fanshen)
私の思い付きの一言にその男性客は思いやりの一言を返してくれた。
その後男性客は2杯目のワインをお代わりして、また黙ったまま静かに飲んだ後、帰っていった。
と、こんな出来事を思い出し眠れぬ夜を過ごしていた私は、あの夜、あの男性客はどんな「懐かしい匂い」を思い出し、眠れぬ夜を乗り越えたのだろう、また果たして乗り越えられたのだろうか・・・と今になってかなり遅すぎる心配をしていた。
そして私にとっての「懐かしい匂い」はなんだろう、と遠い昔を思い出してみた。
お祭りの屋台で売られていたニッキの香り、母が作る大学芋の甘い香り、それから、それから・・・・
・・・気が付くと私は、久しぶりに深い眠りにつくことができたのでした。
左薬指がタイピングで不得意なんだよね。
今の私は、眠れるか・眠れないか、かなり真剣勝負なので
その至福を味わう余裕がない・・・(涙)
スイーツを食す時の貴方の至福顔は
「いやわせ食い」のエキスパートとして在るべき姿では。
本当、jeepwayはしやわせそうに食べるもんねー(笑)
あたしも眠れないことたまにあるけど、なんか、どうしようもないよね…
話は飛ぶけど、「至福」も睡眠時の表現、よいと思わない?
あたし的に「至福」のツートップは、眠りに落ちたその時と、おいしいものを(特に甘いもの)口にしたときだな、うん。
そうくるとは思わなかったくらいです。
HNの由来は・・・秘密ということで。
それにしても本当にレス早い。
でも私は、ペーさんに鼻の頭に付けたれたキンカンの匂いに
一晩苦しめられた、あの夏の日を忘れません。
ところで、HNの「ぺー」ってヨン様からとったの?
パッと思いついたのは夏の虫さされの友ウナ○ーワの匂いだった。
認めたくない思いで他のモノを考えたけど出てこない。
今夜の課題としてもう少し昔を思い出してみます。
S氏とはもう少しだけ年近かったよ。(笑)
せっかく涙してくれたのに・・・深謝。
にしても、私ってコメントのレス早いよね。
それだけ暇人ってコトですが・・・(涙)
そんな素敵な出逢いだったんですか?
なんだか涙が出そうになりました・・・