益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

日吉町森林組合の視察に行きました。(1)

2008年01月09日 | 普及員のつぶやき
 昨年の9月10、11日の2日間、
 提案型施業等の取り組みで全国的に有名な日吉町森林組合(写真1)を
 視察する機会がありました。


写真1 日吉町森林組合のある日吉町産業振興会館

 2日間と言っても、
 10日の16時半~18時半の1時間半
 11日の7時~8時の1時間の計2時間半です。

 今回の視察は、当ブログでも次の記事で紹介している
 アウトドアライターの天野礼子さんが企画されたものです。

平成19年 9月 3日付け 天野礼子さんと河原で鮎を食べました!!
平成19年 8月30日付け 天野礼子さん 来県!
平成18年12月18日付け「森里海連環学inかきのき村塾」に出席しました。(Uアマの報告)

 参加者は、10日朝7時に高知県を出発し、
 10時から岡山県の銘建工業、
 13時半から兵庫県の県営住宅(j.pod工法)、
 16時半から京都府の日吉町森林組合を視察し、
 翌11日は、朝6時半に起床し、
 7時から1時間の日吉町森林組合での座学の後、
 11時半から奈良県の清光林業を視察し、
 22時に高知県に到着するという濃密な視察です。

 私は、ちょうど夏季休暇中であったため、
 日吉町森林組合のみ視察させてもらいました。

 私は、余裕を持って日吉町(現南丹市)入りし、
 巨大な日吉ダム(写真2)を眺めながら昼食をとり、

 写真2 日吉ダム(でかい!)

 昼食後、日吉町内の森林や作業道を自分なりに見学し、
 15時過ぎには、日吉町森林組合に到着しました。

 緊張しながら、森林組合に入って挨拶すると、
 職員の方が、参事さんを呼んでくれました。
 日吉町森林組合の参事は、林業関係者なら皆さん御存知のとおり、
 全国の研修会やシンポジウム等で引っぱりだこで、
 当組合の顔とも言うべき、湯浅勲さんです。
 「わっ本物だ。」と思って、びびりながら、
 「島根県の益田事務所の大場です。」と自己紹介すると、
 「???あっ天野さんの関係ね。早かったですね。どうぞ。」
 中に案内してくれました。

 時間があるので、有名な森の道具屋を覗いてみました(写真3,4)


 写真3 森の道具屋正面


 写真4 森の道具屋店内

 森林組合としては、品揃えはかなり豊富で、
 山関係の道具だけではなく、
 鳥獣被害対策グッズ農業資材までありました。
 まるで金物屋小さなホームセンターのようです。
 これだけ商品があれば、「ちょっと組合に寄っていこか。」
 という人も結構いそうです。

 16時になり、私の後に、
 近畿中国森林管理局の日尾野局長さん、同じく販売課の細川課長補佐、
 兵庫県の山田林業の山田さんがいらっしゃったところで、
 「とにかく、時間がないから。」
 湯浅参事さんの説明が始まりました(写真5)。


 写真5 図面を広げ説明される湯浅参事さん(中央) 

 バス班は、まだ来ていません。不思議な参加者の取り合わせです。
 どう考えても、ぺーぺーの私一人が“場違い”で浮いています(苦笑)。
 
 まず、提案型施業の流れに沿った説明がありました。
 「森林計画図を樹種別・齢級別に色を塗り分けた図面です(写真6)。」
 「ピンク色の部分は、間伐が済んだ箇所です。」
 「この図面を見て、間伐する団地を決めていきます。」


 写真6 樹種別・齢級別の色塗り図


 「団地を決めたら、境界確認と作業道のルート設計をします。」
 「作業道のルートと境界を、
  1/1000図面に記入します(写真7)。」


 写真7 境界と作業道ルートの計画図 


 「ここまでやって、現場説明会を開きます。」
 「“負担なし”なら協力してくれる旨、所有者の承諾を取ります。」


 「団地の所有者の承諾が得られたら、森林の現地調査を行い、
  森林施業プラン(見積書+契約書)を作成します(写真8)。」


 写真8 森林施業プラン

 「契約後、施業実施して、所有者に完了報告します。」
 「施業実施後の森林の情報は、データベース化しています。」
 「データベースとさっきの図面で施業履歴が管理できます。」 
 
 林業関係者ではない方は、
 「森林計画図、森林施業プラン等、言葉はよくわからないが、
  契約の手順等、当たり前のことを言っているのでは?」
 という感想をお持ちになるかもしれません。

 しかし、
 広大な森林大勢の組合員が相手という森林組合の特性の中で、
 団地を設定して、施業の集約化森林所有者の取りまとめを行い、
 森林の現地調査結果に基づいた透明性の高い見積書
 森林所有者に提示して、施業を実施する提案型施業を
 全国に先駆けて行ったところが、
 日吉町森林組合が高い評価を受けているところなのです。

 当たり前のことが、なかなか難しかったのです。

 さて、長くなりましたので、続きは次回にします。


 投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ 
     主任林業普及員 大場寛文

 ~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~ 
  なつかしの国石見(いわみ)
 

      


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