マラ男 妄想編【５】

マラ男はホノルルマラソンのスタートラインに立っていた。


両ひざには頑丈なテーピングが施されている。

テーピングなしではほとんど歩くことも出来ないぐらいの激痛が走る。

そして両側には、同じくスタートラインに立ったＴとＭ。

そう、そのうちどうせ止めるだろうと笑っていた３人のうちの２人だ。

オイラのホノルル挑戦に触発され、マラ男ができるなら俺達もと、ひそかに走ってトレーニングしていたらしい。

つい先日まで彼らがエントリしていたことさえ知らなかった。

「一緒にゴールを目指しましょう。」
言わなくても、側にいるだけで伝わってきた。

本当ならＨも参加のはずだった。

どうしても抜けられない仕事が入ったＨは泣く泣く参加を断念した。

そのときはこれが、今日一番のサプライズだと思っていた。



ノリで宣言してしまった、いや、、、自分のために行ったダイエット宣言。

たしかに、、、

たしかに、、、

そう、たしかに後悔はあった。

無謀だって言う人もいた。

本気で怒る人もいた。

でも、、、

今のままでもいいじゃんっていってくれる人は誰もいなかった。


。。。やっぱだめなんじゃん。



１ヶ月ダイエットが成功するなんて信じてた人は多分いなかっただろう。

かなり健闘したが、目標をクリアすることは出来なかった。



走り始めた時は笑っている人のほうが多かった。

罰ゲームだから？

オイラ自身にもあったのかもしれないな。

そのうち皆忘れてくれるかもしれない。と。



書いたことは記録に残る。

誰に対する責任もないのだろうが、書いたことに対する意地だけで
モチベーションを維持してきた。


みんなの支えがあったからこそ、ここに立つことが出来た。

少しでも遠くへ、少しでも早く。

時間内にゴールできることさえ難しいといわれている。



スタート前、ゼッケンを受け取ったマラ男は、大きく鼻で息を吸い込み
口から大きく息を吐いた。


今日で全てが終わるさ。

今日で全てが変わる。

今日で全てがむくわれーる。

今日で全てが始まーるーさ。

がんがんに泉谷茂が頭の中で歌っていた。


スタート直前。

マラ男は急いで日本で応援してくれてるであろうみんなに宛ててスタート前のメッセージを書き込んだ。

「みんなのおかげでスタートできます。じゃあ楽しんできます。」ゼッケン０９１３より＞ＡＬＬ


見たことのない澄んだ青い空に一つだけ雲が浮かんでいた。



つづく
、、、かな。
つづかない
、、、かな。



第６話はダイエット成功したときの妄想編最終回としてＵＰしますね。
もしダイエット失敗の場合、第６話はＵＰせず、マラ男　ホノルル挑戦編第一話とします。