苗場物語 ５step

なんと。

若さなのか？腹の出具合なのか？

Ｎさんは私が苦労した、立ち上がりを難なくやっている。

すべりはじめたら、、、私と同様だ。

２－３秒滑ってはこける、滑ったはこけるを繰り返している。

でもなんとなく私よりも様になってないか？

そんなことを考えながら、私もすべりはじめた。

おお、最長不倒距離の更新だ。

どのぐらい滑ったのだろう。

自分のなかでは３０秒ぐらいは立ってたように思う。

最後は前に転倒した女性がいて、段々その人の方に寄っていってしまい、避けようとして自らこけた。

障害物がなければ、もっと進めたのに。

問題はそこからだった。

障害物を避けようとしてコースの右端にいってしまったため、立ち入り禁止区域が目と鼻の先に近づいていたのだ。

下はがけのようになっており、コースもがけに向かってなだらかに下っている。

なんとか立ち上がるも、ずるずるとがけのほうへ流れてしまう。

そんなことを繰り返していたら。

後ろから滑ってきたじいさんが私の５Ｍ前で止まり、ストックを置いてビデオを回し始めた。

滑ってくる仲間でも撮るのだろうか？

後ろを振り返っても誰もいない。

どいてくれよ。

前に障害物があったら滑れないんだよ。

それでなくても段々がけのほうに近づいててパニックなのに。

しばらくじいさんがいなくなるまでここで座って待っていよう。

しかしながらじいさんは私の方にビデオを向けたまま移動しようとしない。

は？もしかして私を撮ってる？

じいさんがオッサン初心者の苦悩に満ちた姿をビデオに収めて何が楽しいんだろう。

プライベートなので撮影は困ります。という芸能人の気持ちが良くわかる。

明らかに不快そうな態度をとるも、なかなかやめようとしない。

仕舞には肖像権の侵害で訴えるぞ。

怒りと動けない情けなさと強い日差しで顔が熱くなるのを感じていたとき。

Ｋさんが滑り降りてきた。

Ｋ「おー。どうした。大丈夫か？」

ああ、助かった。

「崖のほうに傾いていて、立ち上がったら寄っていってしまうんですよ」

Ｋ「向きを変えて。そして、左足をしっかり踏ん張ってみて」

やってみる。

２回ぐらいのトライでようやくその危険地帯から脱出した。

じいさんに最後の脱出シーンをビデオで撮られ、拍手までされながら。。。

降りたら、皆お待ちかね。山小屋にての昼ご飯タイム。

山小屋カレー１０００円。

大盛りは３００円増し。ここは普通盛りでガマン。

生ビール５００円。

想定内だけど高いな。

これでもかとらっきょをカレー皿に盛り、元を取る。

山小屋から見る景色は素晴らしい。

食べながら先ほどの屈辱を回顧。

あのじじい。

雪山以外であったら覚えとけよ。

でも、私の初スノボビデオダビングしてもらお。っと。

気分はラリホーラリホーラリルレロだ。

ビールで次第に調子よくなっていく私であった。


続く