エアーズロックに上ろうとして途中ギブアップした男。
もう一度チャレンジして達成しなけらばそのレッテルを一生持ちつづけなければならない。
あの時も怖くてひき返したんだ。
すごい風がふいてきて。
これが臆病風って言うものなのかと思った。
今はできるだけ登らないでほしいとの先住民の運動もあり、行けばチャレンジできるものではない。
多分もう登ることはない。
苗場のこのコース。
またくればいいかもしれない。
でもここで諦めたら、あの時と同じ思いが残るのではないだろうか。
行こう。何としてでもこのまま下まで降りよう。
1時間ぐらい起きてはすべり、休んでは起き。
崖に近づけばお尻と手で移動する。
段々暗くそして寒くなってくる。
何度目かのカーブでスキーヤーと衝突し、コースの邪魔をするなとしかられたところまではボードを履いていた。
ようやく、ほんとようやく、なだらかな場所に下りたところで携帯が鳴った。
Kさんからだ。
K「今、どのあたり?」
「今、プリンスハウスっていうログハウスの前あたりまで降りてきました」
K「あとどのくらいかかりそう?」
「そうですね。まだプリンスホテルが小さく見えますので、まだかかりそうです。マンションに移動してもらっててもいいですよ。降りたら連絡入れます」
そういって電話を切る。
ゲレンデマップを見ると、ここからは初級者コースが下まで続いている。
斜度よりもゲレンデの広さが安心感につながっていた。
筍平ゲレンデよりもかなり急坂であったにもかかわらず、難なくすべりはじめていた。
順調な滑り。
かなりの距離を稼いだな。
と思ったとき、コースの分かれ目にたどり着いた。
そこで見た、たて看板。
”初級者コース なだれのためクローズ。”
真っ青。
え?こっちのコースしかないの?これ何コース?
よくわからないけど、地図みて怖くなるより先を急ごう。
急坂を木の葉で滑り降りる。
いけるか?
と調子に乗った瞬間。
顔から雪に突っ込んでさらに急坂を5Mぐらい滑り落ちていた。
横で休んでいた外人が声高らかに大笑い。
そんなに大声で笑わなくてもいいじゃない。
彼にとっては日本でのいい思い出になったに違いない。
転げおちても進めればいい。
このまま、ここに座って待っていたら、救援隊がくるかも知れない。
待ってようかな。
いや、下で待ってくれてる人達をこれ以上待たせる訳には行かない。
そんな思いで何度もこけながら急坂を転げ落ちた。
下についた遭難者の風体の私。
歩くのもままならず、服にこびりついた雪を払う元気もなかった。
Kさんに連絡し、プリンスホテルの喫茶店で落ち合う。
皆を見つけたとき拍手されたりして涙出そうになったけど、待たせた申し訳なさ一杯で当分放心状態であったのだった。
続く
もう一度チャレンジして達成しなけらばそのレッテルを一生持ちつづけなければならない。
あの時も怖くてひき返したんだ。
すごい風がふいてきて。
これが臆病風って言うものなのかと思った。
今はできるだけ登らないでほしいとの先住民の運動もあり、行けばチャレンジできるものではない。
多分もう登ることはない。
苗場のこのコース。
またくればいいかもしれない。
でもここで諦めたら、あの時と同じ思いが残るのではないだろうか。
行こう。何としてでもこのまま下まで降りよう。
1時間ぐらい起きてはすべり、休んでは起き。
崖に近づけばお尻と手で移動する。
段々暗くそして寒くなってくる。
何度目かのカーブでスキーヤーと衝突し、コースの邪魔をするなとしかられたところまではボードを履いていた。
ようやく、ほんとようやく、なだらかな場所に下りたところで携帯が鳴った。
Kさんからだ。
K「今、どのあたり?」
「今、プリンスハウスっていうログハウスの前あたりまで降りてきました」
K「あとどのくらいかかりそう?」
「そうですね。まだプリンスホテルが小さく見えますので、まだかかりそうです。マンションに移動してもらっててもいいですよ。降りたら連絡入れます」
そういって電話を切る。
ゲレンデマップを見ると、ここからは初級者コースが下まで続いている。
斜度よりもゲレンデの広さが安心感につながっていた。
筍平ゲレンデよりもかなり急坂であったにもかかわらず、難なくすべりはじめていた。
順調な滑り。
かなりの距離を稼いだな。
と思ったとき、コースの分かれ目にたどり着いた。
そこで見た、たて看板。
”初級者コース なだれのためクローズ。”
真っ青。
え?こっちのコースしかないの?これ何コース?
よくわからないけど、地図みて怖くなるより先を急ごう。
急坂を木の葉で滑り降りる。
いけるか?
と調子に乗った瞬間。
顔から雪に突っ込んでさらに急坂を5Mぐらい滑り落ちていた。
横で休んでいた外人が声高らかに大笑い。
そんなに大声で笑わなくてもいいじゃない。
彼にとっては日本でのいい思い出になったに違いない。
転げおちても進めればいい。
このまま、ここに座って待っていたら、救援隊がくるかも知れない。
待ってようかな。
いや、下で待ってくれてる人達をこれ以上待たせる訳には行かない。
そんな思いで何度もこけながら急坂を転げ落ちた。
下についた遭難者の風体の私。
歩くのもままならず、服にこびりついた雪を払う元気もなかった。
Kさんに連絡し、プリンスホテルの喫茶店で落ち合う。
皆を見つけたとき拍手されたりして涙出そうになったけど、待たせた申し訳なさ一杯で当分放心状態であったのだった。
続く
いらっしゃい。
楽しんでもらうと私はうれしい。
書く気も起こるってもんですよ。
苗場物語、おもしろいっす。