Welcome! Mr.Enrico Steger その1

2011-03-27 22:15:25 | ジルコニア
去る3月10日、パシフィコ横浜会議センターにてEnrico Steger氏の来日講演が行われ、私もSteger氏に会いたい一心で行って来ました。

私のEnrico Steger氏との出会いは、今を遡ること28年前(1983年)のQDTに掲載された彼の論文を読んで感動した事に始まります。
その論文は当時多くの歯科技工士に大きな衝撃を与え、Steger氏は同年、京都国際会議場で開催された学術大会において初来日されています。

後にSteger氏は一連の臼歯部形成法を1冊の本にまとめ、故・織田正豊先生(この先生には学生時代に歯牙解剖を直接ご指導頂きました。)らの翻訳でクインテッセンス出版より「アナトミカル臼歯咬合面形成法」として出版されています。
その後、Enrico Steger氏はジルコニア・コピーミリングシステムやCAD/CAMの開発を手がけ、イタリアでZirkonzhan社のCEOとして活躍されています。

私は常々、Enrico Steger氏は「歯科技工の世界に降り立ったダ・ヴィンチのような人」と思っています。




23年も前のもので、ラボ開業以来従業員にも手本として使わせてきたのでもうボロボロ。
残念ながらこの本もすでに絶版とのこと。




Steger氏はドイツのマイスター資格を持ち国籍はイタリア。
ルネッサンスの彫刻と比肩されるほどの高い芸術性には今も感動を覚えます。



理論への準拠と模倣だけなら技工は単なる「技術」ですが、マイスターの技工にそれらを通り越した「何か」を感じるのは私だけでしょうか?
私はSteger氏をはじめL.A.Rinn氏などの論文や著書に早い時期から強い影響を受けましたので、私なりに我々の技工とマイスターの技工は何がどう違うのか、長い間考えてきました。

ドイツの歯科技工マイスターは、日本の紙切れ1枚の重みしかない名ばかりの国家資格しか持たない技工士とは全く違う存在です。欧州各国において彼らは患者との対面行為を許されており、自らの技工の正当性を確信しています。
また、マイスターの試験は生涯に2回しか受験できない超難関であることや、経営・経済までも試験科目であることなどもあり、その知識や見識には目を見張るものがあります。
そういう制度的な違いはともかくとして、やはり目指す付加価値の高さが違うのだと思います。
彼らには自分の作品は芸術である、という強烈な自負があるのです。


技工マイスターが主体性と感受性に冨んだクリエイターであることが、彼らの論文や著書から強く感じられる理由はきっとそういう事なんだろうな、と思います。

ですから、私はSteger氏が作り出す形態も天然歯の模倣ではなく、氏の見事なまでの主体性と感受性による歯牙形態の解釈の極致であると思うのです。






さて、夜もかなり更けてきました。この続きはまた近々・・・。



EVANSPRO Dental Laboratory






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