ただいま検討中

2009-03-29 20:06:21 | チタン関連
実験的に純チタン床にイオンプレーティング処理(窒化処理)をかけてみました。
初めての作業だったので、まだ若干の色ムラがあります。

イオンプレーティング処理とは真空ア-ク放電を利用し、陰極に取り付けた金属材料(チタン)を蒸気化・イオン化させ、窒素ガスと反応させて被処理物の表面に緻密な皮膜を形成させる方法です。
この処理によって形成される黄金色の皮膜はHv1200以上の硬度を有し、摩擦係数が非常に小さいのが特徴です。
当ラボでも今回、この皮膜の硬さは実感できました。
また、この皮膜は化学的に安定している事が知られています。
インスツルメントやカーバイド・バーにも応用されている事からも、その優れた性質はご理解頂けると思います。

歯科においては、窒化処理装置が歯科技工用として発売されていたのは20年ほど前のことで、その後はこの種の装置が発売されることはありませんでした。
チタン鋳造のブームが去ってからは売れる見込みが立たなかったそうです。ただ、一部の大手ラボではこの装置は現役で稼動しています。
ひょんな事でその装置が今、目の前にあります。

あくまでもまだ実験中で、装置の導入は鋭意検討中です。
さぁ、どうしようかなぁ~???。



EVANSPRO Dental Laboratory
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3D構造の金属床 その2

2009-03-07 23:53:33 | 義歯
3D金属床を蝋義歯に戻して、これから試適という状態です。
樹脂~金属の移行の微調整は重合後にも行い、完全なものにします。
金属床は研磨面を除いて接着処理が施され、歯肉色のオペークが塗布されていますので、デンチャーの色調が暗くなる事はありません。




EVANSPRO Dental Laboratory
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3D構造の金属床

2009-03-07 20:30:15 | 義歯
下顎総義歯の金属床の場合、設計に案外困りませんか?
金属床の利点として、その薄さからくる口腔内の広さが挙げられるのですが、この場合は義歯が薄くなるわけではありません。
その他の金属床のアピールポイントは「強度」「熱伝導率の良さ」、下顎の場合「重さ」を求められる場合もあるでしょうし、「高級義歯」らしいアピアランスも重要だと思います。
「しかし、」と誰もが下顎総義歯の金属床では疑問を感じながら作っていると思います。

と、いうわけで画像は当ラボの答えのひとつです。この金属床は、メタルラミネーテッドデンチャーとスケルトンを結合して3次元的な構造をもたせたものです。これは2つのパーツをレーザー溶接したものではなく、あくまでワンピース鋳造です。
下顎の金属床では妥協しなければならない点もありますが、私がやっている限りではこの設計がベストに近いのではないかと考えています。

私は、単なる貼り付け型の金属床は見た目は良くても強度的には大きな疑問を感じています。自分が作ったものでも他人が作ったものでも実際に壊れてくる事が多いのです。特に厚みの管理が難しい上顎では剥離~破折が起こりやすい傾向があります。いくら接着処理を施してもこれは構造上当然のことです。
貼り付け型の金属床でも、やはりスケルトンは必要だろうと思います。断面形状をT字型とすることで飛躍的な強度アップも図れるわけですから。

こうした3次元構造は「トラス構造」とも呼ばれていますが、ウチではこの種の設計を持つ金属床を「3D金属床」と呼んでいます。
なお、舌側以外は床用樹脂との接着層を形成するためサンドブラスト(アルミナ)処理を施しています。

この設計ならまず壊れてくる事はありませんし、床縁と粘膜面はレジンですから調整やリベースなどのアフターケアも問題ありません。
見た目も金属部を大きく強調でき、その気になれば「The・金属床!」という感じにもできます(今回は金属の露出をやや抑え気味にしています)。
ただし、患者さんによっては金属が見えやすいとクレームを頂く事もありますので、金属を露出させる位置や面積は事前に協議したほうが良いと思います。

3D金属床は強度もあり、アフターケアの対策もでき見栄えもしますが、通常の金属床よりもかなり手間がかかってしまうのが難点です。




EVANSPRO Dental Laboratory
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする