ジルコニアを応用した接着性ブリッジ2

2012-02-10 18:58:41 | ジルコニア
昨年の12月半ばに口腔内にセットされたジルコニアの接着性ブリッジです。

両側の上顎中切歯が欠損しており、義歯が装着されています。

通常なら欠損部両脇の4本を支台歯形成の上、6前歯ブリッジという症例です。
支台歯が健全歯だけに、やはり低侵襲で口腔内装着までの期間も短いということでジルコニアの接着性ブリッジを選択されました。

シェードテイキング時の画像です。


そして完成。
支台装置が冠でないと貧弱に見えますね。
厚み・連結部の断面積・保持形態・接着面積を意識しながら作製しました。


ブリッジの口腔内セット。支台歯の変色もなく、色調もマッチしています。
当ラボでは接着セメントには、ジルコニアに対して現時点で最も接着力の高い3M社のリライエックス ユニセム2をお奨めしています。被着面にはロカテックによる前処理を施し、接着力をさらに強化しています。


舌側面から。適合性も良好です。
このブログを書いている現時点で、本症例のトラブルの報告はありません。


最後に、
本症例の技工をお任せ頂きましたK先生にこの場をお借りして厚くお礼申し上げたく存じます。また、本症例の公開を快諾してくださり、誠に有難うございました。




EVANSPRO Dental Laboratory



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レジン床義歯の精度について

2012-02-06 18:35:38 | 義歯
レジン床義歯の重合精度を再確認してみました。
ウチも商業ラボなので企業秘密に属する事は書けませんが、そこは笑ってお許し頂ければ、と思います。

とりあえず、

1、「レジンは加熱重合タイプ」
2、「ショットタイプの填入」
3、「低温・長時間の重合ではない」
4、「水を重合に使用している」
5、「圧力鍋・電子レンジは使っていない」
6、「重合時間は大体20分くらい」
7、「法律上使ってはイケナイものは一切使用していない」

ということは明らかにしておきます。
なお、重合システムは当ラボ独自のもので、長い時間をかけて改良を重ねて現在に至っております。

重合後、応力開放してから開輪しました。


矢状断面での適合チェックのために正中付近から模型ごとカット。
当ラボでは、上顎義歯の精度を見極めるには必ず矢状断面でなければならない、と考えています。後縁が反って不適合だったり、口蓋の最深部が浮き上がっているのが丸見えになりますから、矢状断面の適合チェックは非常にシビアです。
後方からの横断面のカットモデルはあちこちで見かけますが、正直言って大して参考にはなりません。上顎義歯の適合を見せたいならやっぱり矢状断面を見せなきゃ。


断面にトリーマーをかけて適合状態を確認します。
かなり良好です。


粘膜面はちゃんと分離剤を効かせています。片方の石膏模型を外しましたが良好に分離しました。世間にはホンマに分離剤ちゃんと使っとるんかいな?、という疑わしい画像も事実ありますから。
あと、応力開放済みというのもポイントですね。応力を開放してないと口腔内セット後に変形しますから。
義歯の変形は3次元的なものなので、粘膜面も咬合関係も同時に狂ってしまいます。
応力開放すると若干適合は甘くなる傾向がありますが、やはり必須の作業と言えます。
ただ、その方法が悪いと劣化して粘りがなく割れやすい樹脂になってしまいます。
低温・長時間の重合をしないのはそういう理由からです。すでに劣化しているものを新品として納品するというのもどうかと思うのです。


ともあれ、レジン床義歯の重合精度をコンスタントにキープするのはなかなか難しい事です。
実を言うと上の断面画像もごくわずかですが口蓋部に隙間があります。
納得のいかない部分もまだあるのですが、さらなる適合性の向上を目指したいと思います。






EVANSPRO Dental Laboratory
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