我がP病の仲間
童話作家 鎌田俊三氏が
ステージでイノチをかける
歩くことさえ難しくなり
杖に頼るようになってきた
59歳
恥ずかしい思いは通り過ぎた
だってほっとけば転ぶ
歩くと言った方が良いのか
移動すると言った表現がよいのやら
杖との3本足で動き回ると
三本が 己の体を支えてくれない
この頃のことだ
日を重ねるごとに
肋骨が腹に食い込むようになってきた
脊柱狭窄症ってやつの影響か
それとも前のめりになる姿勢の問題か
今までのオレとは違う
「読み語り」
「歌う」
今までのオレは
辛くとも
辛くとも
読み語り 歌うことの自分が
好きで
嬉しかった
それ以上に
聞いてくれるひとがいた
待ってるいるひとがいた
そこに投じるエネルギーを
惜しむことはこれまでに一度もない
肋骨が腹に食い込むようになってひさしい
カレンダーをめくる毎に 更に腹に食い込む骨
痛む
辛い
オレは童話作家
なんだなんだ その苦みしった顔は
作家が読み語りだって
笑わせるな
子どもに夢を与えるだって
いっぱしに「作家」きどりしやーがって
顔は笑って
心で泣け
今日
樋口了一氏とのジョイントコンサート
プロの歌手
ギター片手に歌い語っていたが
彼もP病という病魔に侵された
ギターのラインは
女性のウエストライン
樋口了一がハナミ離さずにしていた
美しいラインを持つ女を
とうとう手放した
オレと同じ境遇か
いや違う
オレは失ってはいない
顔は笑って 心で泣いているだけだ
ただ腹の痛み
徐々に高まる唇の震え
そして声が出ない
急がなくちゃ
急がなければ失うかも知れぬ
オレに出来る事
書く 読み語り
一度は諦めようとした
書く 読み語り
オレに与えられた
オレ自身のこと
オレ自信を書き上げた
オレ自信とは“パーキンソン病”のこと
「パオ~ンおじさんとの夏」と
題を付けた
オレには失うものが無い
なぜならば
死ぬつもりでステージに立てるから
読み語りができるじゃないか
震える唇から発する言葉を聞いてくれ
時に 言葉が途切れ
ただの音になるかも知れぬ
でも聞いてくれ
全エネルギーを体全身に
全エネルギーを震える唇に
たとえ言葉が叫びになろうとも
叫びの中に心を
信を 新を 真を 問う
オレらの病気のこと、
難病の人たちへの理解を深めること
そこに意義を感じた
同じ境遇の仲間が動いてくれた
ステージを共に作ってくれた
感謝します
尊い仲間だ
振り絞ります
届けオレの叫び
あなたへ私の叫び
全エネルギーを震える唇に集中する
今日
樋口了一さんを招く
彼の現在の心情を勝手に空想し綴ったものである。
鎌田さん、申しわけない。
最高のパフォーマンスを期待しています。 絵師