昨日は七夕だった。
お牧のいるT病院の緩和ケア病棟でも
ボランティアによるフラダンスの催しが開かれていた。
「コッペ、ラッキーだよ。これからフラダンスやるんだ。見ときなよ」
お牧は最前列で笑いながら言った。
オレががん患者のためのNPOをやっていることを知っていて
彼は終末医療の現場を余すところなく見せてくれる。
この前行ったときもベッドに寝たまま外の空気を吸いにきた患者さんがいて
あぁやって 好きにさせてくれるんだ。勉強になるだろ、と緩和ケアを
ひとつ ひとつ 教えてくれる。
すごいヤツだ。
先週も何人かの患者さんが ラウンジでくつろいでいた。
今日はみな総出である。
老いも若きも 男も女も 患者仲間が一体になって
歌やフラダンスを楽しんでいた。
お牧のとなりの病室のおじさんが歌を歌い
みんながそれにあわせて合唱した。
音痴だった。
めちゃめちゃへただった。
伴奏が合わない 何度もやり直し
笑いが飛んだ。
ゲラゲラ・・・ゲラゲラ・・・
ひとりじゃない
この光景を見ながら 志穂ちゃんを思い出した。
ひとりじゃないよ。ひとりじゃない。
彼女の口癖だった。
31歳の若さでこの世を去った最初のメンバー
我々の活動に魂を入れてくれた女性
彼女は亡くなる前の「朝ズバッ！」でも
ひとりじゃないよ。と、いいつづけていた。
貰うばかりのお牧にあげれる言葉はないが
強いて言うなら
ひとりじゃないよ
お牧のまわりにはたくさんの友がいて
たくさんの仲間がいるんだから元気になれ！
七夕のこの日 思いがけなく一瞬晴れた。
七夕とはお盆行事の一つ。
きっと 天国から志穂ちゃんがそういっているんだろう
お牧 来週も行くぞ。元気になれ！
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