25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

Green Book

2019年10月06日 | 映画
 この3年の間での映画ベスト3を選び、ブログで公表したのがほんの3日前。ところが「Green Book 」というアメリカ映画を見てしまった。細君が借りてきた映画だった。10分観て、つまらなかったら自分の部屋で別の物を観るから、と前置きをしてその映画を観始めた。これがなんととても良い映画だった。これは3年の間でベスト1だとも思ったのだった。終わってから細君に訊くと、去年のアカデミー賞作品賞だ、という。
 アメリカってこういう映画を作る。この点にアメリカの良さを感じる。日本ではこの種の映画は作れない。たぶん中国も作れない。
 才能溢れ、ホワイトハウスでも演奏した黒人のピアニストが1962年に、南部でのコンサートツアーをする。その時に、イタリア移民の主人公に運転手を頼むのだ。彼は喧嘩も滅法強く、教養はないが、妻と子供たちをとても愛している。2ケ月のツアー中でも、下手な文で愛しの妻にせっせと手紙を書く。あまりにも下手くそで、時間がかかるので、主人たる黒人ピアニストが手紙の中身を口頭で教えるのである。
 彼はイタリア人でも白人。ピアニストは北部で有名で、ロバートケネディとも親密な関係なのに、黒人。1962年当時は差別が依然として激しかった。
 映画はその差別を描くものではない。
 教養なく、マナーのないイタリア移民男とインテリで、インテリから尊敬されるが、南部では差別され、北部ではお城のような御殿に住むピアニストとの心のやりとりが見物なのである。
 これは間違いなくとても優れた映画なので、お薦めする。何よ、今頃、と言われるかもしれないが。
 このような映画に出会うと、「寂しいときは、自分から先に手をうたなくちゃあ」と思ってくる。これは映画のセリフだ。