川越の税理士♪ 小澤恵美税理士事務所

小澤恵美税理士事務所が発信します
税金の事・経営の事
そして税理士のつぶやきなど

「給与所得控除」について

2018年12月19日 | 日記
こんにちは、小澤恵美税理士事務所の小澤です。
今日は、「給与所得控除」と「基礎控除」の改正について見てみたいと思います。



  「給与所得控除」と「基礎控除」の見直しが行われました。
  この改正は、平成32年分の所得税及び平成33年分の住民税から適用されます。

 (1) 会社員やパート・アルバイトの給与に対して適用される「給与所得控除」が一律10万円引き下げられます。
   また、給与所得控除の上限額が、「給与収入1,000万円超で220万円」から「給与収入850万円超で195万円」に
  引き下げられます。

 (2) 「所得金額調整控除」が創設されました
   給与所得者のうち、同一生計内に、23歳未満の扶養親族のいる「子育て世帯」や特別障害者がいる「介護世帯」については、
  給与収入が850万円を超えても増税とならない措置(所得金額調整控除)が講じられます。
   具体的には、給与収入(給与収入が1,000万円を超える場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当額
  を給与所得の金額から控除することになります。


<改正前>(平成31年分以前)

【給与所得控除額】

    給与等の収入金額(A)            平成28年              平成29年
                             給与所得控除額          給与所得控除額
 
  162.5万円未満              650,000円                  同  左
  162.5万円以上180万円未満     A×40%                     同  左
  180万円以上  360万円未満     A×30%+  180,000円        同  左
  360万円以上  660万円未満     A×20%+  540,000円        同  左
  660万円以上1,000万円未満     A×10%+1,200,000円        同  左
1,000万円以上1,200万円未満     A× 5%+1,700,000円     2,200,000円
1,200万円以上                2,300,000円             2,200,000円


【基礎控除額】      38万円


【参  考】      給与所得控除額   基礎控除額
             650,000円 + 380,000円 = 1,030,000円


<改正後>(平成32年分以後)

【給与所得控除額】

  給与所得控除額を一律10万円引き下げ、その上限額が適用される給与等の収入金額が850万円(改正前:1,000万円)と
 されるとともに、その上限額を195万円(改正前:220万円)に引き下げることとされました。


    給与等の収入金額(A)            給与所得控除額

162.5万円未満                   550,000円       
162.5万円以上180万円未満       A×40%-  100,000円 
180万円以上  360万円未満       A×30%+   80,000円
360万円以上  660万円未満       A×20%+  440,000円
660万円以上  850万円未満       A×10%+1,100,000円
850万円超                      1,950,000円


【基礎控除額】

  基礎控除について、控除額を一律10万円引き上げるとともに、合計所得金額が2,400万円を超える個人については
 その合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える個人については基礎控除の適用は
 できないこととされました。


個人の合計所得金額           所得税の基礎控除額

2,400万円以下                   480,000円
2,400万円超 2,450万円以下         320,000円 
2,450万円超 2,500万円以下         160,000円
2,500万円超                            0円


個人の合計所得金額           住民税の基礎控除額

2,400万円以下                   430,000円
2,400万円超 2,450万円以下         290,000円 
2,450万円超 2,500万円以下         150,000円
2,500万円超                            0円


【参  考】   給与所得控除額   基礎控除額 
           550,000円 + 480,000円 = 1,030,000円


平成30年の「配偶者控除」について

2018年11月21日 | 日記

こんにちは、小澤恵美税理士事務所の小澤です。
そろそろ年末調整の時期がやってきますね。
皆さんの会社でも年末調整の用紙が配られたでしょうか。
それでは、平成30年から変更になる「配偶者控除」について見てみたいと思います。


【配偶者控除等の見直し】

  高所得の納税者(控除対象配偶者の夫と想定)には、「配偶者控除」を認めない仕組みに変えるとともに
(増税措置)、パートで働く主婦(控除対象配偶者と想定)を対象として「配偶者特別控除」を見直す仕組みに
変えることになり(減税措置)、平成30年から適用されます。

  今までは、納税者が「配偶者控除」(配偶者が専業主婦などの場合)を受ける際に、納税者の収入制限は
ありませんでしたが、今後は納税者の給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えると
配偶者控除額が逓減し、給与収入が1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超えると配偶者控除額が
0になる仕組みに変わります。


【配偶者控除額】

  配偶者控除とは、納税者に「控除対象配偶者」がいる場合、所得控除が受けられる控除額をいいます。
  この「控除対象配偶者」は、その年の12月31日時点で、下記の要件すべてに当てはまる配偶者です。
改正後は、下記⑤が追加されました。

  ① 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は適用除外)
  ② 納税者と同一生計であること
  ③ 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
   (給与収入のみの場合、給与収入103万円以下)←これが「103万円の壁」です
  ④ 青色事業専従者としてその年を通じて給与の支払いを受けていないこと、また
   は白色事業専従者でないこと。
 〔改正点〕
  ⑤ 納税者のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。

  改正前の「配偶者控除」には納税者に所得制限がありませんでしたが、改正後は、合計所得金額によって
控除額が段階的に引き下げられ、合計所得金額1,000万円超には、配偶者控除の適用がなくなりました。


<改正前>

  納税者の合計所得金額(制限なし)   ・・・・・・ 〔所得税〕38万円(控除対象配偶者)
                                      48万円(老人控除対象配偶者)
                                 〔住民税〕33万円(控除対象配偶者)
                                       38万円(老人控除対象配偶者)

<改正後>

  具体的には年収が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えると徐々に控除額が縮小し、
1,120万円超で26万円に、1,170万円(合計所得金額950万円)を超えれば13万円となり、
1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超えると適用外になります。

〔所得税の場合〕

  納税者の合計所得金額900万円以下   ・・・・・ 38万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円以下)             48万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額900万円超950万円以下 ・・・・・ 26万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円超1,170万円以下)    32万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額950万円超1,000万円以下・・・・・13万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,170万円超1,220万円以下)   16万円(老人控除対象配偶者)


〔住民税の場合〕

  納税者の合計所得金額900万円以下   ・・・・・ 33万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円以下)             38万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額900万円超950万円以下 ・・・・・ 22万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円超1,170万円以下)    26万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額950万円超1,000万円以下・・・・・11万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,170万円超1,220万円以下)   13万円(老人控除対象配偶者)


以上のように「配偶者控除」は変更になりました。









仮想通貨 その②

2018年11月16日 | 日記
こんにちは、小澤恵美税理士事務所の小澤です。
今回は、前回に引き続いて仮想通貨について見てみたいと思います。



【改正資金決済法のポイント】

  平成29年に施行された資金決済法の改正は、ポイントは二つあります。一つ目は、仮想通貨の定義を明確にした
ということ、二つ目は、取引所を登録制にして、きちんとした業者でのみ仮想通貨の売買を行えるようにしたという点です。


【仮想通貨とは】

  資金決済法において、仮想通貨は、次の性質をもつ財産的価値をいいます。

(1) 不特定の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、かつ法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる

(2) 電子的に記録され、移転できる

(3) 法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカードなど)ではない


【仮想通貨交換業者の義務】

  資金決済法において、仮想通貨交換業とは、「仮想通貨と法定通貨または仮想通貨同士の交換(交換の媒介、
取次等を含みます)」や「交換に際して利用者の金銭・仮想通貨を管理する業務」をいいます。

  今回の制度は、利用者保護やマネーローンダリング対策の観点から、仮想通貨交換サービスを行う事業者に対し、
以下の義務を課するものです。


(1) 登録制の導入

  金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが、国内で仮想通貨交換業を行うことができます。登録を受けるためには、
日本国内で仮想通貨交換業を行う事業者は、次のような要件を満たす必要があります。

  ① 株式会社であること
  ② 資本金が1,000万円以上、純資産がマイナスでないこと
  ③ 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制が整備されていること など


(2) 利用者への適切な情報提供

  利用者に次の情報を提供することが義務付けられています。

  ① 取り扱う仮想通貨の名称や仕組みなどの説明
  ② 仮想通貨の特性(法定通貨ではないことや価格変動があることなど)
  ③ 手数料等の契約内容 など


(3) 利用者財産の分別管理

  仮想通貨交換業者は、利用者から預かった金銭・仮想通貨と事業者自身の金銭・仮想通貨とを明確に区分して
管理することが義務付けられています。
  また、利用者財産の管理状況については、年1回以上の外部監査を受けることが義務付けられています。

  平成26年に起こったビットコインのマウントゴックス事件では、顧客の資産であるビットコインや預託金が、
マウントゴックス社の資産と一緒に管理されていたため、顧客の資産の多くが戻ってきませんでした。このような
ことを防ぐためと考えられます。


(4) 取引時確認の実施

  マネーローンダリング対策のために、次の場合には、利用者に対し運転免許証などの公的証明書による
確認をすることが義務付けられます。
  一度、取引時確認が済んでいれば、原則として公的証明書の再提示等は必要ありません。

  ① 口座開設時
  ② 200万円を超える仮想通貨の交換・現金取引
  ③ 10万円を超える仮想通貨の移転


  このほか、仮想通貨交換業者が上記の義務に違反するなど、不適切な行為があったときは、
金融庁・財務局から業務改善命令や業務の停止命令等を出せるようになりました。


【仮想通貨を利用する際の注意点】

  昨今では、仮想通貨というものへの注目が集まっていることから、詐欺の手口として使われることも
増えてきています。
例えば、仮想通貨は、インターネットを通じて電子的に取引されるものであるにもかかわらず、
インターネット上のウォレット(保管場所)やアドレス(口座番号)を介さずに書面等で売買が行われる
ことについては、極めてイレギュラーであり、何らかの詐欺の可能性を疑う必要があるなど、注意が必要です。

  仮想通貨詐欺は、国民生活センターによると、平成26年は194件、平成27年は
440件、平成28年は634件と、右肩上がりで増加しています。
  初めは1ドルにも満たなかったビットコインのことを引き合いに出し、「今は無名だが、これから
どんどん値が上がるコイン」だと言って、甘い言葉で仮想通貨の購入を勧める業者もあります。

  また、架空の仮想通貨を購入させるという手法でお金を集める詐欺コインも出てきています。
仮想通貨といっても、使用実態や交換実態がないものは、資金決済法上の仮想通貨として認められず、
こうした詐欺コインを理由としてお金を集めることが、出資法や金融商品取引法に抵触することもあります。

  会員が他の会員を紹介し、仮想通貨を購入した場合、紹介した会員に報酬を出す、ネズミ講まがいのことを
している業者もあります。さらには、コインを購入すると毎日1%の利息が付くといった説明で仮想通貨の購入を
勧めるところもあり、実に様々なタイプの詐欺が横行しています。

  仮想通貨の内容が分かりにくいとはいえ、仮想通貨交換業者が情報提供している内容をよく確認し、
また販売業者が登録事業者であることを確認するなどによって、利用者側にも十分な理解と慎重な対応が
求められると言えます。


【仮想通貨の課税関係】

  仮想通貨自体は法定通貨ではないので、税法上は金などと同じ「資産」として扱われます。
仮想通貨の売買で利益を得た場合は、個人であれば雑所得として総合課税の対象になります。

  消費税に関しては、資金決済法に関する法律に規定する仮想通貨の譲渡について、
平成29年7月1日以後の取引は、非課税資産の扱いとされました。







仮想通貨について その①

2018年05月16日 | 日記
こんにちは(^^♪

そろそろ夏の声が聞こえてきそうなほど
暑い毎日ですね〜


ブログも久しぶりになってしまいました。

そこで、今大流行の仮想通貨について
質問があったり、私も興味がありますので
少し調べてみました







【改正資金決済法】

  平成29年4月から改正資金決済法が施行され、「仮想通貨」に対して法的規制がされるようになりました。

  「仮想通貨」とは、インターネット上で自由にやりとりされ、通貨のような機能を持つ電子データです。
預金やいわゆる電子マネーは、発行者が存在し、いわば中央集権的に管理されていますが、仮想通貨は必ずしも
発行者や管理者が存在しないこと、使用範囲や交換範囲が特定された相手方だけではなく、
不特定の者に受け入れられていて、通貨的な機能を有することに特徴があります。
  有名な「仮想通貨」として、例えばビットコインがあります。

  「仮想通貨」は「通貨」なのか、そうではないかということが今までは曖昧だったのですが、
新法では「支払い手段の一つ」と定義されました。同じ「支払い手段の一つ」である既存の電子マネーや
ポイントと違う点は、円やドルなどの法定通貨を交換することができるということです。


【改正の背景】

  平成26年にわが国において、当時世界最大規模の仮想通貨と法定通貨の交換所を営んでいた事業者、
「マウントゴックス」が破たんするという事案が発生し、後日、同社が顧客から預かっていた資金や
ビットコインに対して、実際に保有する資金やビットコインが大幅に減少していたことが明らかになり、
大きな社会問題になりました。

  この事件の際、ビットコインが円や米ドルのような「法定通貨」に該当するのかという議論が行われました。
その結果、日本の財務省は「通貨ではなくゲームコインである」という判断を下しています。
ゲームのデータが破損しても国が何も補償してくれないのと同じように、ビットコインもゲーム上のコインと
同じような存在であるとし、国は保護してくれなかったということです。

  また、仮想通貨の特性上、その移転が迅速かつ容易であるため、世界的にテロ・犯罪組織の
マネー・ローンダリングに悪用される懸念が指摘されています。そのため、平成27年6月には、
ドイツで開催されたG7エルマウ・サミット等において仮想通貨に関する規制が求められるなど、
国際的な要請が行われました。

  このような利用者保護とマネー・ローンダリング対策の観点から、仮想通貨と法定通貨の交換を行う者に
登録制を導入し、こうした業者に対して法制度整備(具体的には資金決済法や犯罪収益移転防止法の改正)を
行いました。


【マウントゴックス事件とその影響】

  マウントゴックス事件とは、平成22年に設立された仮想通貨取引所「マウントゴックス」で巨額の
ビットコインが消失した事件のことです。平成26年2月、マウントゴックスで顧客分の75万ビットコインと
自社保有分の10万ビットコインの合計85万ビットコインが消失したと判明しました。
  また、顧客からの預り金の現金約28億円も消失したと発表されました。85万ビットコインとは
当時のレートで約480億円になり、仮想通貨史上最悪の巨額消失事件となりました。

  当初はハッキングが原因とされていましたが、その後の調査で社長のマルク・カルプレス氏が
社内システムの不正操作によってビットコインを消失させたのでは?という疑いが強くなり、結果、
マルク・カルプレス氏は業務上横領などの罪で起訴されました。
  同氏は、その後の裁判でも一貫して無罪を主張しています。そして、社長が犯人と思われた
マウントゴックス事件ですが、社長とは別の真犯人がいるということも噂されています。
まだ不明な点が多い事件ですが、今後は仮想通貨史上最大の事件の真相が徐々に明らかになってくると思われます。

  さて、このマウントゴックス事件の影響を受けて、「ビットコインは怪しい」とか「ビットコイン破たん」
というニュースが一部に流れました。
  そのため、「仮想通貨自体が怪しいのではないか」とか「仮想通貨とは詐欺ではないか」と感じた方も
多いのではないかと思います。

  「マウントゴックス」は単なる両替所です。破たんをしたのは単なる両替所でしかなく、
ビットコインではありません。
  多くのメディアは、この事件のことを「ビットコインの破たん」とか、「ビットコイン取引停止」と
大々的に報じました。しかし、破たんしたのはビットコインと通貨を交換する「いち両替所」にすぎません。

  法定通貨の円やドル、これらの通貨は通常、銀行に預けます。銀行も倒産することがあります。
しかし、一つの銀行が倒産したからといって、円も紙くずになることはありません。銀行が倒産しただけであり、
円は国の信用で価値が決まるので、銀行の倒産イコール円の価値0円とはなりません。
「日本銀行券が崩壊した」とは普通の人は言いません。

  ビットコインも同じです。仮想通貨は銀行ではなく、預けるのは「取引所」となります。
空港内の両替所に行って、ドルを円に換えようとしてその両替所の一つが経営不振でつぶれても、
それを見て「ドルが崩壊した」とは言いません。両替所はビットコインの利用者であり、
ビットコインの運営者ではありません。

  マウントゴックス事件以降、取引所ではハッキングされないよう強固なセキュリティ対策や
管理体制の強化が求められました。
その結果、マウントゴックスが破たんしても、ビットコインのシステムは動き続けていましたし、
ビットコインとドルの交換価値も下がっていません。

ちなみに、平成29年4月に1BTC(ビットコインの単位)が日本円で12万円だったものが、
5月に30万円に、12月に200万円を突破しています。ウォール街の専門家は、
東京オリンピックの年までにまだまだ値を上げるのではないかと見ています。

また次回へ続きます





スイッチOTC薬控除【セルフメディケーション税制】

2018年02月14日 | 日記
こんにちは
川越の税理士 小澤恵美です

そろそろ確定申告の時期となりました
私どもも多少忙しくなりつつ
ラリラリの毎日になっております・・・

ご迷惑をおかけしております

さて今年 新しく スイッチOTC薬控除 というものができましたね
医療費控除 と一緒に使えるわけではありませんが 
少し詳しく解説いたしましょー



〔医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)〕

 これまで1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、超えた額が所得から
控除されて税金が還付・減額される医療費控除という制度がありました。
しかし、比較的健康でお医者さんに診てもらう機会が少ないため、この制度を利用できるほど
医療費を支払っていないという方も少なくありませんでした。
  そのような方でも、ちょっとした身体の不調などでOTC医薬品をよく利用される方であれば、
一定の条件を満たせば税金が還付・減額される制度が2017年1月から始まりました。

 「セルフメディケーション税制」は、きちんと健康診断などを受けている人が、
一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられるようにしたものです。軽度な身体の不調を
市販薬などにより自ら手当することは、自身のQOL(生活の質)の改善に役立つだけでなく、
国の財政を圧迫している医療費の適正化にもつながります。


  「セルフメディケーション税制」を利用するには、以下の3つの条件があります。

  (1) 所得税、住民税を納めている

  (2) 下記の健診などのいずれかを受けていて、自身の健康増進や病気の予防に取り組んでいる
     ・ 特定健康診断(いわゆるメタボ検診)
     ・予防接種
     ・定期健康診断(事業主健診)
     ・健康診査
     ・がん検診

  (3) 1月から12月までの1年間に、対象となる(※)OTC医薬品を購入した合計額が
      12,000円を超えている

 (※)OTC医薬品とは
  正しくは「スイッチOTC医薬品」と言い、従来は医師の処方せんが必要だった医療用医薬品の中から、
  副作用が少なく、使用実績があるなどと判断され、薬局で購入できる ように一般医薬品・要指導医薬品に
  転用されたもの。
  これまでは「大衆薬」とか「市販薬」などと呼ばれていたもので、対象となる
  OTC医薬品のパッケージに識別マークが表示されるようになります。現在、医薬品メーカーでは、
  識別マーク付きパッケージの準備を進めており、マーク付きの医薬品が店頭に並び始めています。
  ただし、識別マークは掲載は義務化されているわけではありません。
  マークが付いていなくても対象となるOTC医薬品もありますので店頭で確認するようにして下さい。


  〔注意点〕

   セルフメディケーション税制の重要なポイントは、医療費控除制度と同時に利用することができないということです。
   1月から12月までの1年間で医療費が100,000円以上かかり、なおかつ対象となるOTC医薬品を
   12,000円以上購入した場合、どちらの控除制度を利用するのか、自身で選ぶ必要があります。

   高度な医療費が継続してかかるときや歯の矯正など健康保険が適用されない地用を行ったときでなければ、
   年間の医療費が100,000円を超えることはあまりありませんが、
   OTC医薬品の購入費用が12,000円以上となるのは一般家庭でもめずらしくないかもしれません。

   そのために、ドラッグストアや薬局等にて市販薬を購入した際に受け取ったレシートや領収書は
   必ず捨てずに保管しておきましょう。(従来の医療費控除を選択した場合には、
   治療のために購入した市販薬の購入代金を医療費の中に含めることができます。)