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平成30年の「配偶者控除」について

2018年11月21日 | 日記

こんにちは、小澤恵美税理士事務所の小澤です。
そろそろ年末調整の時期がやってきますね。
皆さんの会社でも年末調整の用紙が配られたでしょうか。
それでは、平成30年から変更になる「配偶者控除」について見てみたいと思います。


【配偶者控除等の見直し】

  高所得の納税者(控除対象配偶者の夫と想定)には、「配偶者控除」を認めない仕組みに変えるとともに
(増税措置)、パートで働く主婦(控除対象配偶者と想定)を対象として「配偶者特別控除」を見直す仕組みに
変えることになり(減税措置)、平成30年から適用されます。

  今までは、納税者が「配偶者控除」(配偶者が専業主婦などの場合)を受ける際に、納税者の収入制限は
ありませんでしたが、今後は納税者の給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えると
配偶者控除額が逓減し、給与収入が1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超えると配偶者控除額が
0になる仕組みに変わります。


【配偶者控除額】

  配偶者控除とは、納税者に「控除対象配偶者」がいる場合、所得控除が受けられる控除額をいいます。
  この「控除対象配偶者」は、その年の12月31日時点で、下記の要件すべてに当てはまる配偶者です。
改正後は、下記⑤が追加されました。

  ① 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は適用除外)
  ② 納税者と同一生計であること
  ③ 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
   (給与収入のみの場合、給与収入103万円以下)←これが「103万円の壁」です
  ④ 青色事業専従者としてその年を通じて給与の支払いを受けていないこと、また
   は白色事業専従者でないこと。
 〔改正点〕
  ⑤ 納税者のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。

  改正前の「配偶者控除」には納税者に所得制限がありませんでしたが、改正後は、合計所得金額によって
控除額が段階的に引き下げられ、合計所得金額1,000万円超には、配偶者控除の適用がなくなりました。


<改正前>

  納税者の合計所得金額(制限なし)   ・・・・・・ 〔所得税〕38万円(控除対象配偶者)
                                      48万円(老人控除対象配偶者)
                                 〔住民税〕33万円(控除対象配偶者)
                                       38万円(老人控除対象配偶者)

<改正後>

  具体的には年収が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えると徐々に控除額が縮小し、
1,120万円超で26万円に、1,170万円(合計所得金額950万円)を超えれば13万円となり、
1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超えると適用外になります。

〔所得税の場合〕

  納税者の合計所得金額900万円以下   ・・・・・ 38万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円以下)             48万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額900万円超950万円以下 ・・・・・ 26万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円超1,170万円以下)    32万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額950万円超1,000万円以下・・・・・13万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,170万円超1,220万円以下)   16万円(老人控除対象配偶者)


〔住民税の場合〕

  納税者の合計所得金額900万円以下   ・・・・・ 33万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円以下)             38万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額900万円超950万円以下 ・・・・・ 22万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,120万円超1,170万円以下)    26万円(老人控除対象配偶者)

  合計所得金額950万円超1,000万円以下・・・・・11万円(控除対象配偶者)
  (給与収入1,170万円超1,220万円以下)   13万円(老人控除対象配偶者)


以上のように「配偶者控除」は変更になりました。









仮想通貨 その②

2018年11月16日 | 日記
こんにちは、小澤恵美税理士事務所の小澤です。
今回は、前回に引き続いて仮想通貨について見てみたいと思います。



【改正資金決済法のポイント】

  平成29年に施行された資金決済法の改正は、ポイントは二つあります。一つ目は、仮想通貨の定義を明確にした
ということ、二つ目は、取引所を登録制にして、きちんとした業者でのみ仮想通貨の売買を行えるようにしたという点です。


【仮想通貨とは】

  資金決済法において、仮想通貨は、次の性質をもつ財産的価値をいいます。

(1) 不特定の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、かつ法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる

(2) 電子的に記録され、移転できる

(3) 法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカードなど)ではない


【仮想通貨交換業者の義務】

  資金決済法において、仮想通貨交換業とは、「仮想通貨と法定通貨または仮想通貨同士の交換(交換の媒介、
取次等を含みます)」や「交換に際して利用者の金銭・仮想通貨を管理する業務」をいいます。

  今回の制度は、利用者保護やマネーローンダリング対策の観点から、仮想通貨交換サービスを行う事業者に対し、
以下の義務を課するものです。


(1) 登録制の導入

  金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが、国内で仮想通貨交換業を行うことができます。登録を受けるためには、
日本国内で仮想通貨交換業を行う事業者は、次のような要件を満たす必要があります。

  ① 株式会社であること
  ② 資本金が1,000万円以上、純資産がマイナスでないこと
  ③ 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制が整備されていること など


(2) 利用者への適切な情報提供

  利用者に次の情報を提供することが義務付けられています。

  ① 取り扱う仮想通貨の名称や仕組みなどの説明
  ② 仮想通貨の特性(法定通貨ではないことや価格変動があることなど)
  ③ 手数料等の契約内容 など


(3) 利用者財産の分別管理

  仮想通貨交換業者は、利用者から預かった金銭・仮想通貨と事業者自身の金銭・仮想通貨とを明確に区分して
管理することが義務付けられています。
  また、利用者財産の管理状況については、年1回以上の外部監査を受けることが義務付けられています。

  平成26年に起こったビットコインのマウントゴックス事件では、顧客の資産であるビットコインや預託金が、
マウントゴックス社の資産と一緒に管理されていたため、顧客の資産の多くが戻ってきませんでした。このような
ことを防ぐためと考えられます。


(4) 取引時確認の実施

  マネーローンダリング対策のために、次の場合には、利用者に対し運転免許証などの公的証明書による
確認をすることが義務付けられます。
  一度、取引時確認が済んでいれば、原則として公的証明書の再提示等は必要ありません。

  ① 口座開設時
  ② 200万円を超える仮想通貨の交換・現金取引
  ③ 10万円を超える仮想通貨の移転


  このほか、仮想通貨交換業者が上記の義務に違反するなど、不適切な行為があったときは、
金融庁・財務局から業務改善命令や業務の停止命令等を出せるようになりました。


【仮想通貨を利用する際の注意点】

  昨今では、仮想通貨というものへの注目が集まっていることから、詐欺の手口として使われることも
増えてきています。
例えば、仮想通貨は、インターネットを通じて電子的に取引されるものであるにもかかわらず、
インターネット上のウォレット(保管場所)やアドレス(口座番号)を介さずに書面等で売買が行われる
ことについては、極めてイレギュラーであり、何らかの詐欺の可能性を疑う必要があるなど、注意が必要です。

  仮想通貨詐欺は、国民生活センターによると、平成26年は194件、平成27年は
440件、平成28年は634件と、右肩上がりで増加しています。
  初めは1ドルにも満たなかったビットコインのことを引き合いに出し、「今は無名だが、これから
どんどん値が上がるコイン」だと言って、甘い言葉で仮想通貨の購入を勧める業者もあります。

  また、架空の仮想通貨を購入させるという手法でお金を集める詐欺コインも出てきています。
仮想通貨といっても、使用実態や交換実態がないものは、資金決済法上の仮想通貨として認められず、
こうした詐欺コインを理由としてお金を集めることが、出資法や金融商品取引法に抵触することもあります。

  会員が他の会員を紹介し、仮想通貨を購入した場合、紹介した会員に報酬を出す、ネズミ講まがいのことを
している業者もあります。さらには、コインを購入すると毎日1%の利息が付くといった説明で仮想通貨の購入を
勧めるところもあり、実に様々なタイプの詐欺が横行しています。

  仮想通貨の内容が分かりにくいとはいえ、仮想通貨交換業者が情報提供している内容をよく確認し、
また販売業者が登録事業者であることを確認するなどによって、利用者側にも十分な理解と慎重な対応が
求められると言えます。


【仮想通貨の課税関係】

  仮想通貨自体は法定通貨ではないので、税法上は金などと同じ「資産」として扱われます。
仮想通貨の売買で利益を得た場合は、個人であれば雑所得として総合課税の対象になります。

  消費税に関しては、資金決済法に関する法律に規定する仮想通貨の譲渡について、
平成29年7月1日以後の取引は、非課税資産の扱いとされました。