川越の税理士♪ 小澤恵美税理士事務所

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空き家対策5 『空き家の譲渡所得の3000万円の特別控除』

2017年12月15日 | 日記
こんにちは。
今年もあと2週間とちょっと
あっという間に月日が流れていきますねぇ

川越の税理士 小澤恵美
です

今日は空き家対策の最終章「空き家の譲渡所得の3000万円の特別控除」について
書いていきます
          


〔空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除〕

空き家の発生を抑制するための特別措置として、平成28年4月1日~平成31年12月31日までに相続した
空き家を譲渡した場合、一定の要件を満たすと譲渡所得の「3,000万円特別控除」の適用が受けられます。
この制度は相続により空き家となってしまった家屋等を売却しやすくするための制度とも言えます。

『具体的には、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、
被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は
耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)または取り壊し後の土地を譲渡した場合には、
その家屋または土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する』という内容です。


  【譲渡所得の計算式】

   譲渡所得=譲渡価額-(取得費※+譲渡費用)-特別控除3,000万円
                                    (この特例措置)
(※取得費が不明の場合は、取得費を譲渡価額の5%で計算)

  【具体例】
 相続した家屋を取り壊して更地にして500万円で売った場合の税額
(昭和55年建築、譲渡費用200万円、被相続人が20年間所有、取得価額不明)

   ① 特別控除を適用する場合(所得税15%・住民税5%)
     (500万円-500万円×5%-200万円-3,000万円)×20%= 0 円

   ② 特別控除の適用がない場合
     (500万円-500万円×5%-200万円)×20%= 55万円


〔空き家の3,000万円特別控除の適用要件〕(ポイント)

  (1) 対象家屋は相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること
      (被相続人が1人で住んでいた家屋)

  (2) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有家屋(マンション)を除く)

  (3) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていないこと(空き家の状態)

  (4) 譲渡価額は1億円以下であること

  (5) 相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること

  (6) (5)の要件を満たし、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに 
      譲渡すること

  (7) 家屋を取り壊さずに譲渡する場合には、その家屋が新耐震基準に適合するものであること



〔老人ホームに入所した場合の3,000万円特別控除〕

この制度は、相続時から3年を経過する日の属する12月31日までに、被相続人が居住の用に供していた家屋(その敷地を含む)を、
相続人が取得した後に譲渡した場合、譲渡益から3,000万円を控除することができるというものです。

この規定の適用を受けるための要件の1つに、「(1)相続発生の直前に、その家屋に、被相続人が1人で住んでいた」
というものがあります。

「空き家の増加原因(2)」でも述べましたが、親が老人ホームに入居して自宅が空き家になるケースは多いのでは
ないかと思いますが、亡くなるまで老人ホームに入居していた場合は、相続開始直前において居住していた家屋には
該当しなくなるため、この「3,000万円特別控除」の適用を受けることはできません。

老人ホームに入居した場合には、「生活の本拠」が、自宅から老人ホームに移ったと考えられるため、
「相続開始直前まで居住の用に供されていた家屋」には該当しない、ということです。

なお、相続税の申告において、建物や構築物の敷地になっている宅地で、被相続人や被相続人と
生計を一にしていた親族が、住んでいた宅地や事業を行っていた宅地を、一定の親族が相続したときに、
一定の限度面積まで、その宅地の評価額を80%又は50%減額してくれる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

この「小規模宅地等の特例」に関しては、老人ホームに入居していても、一定の要件を満たせば、
80%又は50%の評価減を受けることができます。

このように、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」と、相続税における「小規模宅地等の特例」とでは、
老人ホームの入所に関して、「生活の本拠」に対する考え方が違っています。

「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、相続開始直前まで親が「生活の本拠」としていた
居住用財産を譲渡する場合を想定しているので、老人ホームに移った場合には「生活の本拠」が老人ホームになり、
「親が相続の直前まで住んでいたこと」という、この制度の趣旨とは違ってくるからだと思われます。



空き家対策 その4 問題となる空き家とは・・・

2017年12月11日 | 日記
こんにちは
川越の税理士 小澤恵美 です

さて、今回は空き家対策の中で
「問題となる 空き家 とは」
について書いてみます


「特定空き家等」とは

「1年以上居住が認められない建物」であっても持ち主がきちんと管理していれば問題ないわけで、
きちんと管理されている空き家は、「空き家対策特別措置法」の対象にはなりません。

それでは問題になる「空き家」とは、どのようなものを言うのでしょうか。
空き家対策特別措置法では、「そのまま放置すれば安全上危険、衛生上有害となるおそれのある状態、
他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空き家等」を
「特定空き家等」と定義しています。


具体的に言えば次のような状態の「空き家」を言います。

  ① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  ② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  ③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  ④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態



〔「特定空き家等」に該当するとどうなるか〕

「空き家対策特別措置法」が施行される前は各自治体の条例でしか対応できなかったことが、
「空き家対策特別措置法」が施行されたことにより、「特定空き家」への行政の立入調査ができるようになりました。
また、所有者に指導、勧告、命令、代執行の措置がなされることになります。

   自治体による立入調査から代理執行にいたるまでのプロセス

    [空き家の調査]       立ち入り調査を拒否すると20万円以下の過料

       ↓

    [特定空き家に指定]

       ↓

    [助言・指導]

       ↓            固定資産税の住宅用地特例から除外される
    [勧   告]          ⇒固定資産税が高くなる
       ↓
 
    [命   令]         命令違反すると50万円以下の過料
       ↓

    [行政代執行]          執行にかかった費用は所有者負担
                     支払えない場合は資産差し押さえなど


〔固定資産税等の増税〕(税金優遇措置がなくなる)

住宅用の建物が建っている土地に関して、固定資産税額は3分の1に軽減されています。
その中でも、特定の土地(小規模住宅用地)は税額が6分の1にまで軽減されています。
市町村から「勧告」を受けるとこれらの軽減措置が受けられなくなり、最大で税額が
6倍になってしまいます。

また、市町村から「勧告」を受けると、都市計画税に適用される住宅用地特例が受けられなくなり、
都市計画税が最大で3倍になってしまいます。

「勧告」を受けることにより土地の固定資産税が6倍になる事を避けるため、
所有者は助言・指導の段階で対策を行う必要があります。









空き家対策 その3 2025年問題

2017年12月05日 | 日記
こんにちは
川越の税理士 小澤恵美です
少し更新が遅れましてすいませんでした

本日は空き家となる原因として2025年問題について書いてみます


「2025年問題」

第二次世界大戦の末期から終結直後、いわゆるベビーブームで、たくさんの子どもが生まれました。
その人たちを『団塊の世代』と呼びますが、約800万人と言われる団塊の世代
(1947~49年生まれ)が
前期高齢者(65~74歳)に到達するのだ2015年、そして75歳(後期高齢者)を
迎えるのが2025年です。
空き家問題の背景(2)の「介護施設への入所」などは、この「2025年問題」も
大きくかかわっているように思います。

また、「平成26年空家実態調査」によると「個人住宅が空き家となった理由」として
一番多いのが、「相続して取得」ということで全体の56.4%を占めます。
これなどは(3)の「相続で取得したが使用しない」というケースに当たると思います。



「空き家等」とは

「空き家対策特別措置法」での「空き家」とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって
居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいう」と定義されています。
そして、「空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」において、
「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」とは、
「概ね年間を通して建築物の使用実績がないことが1つの基準となる」とされおり、従って、
「1年間居住が認められない建物」が「空き家」であると言うことができます。