エ・ビ・ス Eco Business Study

環境ビジネスの研究をしています。
エコロジー・ビジネス・スタディ

ジャーナリスト筑紫哲也氏と宮武外骨

2008年11月11日 12時37分39秒 | エ・ビ・スの環境雑感
先日ニュースキャスターの筑紫哲也氏が亡くなられた。
長らくニュース23でメインキャスターを努めてこられたが、
元々は朝日ジャーナルの編集長として活躍された。

ただ、その言動には賛否両論あり、アンチ筑紫派も多く特に関西人にとっては、
阪神大震災での被災地からの生中継の際、焼けた建物から上がる煙を見て
第一声に「まるで温泉地に来ているようです、そこらじゅうから煙が
まいあがっています」と発言した事が配慮のないものとして、非難を浴び、
未だに良く思わない人も多い。

しかし、環境問題に関しては、ニュース23でゴア氏を招いたり、
特集を組んだりと他のニュースよりも熱心に取り上げ温暖化や環境保全を
訴えてこられた。

エ・ビ・スもそれを見て環境問題をより深く理解させ手戴いたのも事実だ。

当たり障りのない発言をするキャスターが多い中、気骨のある
ジャーナリストであったことは否定出来ないと思う。

気骨のあるジャーナリストで思い浮かぶのは宮武外骨(みやたけ がいこつ)だ。
以前から外骨には興味を持っていたが、京都の思文閣美術館で「宮武外骨展」が
開催されていたので見に行った。

外骨(1867~1955年)は明治から昭和にかけて数々の雑誌・新聞を発行した
編集者であり、ジャーナリストの先駆け的人物だ。



生涯で44もの雑誌・新聞を発刊しているが、そこに流れているのは、
一貫して風刺とパロディだ。

特に東京を追われた後、明治33年に大阪で敢行した『滑稽新聞』は、


明治末期の役人や政治家、これにこびるマスコミ、戦争に沸く庶民や
堕落した世相などを風刺し、かつ滑稽に表現したが、
それが反中央(反権力)といった大阪の風土とも相まって人々の喝采を受け、
最盛期には月刊8万部にも達する等、外骨の代表的なものとなった。

しかし歯に衣着せぬ言動とその本質を付く記事はしばしばその記事が原因で
官憲から制裁、処罰をうけ、『滑稽新聞』発刊中だけでも、
関係者の入獄は5回、罰金刑は16回、発売禁止印刷差し押さえ処分20回以上に及んだ。

こうした度重なる当局から処分に対して外骨は、『滑稽新聞』の8年間に渡る刊行を
自ら停止し、最終号を「自殺号」とするなど、今と違い表現に対する規制が
厳しかった時代に権力に怯むことなく貫き通した精神力、バイタリティには
感服する。

その後も、阪急電鉄の創始者小林一三の援助を得た「不二」をはじめ、
「此花」「奇」「スコブル」「面白半分」「赤」「震災画報」などの雑誌を
つぎつぎに発行し、反権力ジャーナリストしてのその名を全国にとどろかせた。

その結果入獄4回、罰金・発禁29回に及ぶなど最後まで反骨の人だった。

考えようによっては、小林一三という人物もかなりの人物だ。
反社会的な外骨を企業人が援助するなど本来考えられない事で、
「お上がなんぼのもんじゃい」という関西人的気骨溢れるある
人物だったのだろう。

思うに、もし外骨が今の時代の人ならどの様な雑誌、新聞を作るのだろうか。
偽装問題や環境問題を見事に風刺して見せてくるだろうし、
企業のエコ活動、CSR活動に対しての矛盾点などを痛烈に、しかもコミカルに
風刺してくれるかも知れない。

そういえば「滑稽新聞」には企業などの実名を出したパロディ広告が
掲載されているページがあって、やはり小馬鹿にしたような内容だった。

筑紫氏と外骨、タイプは違うがどちらも自身の信念を貫いた
気骨あふれるジャーナリストだった思う。

筑紫氏の冥福をお祈りすると同時にジャーナリズムが責任を持った報道
をおこなってくれる事を切に望む。


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