エ・ビ・ス Eco Business Study

環境ビジネスの研究をしています。
エコロジー・ビジネス・スタディ

除去したボタンウキクサの使い道 ~琵琶湖~

2009年04月04日 12時47分12秒 | バイオマスについて
ここ数年琵琶湖では、夏から秋にかけて、水草のボタンウキクサ
(通称ウオーターレタス)が多量に繁殖している。

繁殖したボタンウキクサは湖面を覆い、観光船や漁船の運行に障害が出たり、
悪臭の原因となっているだけでなく、生態系への影響も懸念されている。



その為、滋賀県ではボタンウキクサの除去を余儀なくされている。
その費用は2007年度で約2800トンを除去するのに約7000万円が使われた。
(他の水草も含んでいるが)

費用と手間ばかりかかる除去には滋賀県も頭を悩ませており、
廃棄するだけでなく他に使い道はないかを模索していたが、
滋賀県工業技術センターがエネルギーはの転用の可能性を考え2007年から
研究に取りかかった。

翌2008年からは京大産官学研究センターと京大エネルギー理工学研究所が
加わり研究が続けられた。

しかし、ボタンウキクサを始めとする水草にはトウモロコシなどの穀物とは
異質の糖類が含まれ、そのままではエタノールへの変換は、
難しいとされてきた。

研究チームはこの糖類を発酵をさせることでエタノールに変換できる事を
つきとめ、発酵酵母を遺伝子操作でつくり出し、今回高濃度のエタノール精製に
成功した。

研究チームでは、琵琶湖の水草を貴重な資源として利用することで、
エネルギーを地産地消するモデルを作りたいと話しており、
その為には商業ベースにのせる生産量を確保する必要がある。

滋賀県ではその実現に向かって3年後をめどに琵琶湖岸に実証プラントを
建設する予定になっている。

琵琶湖は外来魚の繁殖による琵琶湖特有在来魚の激減、水質汚染などの
様々な問題を抱えている。

しかし、一歩づつではあるが、その対策の効果は現れ始めている。
今回の水草のエタノール化への研究も成功すれば、同じような悩みを持つ
他の地区の川や湖にも有用なモデルケースとなるだろう。
そのためにも研究の成功を望みたい。


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by エ・ビ・ス






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ウキクサをエタノールに (エコ人~米国・世界の環境ビジネス最前線~)
2009-04-05 20:44:28
なるほど。
ウキクサも確かに植物なのでエタノールにできる可能性はありましたね。
実際にそれを形にした京大はやはりすごい。

返信する
エコ人 様 (エ・ビ・スEX)
2009-04-05 22:28:09
エコ人 様

ボタンウキクサは徳島の吉野川をはじめ
多くの河川・湖で異常繁殖が報告されています。

無論、今後異常繁殖しない対策をする事も
必要でしょうが、
すでに被害に遭っている地区にとって

この研究の商業ベースでの採算性が
実証されれば、それらの地区にも朗報と
なると思います。


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