弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

波紋を呼ぶ天皇への手紙

2013-11-02 15:05:52 | 日記・コラム

参議院議員の山本太郎氏が、秋の園遊会で天皇に手紙を渡したことが問題になっています。
山本議員のパフォーマンスにはあきれかえるものがあります。国会議員としての品位もありません。
しかしもっと根源的なことが山本議員に欠落しています。
国会議員としての無自覚と法の無知です。

日本国憲法は、天皇を国民の象徴と位置付けています。
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。」(憲法第一条)
このことから、天皇は、政治活動を行わず、また、行えないことになっています。福島原発問題を天皇に直訴したからと言って、天皇が政治判断を下せるものではありません。
むしろ、福島原発問題を審議し解決するのは国会であり、内閣です。国民主権のもとで国民の代表として国会を構成する国会議員こそが福島原発問題を審議し解決すべき立場にあります。
 そのような立場の人間が、政治的権限を行使し得ない天皇に問題提起すること自体が、国会議員としての職責放棄を意味します。その意味で、山本氏は、国会議員としての資格がないと言うことになります。
国会議員辞職に値する言動だと思います。

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弁護士 川 原 俊 明 
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ヘイトスピーチ(憎悪表現)は違法です

2013-10-09 15:32:25 | 日記・コラム

 最近、京都朝鮮学園の周辺で在日の人たちの排斥を主張する団体に対し、京都地裁が、学校周辺での街宣活動禁止と1200万円の損害賠償を命じる判決を下した、という報道がありました。
  「ヘイトスピーチ」。
 聞きなれない言葉という感覚とともに、どこの国の人種差別行動かな、と思っていました。ところがこれが教育水準の高い平和な国日本の出来事だと知って愕然としました。
  日本は理想的な平和国家であり平等社会を実現するため、世界に誇れる憲法を掲げています。いくら改憲論議があっても、日本を独裁軍事国家に変えようとする政治家はいません。
  グローバル社会に向かう日本は、世界の人々と理解を深め合って平和に暮らしていかなければなりません。人種差別は許されません。ヘイトスピーチは表現の自由の域をはるかに越えています。刑法的に見ても、威力業務妨害罪、脅迫罪、侮辱罪など多くの刑罰法規に抵触します。民事的には不法行為として損害賠償の対象になります。
  人は、さまざまな考え方を持っています。それは当然のことです。しかし法治国家のもとでは、他人を傷つけたり、人格を侵害することは決して許されないのです。
  日本人としての崇高な人格を信じています。
  冷静な対応をお願いしたいと思います。


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新司法試験制度の問題点

2013-09-14 15:50:09 | 日記・コラム
 今年の司法試験合格率26.8%。新司法試験発足時、ロースクール卒業後の受験者に対する合格率予測が7割から8割の鳴り物入りで出発しました。ところが、こんな高い合格率は達成したこともなく、むしろ低下傾向にあります。 
 理想と現実のギャップは余りにもひどいものがあります。これでは優秀な人材が司法界から消えてしまいます。三権分立とされる国の権力機構のなかで、チェック機能を働かせる立場にある司法が弱体するようでは、平和で安全な社会の構築維持できなくなります。
 さらに、予備試験制度の途中発足も問題でしょう。
問題と言っても新司法試験制度に対する疑問です。ロースクールに入らなければ司法試験を受けさせない、という制度を作っておきながら、途中から、ロースクールにいかなくても受験させます、というのはすでに入学しているロースクール生に対する欺罔です。これだけを見てもロースクール制度そのものが崩壊しています。こんなことならば、もともとロースクール制度が不要だったのではないか、と言えなくもありません。文科省は、「入試の競争倍率が2倍未満」「3年連続で司法試験合格率が半分未満」などの基準に基づき、18校のロースクールに対する補助金を削減する方針です。
 しかし、その前提となる合格率も問題です。
ロースクールには、法学部出身など法律を学んできたものを対象とする既習コースと、本来のロースクール制度趣旨に沿った幅広く多様な人材を法曹に送り込む未習コースとがあります。試験内容は同じなので合格率は当然既習コース組が高くなります。ところが、マスコミ発表はこれを合体したかたちで報道しています。その数値が世間のそれぞれのロースクールの評価に繋がってしまいます。結果はどうなるか。ロースクールは、合格率を上げるために既習コースに多く入学させ、未習コース入学者を極力抑えようとします。
 ロースクールが合格率を高く維持しようとすれば、既習コース生に以前の司法試験予備校と同じ勉強をさせてしまうことになりかねません。ロースクールの合格率も既習コースと未習コースを分けて発表すべきです。今回合格者数の上位ロースクールの慶応、東大、中央のいずれも既習合格者が圧倒的です。合格者上位校の中でも早稲田は既習と未習をほぼ同じくらいに合格者を出しています。未習合格者だけで見ると圧倒的にトップです。本来の新司法試験制度に沿ったロースクールは早稲田が一番であり、ロースクールはそうあるべきでしょう。合格率の偏った報道はロースクール制度を歪めます。


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プレゼンテーション能力の勝利

2013-09-08 18:32:56 | 日記・コラム
 

東京が2020年夏のオリンピック開催都市に決定しました。日本では深夜の時間帯でしたがIOC国際オリンピック委員会総会での東京のプレゼンテーションの内容は最高でした。フランス語、英語でのプレゼンテーションながら、アスリートを始め、プレゼンター全員が、いままでの日本人らしくない表現豊かで身振り手振りを使ったものでした。説明内容もスポーツが夢と笑顔、希望と決意を与えてくれる、というIOC委員の心に訴えるものになりました。
オリンピック精神を上手に盛り込んだ演出も見事でした。
高円宮妃久子さまをはじめ、東日本大震災被災地出身の佐藤選手、フェンシングの太田選手、安倍総理、竹田理事長など、プレゼンチームは気持ちが完全に一つにまとまっていました。
私は、マスコミが直近に流した福島での原発汚染水問題や、韓国の日本産水産物輸出禁輸措置などのマイナス要因を完全に打ち消したプレゼンテーションの勝利で、東京決定は間違いないと確信しました。
もちろん、プレゼンテーションはあくまでアピール力の一つにすぎません。しかし、この内容どおり、日本が世界政治に翻弄されることなく、安全で平和なオリンピック開催を実践することが日本に課せられた責務です。今回の東京オリンピック開催決定により、最近、失われつつある日本の「自信」を取り戻してもらいたい。経済的にも再発展の要因となることを期待しています。
ただし、政治面でも、日本は、自国の主張だけにこだわってはいけません。
 まさにオリンピック精神を前面に出し、あらゆる国と平和な社会を築くようにするのが日本の役割だと思います。


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子どもに罪はない

2013-09-04 22:25:52 | 日記・コラム
今日、最高裁判所で、婚外子に対する相続割合が、嫡出子の半分とする民法の法律(条文)を違憲・無効とする判断を下しました。
当然のことです。多いに賛成です。
生まれてきたすべての子どもに何ら区別も差別もあってはなりません。
婚外子に対する相続割合を差別する民法の条項は、戦後の家族制度・一夫一婦の夫婦制度を守る意味合いがありました。結婚していない男女から生まれた子どもの相続割合を婚姻関係にある親から生まれた嫡出子と比較して半分に差別することにより従来の婚姻制度を守ろうとしてきたのです。婚姻制度を守らないで生まれた子は平等扱いされない、と。
法律は、社会制度を維持するために必要なきまりごとです。しかし、社会はたえず変化しています。一夫一婦の夫婦制度そのものが日本の社会から崩壊しつつあります。多様な家族のあり方が生まれつつあります。婚外子といえども、子どもの立場からすれば、何ら差別される理由はありません。
結婚していない女性が子どもを産んではいけないのか。結婚していない立場の男女から生まれた子どもがどうして夫婦から生まれた嫡出子と差別されなければならないのか。生まれてきた子どもに何の責任もありません。
法律は、本来、その時々の社会の規範であるべきでした。しかし社会は大きく変化しています。一旦成立した法律も時節に応じた社会の変化に対応できなければ、逆に足かせとなり社会の発展を遅らせる原因となります。
法律改正を迅速に対応することによって法律と現実社会とのギャップを是正すべきです。しかし、現実の国会運営をみると、法律改正手続は余りにも時間がかかりすぎ、二院制の下で時間的な無駄が多すぎます。
その間隙を埋めるのが判例法でしょう。
最高裁判所の判決は下級審を含め司法判断を支配します。同じ係争案件は、下級審で最高裁判所の判断と結論を異にすると、結局は上告により下級審判断が覆されることになるからです。 
その意味で、今回の最高裁判所による婚外子違憲判断は、民法解釈に大きな影響を与えることになるでしょう。
裁判所の判断において、個々の事例による判断が、異なっては法の平等の精神に違反します。
全国一律に子どもを平等扱いするためには、早急に民法改正が必要です。
 

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