江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

キサゲ

2010年03月03日 | 労働・経済
キサゲという言葉をご存知でしょうか。
今年ある集まりで工作機械メーカーの製造部長さんの話を聞く機会があり、私はそこで初めてこの言葉を知りました。
工作機械というのは、機械部品を加工する機械ということになりますが(旋盤やフライス盤など)、この機械の精度が低ければ作られる部品の精度も落ち、その部品で組み立てられる自動車や電機製品などの品質も悪くなります。

日本の技術力の大元を支えるのが工作機械の精度だとも言えます。
キサゲは、工作機械製造の最後の仕上げ作業のことで、1ミクロンの精度で金属表面を削って平らにする手作業です。
機械仕上げではこの精度は出せないのです。

しかも単に平らにするだけでなく、上に乗る重量によるたわみを見込んだ微妙な曲面を削り出したりもしなければなりません。
このレベルになると30年の熟練が必要だとも言われています。

先日、JAM(機械金属産業の労働組合の産別組織)の河野和治会長と同席した時このキサゲの話になり、後日河野会長が絵本を送って下さいました。
『おじいちゃんの大切な一日』という絵本で、㈱牧野フライス製作所の会長が自費出版されたもののようです。
キサゲ作業の熟練技能者が退職する日の様子を描いた絵本です。

人が支えてきた日本の技術、その技能の継承がいま危機にあります。
モノづくり産業を元気にする春闘にしていきたいと思います。

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