書感とランダム・トーク

人間の本質を根本原理から追求研究する内容さらに遡っては生物・植物その他をサイエンス的原理から考察する。どうぞ御寄稿を!

アラブの大富豪  書感:散歩道 

2008年03月05日 | Weblog
著者:前田高行 京都大学法学部卒、宇部興産、アラビヤ石油、JETROリヤド事務所長発行者:佐藤隆信 発行所:新潮社 価格:¥680
単なる成金の話と思いながら、ひょっと手にとって見て驚いた。縁が遠いように思っていた中東の情勢を理解するのに役に立つことがたくさん書いてある。
中東には世界の石油と天然ガスの半分が眠っている。その量を仮に現在の石油価格で換算すると,1京3千兆円になる。10兆円と言われている徳川埋蔵金の比ではない。

1970年代に二度のオイルショックで産油国には莫大な富が転がりこみ、にわか成金がその富を乱費した。その背後で、御用商人が暗躍したが、その一人が英国のダイアナ姫の婚約者と言われパリで交通事故死したドディ/アルファイドの父親はその様な政商の一人であり、オサマ・ビンラディンもサウド家の」御用商人としてビンラディン財閥を築いたのである。
以上のような書き出しを読み始めて、これは大変なことが書いてあり、現在の中東の情勢を理解するのに是非読まねばと思って読み始めた次第。ここでは、ごく一部のみを紹介するのがせいいっぱいである。
第二章は世界一多忙なドバイのCEOと題してペルシャ湾に面するアラブ首長国連邦の一つドバイの建設ブームのことが書かれている。建設中の世界一のビル「ブルジェ・ドバイ」は、台湾の国際金融大楼508メートルを追い抜き、」800「メートル以上に向かって建設中とのこと。海上には巨大な埋め立て地が建設中で、サッカーのベッカム選手もその一角の別荘を購入しているとのこと。10億から50億で売り買いされているようだ。

ブームに浮かれるドバイも、それはたかだかここ数拾年のことで20世紀前半まではペルシャ湾沿岸のどこにでもある寒村の一つだった。代々のドバイの統治者はマクトーム家で、800人の仲間を連れてここに移住してきて真珠採りと、海賊で富を蓄えた。海賊といってもこのころはアブダビなど現在の国の殆どが皆海賊をやっていたというから、このころは皆海賊をやっていたということらしい。
20世紀初めに日本の御木本幸吉が養殖真珠を」はじめ、日本から遠く離れたペルシャ湾の天然真珠も消えていった。一方、海賊を滅ぼしたのは英国の商船隊である。世界貿易を独占していた英国は近代兵器を使ってしらみつぶしにペルシャ湾沿いの土侯達を攻撃して、これらの国を英国の保護領とした。

第二章まででも、これまで知らないことばかりが出てきて、とても全部の感想を書くことはできない。ぜひ、精読される事をお勧めしたい。2008.3.5. 散歩道

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