goo blog サービス終了のお知らせ 

二十歳を過ぎたころ

小さなことに一喜一憂する二十歳を過ぎた学生の軌跡。
→いつの間にか社会人4年目。二十歳を過ぎたころからのブログです

実習2日目。

2006年09月06日 00時14分57秒 | 読書
のはず。元気ですか?

おかげさまで読むべき本がだいぶ減りつつある。
ここ最近で読んだ2冊は次の通り。

『ひまわりの祝祭』(藤原伊織・講談社文庫)
ゴッホの「ひまわり」をめぐるハードボイルドミステリー。前作『テロリストのパラソル』が一作目。これが二作目。前作は江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞している。センセーショナルなデビューの後に書かれたこの作品の出来栄えはいかに。
……いや、面白いよ。作中の言葉を借りるならば、炸裂的に面白い。
“ハードボイルド”とは何ぞやと問われると答えにくいが、多分それは渋さ。主人公が、幼稚だけれど、頭がよくて、渋いのだ。『川の深さは』(福井晴敏)などに通じるものがあるけれど、もっと洗練されている。文章に無駄がない。先を読ませる力がある。
Amazonのレビューを見ると『テロリストのパラソル』の方が評価が高いようだ。自分もそう思う。それを差し引いても十分楽しめる。そう、炸裂的に。

『オーデュボンの祈り』(伊坂幸太郎・新潮文庫)
今をときめく伊坂幸太郎のデビュー作。新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
伊坂幸太郎は二作目『ラッシュライフ』でさらに人気者となり、続く『重力ピエロ』は直木賞候補となる。今後の活躍から目が離せないぞっ。
さてこのデビュー作。解説者はシュールだとおっしゃるが、むしろファンタジー(ファンタスティック?)だと自分は思う。小さな出来事を緻密に伏線を張りめぐらせて書ききった、そんな作品。随所に著者の主張が垣間見られる。そのあたりは分かりやすくてよい。
強烈なキャラクターが多く登場する。一番ユニークなのは、言葉を喋り未来が見えるカカシ。そのカカシが殺されるが、何故未来が見えるカカシは自分の死を防ぐことができなかったのかという問いが最後の最後まで続く。結末は心が温かくなる。「何だ、それだけの話か」と思うか、笑顔で「ふ~む。なるほど^^」と思うかは感受性次第だけど、自分はこういう話も好きだ。既に購入済みの『ラッシュライフ』に期待したい。

そして今日古本屋で4冊を新たに購入。読むしかないけど、自分、今週末に資格試験が控えているのを忘れているのでは?^^;
 『てのひらの闇』(藤原伊織・文春文庫) 
 『臓器農場』(帚木蓬生・新潮文庫)
 『閉鎖病棟』(帚木蓬生・新潮文庫)
 『アフリカの蹄』(帚木蓬生・講談社文庫)
以上で420円。ああ。古本屋って最高。

久しぶりの読書。

2006年08月22日 02時04分17秒 | 読書
月曜深夜2時半~6時半まで、『グレイブディッガー』を。
月曜昼4時~9時まで、『K・Nの悲劇』を。
読みました。
どちらの本も、著者は高野和明。第一作『13階段』で江戸川乱歩賞を受賞。上記の2冊は第二作・第三作にあたるものです。

『グレイブディッガー』はスリリング。疾走感がたまりません。つっこみどころも多々あるらしいのですが、個人的にはそんなのどうでもよく、心から楽しめました。“見えない炎”が作中に登場します。F1の事故で車から出てきたドライバーが踊っていると思ったら、実は見えない炎に焼かれていたということが過去にあったらしいです。あなおそろし。

『K・Nの悲劇』は、中絶がテーマの、ミステリーと言うよりはホラーに近い作品。霊が取り付いていろいろとやらかすわけですが、精神科医はどうにか精神医学的に解説・解明しようとするのが興味深い。もしも現実にこういうことが起こったら、こういうふうに治療されるんだろうなと思うと、どこかやりきれなくなります。

時間がないとはいうものの、意外にも読めてしまうもの。次は『他人を見下す若者たち』(速水敏彦)でも読んでみようと思う。
本は読まないかん。そう思う。

○ 高野和明(Amazon.co.jp)
○ 高野和明(Wikipedia)

東京タワー(リリー・フランキー)

2006年05月04日 14時30分14秒 | 読書
 よーし。……と気合を入れたけれども結局何も変わらないなあと脱力。いかに意思が弱いかをつくづく感じる、天気のいい昼下がり。
 昨日は母が下宿へやってきた。掃除をしてご飯を食べて東山動植物園へ行った。先日親父と一緒にご飯を食べた話もした。客観的にものを見るというのは、難しく、また大切で、時に冷たく思われようとも、かなぐり捨ててしまっては馬鹿になる、そんなことなのだと感じた。「どいつもこいつも自分勝手」という言葉に重みを感じずにはいられない。

……そんな日に読むんじゃなかった。
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
(リリー・フランキー  扶桑社  1,575)

 思わず噴出してしまうくだりもあり、鼻がじーんと痛くなるくだりもあり。“家族もの”の話には弱い。きっと歳をとっても弱いままだろう。本人にしか分からないだろうと思われる文もあり、冗長な箇所もいくつかあったけれど、全体を通してリリー氏のあたたかな想いが優しく伝わってくる。しんしんと、伝わってくる。
 読み終わった後に我が家を思うと、また泣けてきた。泣ける自分に驚く一方、でもこれは泣けるさあと思い、さめざめと手の甲で目を押さえる。そう、いつかは必ずそのときが来るんだ。……いつか必ず。


 今回は3位『死神の精度』(伊坂幸太郎/文藝春秋)190点、2位『サウスバウンド』(奥田英朗/角川書店)196.5点に大差をつけて、『東京タワー』が279点で1位に輝いた。この大作を、心の底では家族を想う全ての人に(特に男性の方に)おすすめしたい。


○ 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 (Amazon.co.jp)
○ 全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 本屋大賞


(1) 別れの手紙 (内館牧子 他)

2006年02月23日 17時56分18秒 | 読書


別れの手紙
著者:内館牧子・木のぶ子・瀧澤美恵子・玉岡かおる・藤堂志津子・松本侑子
出版:角川文庫 平成9年12月25日 初版発行
価格:462円(税込み)

 趣味に読書を掲げているのもあって、何か本を紹介してみようと思い立つ。今回紹介する本は『別れの手紙』(内館牧子 著)。古本屋で105円で買ってきた。
 6人の女性作家達が描く6つのエピソード。夫から妻へ、母から娘へ、と種類はいろいろであるが、それぞれの話の中で“別れの手紙”が登場する。

 こういう類の話は時が流れても色褪せない。そして短編集ということもあって気楽に読むことができる。空き時間にささやかな感動を得るのにはぴったりであって、何かと忙しいと短編に頼ってしまう。
 一番印象に残ったのは木のぶ子氏の「緑かがやく日に」。母から娘へと書かれたはずの手紙であるのに、とても生々しいリアリティーと迫力がある。最後は美しくまとめられていたのもよい印象に残った一因。

 そして解説は『博士の愛した数式』で一躍有名になった小川洋子氏。この解説がまた何とも秀逸で、自分が解説に感動したのはきっと初めてではないかと思う。古い本なので古本屋にしかないかもしれないけれど、お手軽に読める本として、お勧めしたい。