伊澤屋

歴史・政治経済系同人誌サークル「伊澤屋」の広報ブログ。

独裁少女サヨ子ちゃん 議案8 『赤と黒』

2019年06月26日 18時30分00秒 | Weblog

独裁少女サヨ子ちゃん


議案8 『赤と黒』



 4月25日の市長初当選から1四半期、3か月が経った。 気付けばもう7月も終わりではないか。

月一くらいでザ・反社!な裏金専門の金庫番と会う。 政活費、政調費といった類の政治資金系や市長交際費のような合法的な金の出し入れは党なり市なりでできるから良いが違法、特に反社会的な金の出し入れにはどうしてもその道の専門家が必要となる。 党中央と都連に推薦され最適任者として私が選任したのは顔も声も性格も超気持ち悪い目の前のこいつ。

通り名は 「スカスカ社長」「炭水王」。

これら通り名のいわれは後から話す。
民本党政権で平成22年から23年まで1年強内閣総理大臣を務めた伊達直人の党派活動・ゲバ棒戦士時代の後輩で日本ユニメコ協会に毎年多額の寄付をする等意識の高い経営者として業界では通る。


「市長のその目で真っ直ぐ見据えられると、何か凄く怖いんですよ」
「私の目が青いから?」

「そうじゃないんです。 それ言ったらレイシスト認定されて業界から永久に排除されちゃいますから。 いやね、私がどこかでヘマ打ったりしていつか絶対見捨てられるんじゃないかと」
「信用されてないのね…。 この世界非合法な仕事だからこそ逆に互いの信用は絶対に必要よ。 『氷の瞳とドライアイスの心』 はそもそも敵が付けた仇名なんだし私をもっと信用なさい」

「滅相も無い! 勿論私は市長を全面的に信用しておりますよ!! 私のこれまでの仕事で得られたノウハウは全部市長の為に使わせてもらいます」


ゲバ棒抱えていた頃からセコい事以外何もしてないお前の持ってるノウハウって一体何だ?
こいつの通り名の 「スカスカ社長」 とは、私が生まれる前の平成21年に起き流行語大賞にもノミネートされた消費者被害の 「スカスカおせち」 事件と、会社を畳みすぐに別個に再開しその1四半期後の桜の季節に性懲りも無くまた起こした 「スカスカ花見弁当」 事件による。

普通に言って社会の屑だが、こいつは立ち位置的に貴重な存在だった。 福祉予算、国際友好予算の増大で教育費特に学校給食関連の予算が年々大幅に削られ大改革を迫られる中こいつの会社の冷凍食品が三鷹市で圧倒的な占有率を誇っており隣接自治体の武蔵野市、小金井市でも然り。しかもそこは先輩の伊達直人の選挙区たる衆議院東京18区だから何をかいわんやだ。

更に、やはり隣接自治体の杉並区でも革新リベラル系の区長の田中麗の肝入りで(もうほぼ当確な)受注獲得に動いているというのだから恐れ入る。

こいつの所の製品。 冷凍で炒飯でも餃子でもピザでも牛丼でも品揃えはまあ豊富だがとにかく

「高い」 「不味い」 「体に悪い」

ものの見事にこの三拍子だ。 犯罪だ。
1980年代英国で英国病治療の為断行されたサッチャリズムでも行政改革、コストダウンの一環として学校給食への冷食始めインスタント食品の積極利用は行われたが 「高い」 が加わりもはや完全に大義が無い。 保護者の支払う給食費の引き上げも続き各家庭の家計を更に追い詰める。
そもそも三鷹市は、特に私が通ったさくら小は給食が美味しい事で全国的に有名だったのだ。
塩焼きそばと揚げパンは定評があった。 店頭売りの無いヨーグルトはその美味がもはや神話だ。

それをこいつは一人で完全にブチ壊した。

具材をケチって米系、小麦系の分量だけが過多なのを異常な程大量の調味料で誤魔化しているのでとにかく炭水化物過剰、塩分香辛料過剰で平日毎日喰うだけで健康破壊一直線の刑罰レベルだ。
こいつのもう一つの通り名の 「炭水王」 はここから来ている。
「冷食王」 「美食王」 と後世の歴史家から絶賛されたいという気持ちは微塵も感じられない。

なので移民のイスラム教徒やユダヤ教徒の児童向けの無料のハラール、コーシャ給食を食べたいと

「お願いだから改宗させて下さい!!」

と中東・アフリカ各国の大使館に必死になり問い合わせる日本人児童、保護者が続出し大使館側で

「大使館でイスラム教、ユダヤ教への改宗、入信の手続きや儀礼等は行っておりません」

と新聞広告や公式SNSで伝えるまでの事態となった。
もう既に健康被害が表面化しており立進党市政でなかったらとうに報道が連日伝えているだろう。


「近いうちに社長の会社のごはんを私も食べてみたいわね ♪」
「…市長も、 相当な命知らずでいらっしゃる。 すぐ傍で救急が待機するなら喜んで」

画像

噴飯だ。



「加戸尾。 来週府中まで行くのにキャデラックと運転手を用意して」
「御意」


今月はもう一つ懸案があるのだ。 日侠組のデブ議長が警大を卒業して地元に帰ってくる。
 
私の当選よりも前に国家公務員総合職採用者待遇で4月きっかりに警察大学校の初任幹部科に入校させておいたのだ。 だが現役の暴力団組長をいきなり警視正の階級で採用させしかも額面よりも更に二階級上の警視監の給料を払わせるとは私も随分なやり方をするが、その時点ではまだ一介の党職員だった私のこの案を通した立進党も立進党だ。

卒業式の来賓で私だけが呼ばれると流石に通常の試験採用の学生達に非常に強い違和感を与える為カモフラージュに府中市の近隣自治体の立進党や移民党系の首長も何人か招待された。


「♪ああ伝統を、受け渡す…」


校歌にある伝統は今死んだ。 その伝統は悪魔若しくは死神に受け渡されここにはもう無い。
卒業生総代、課程学生長として学校長の前で祝辞を読み上げるデブ議長の声は自身に満ち溢れてはいるがしかしどこまでも反社会的な響きを持ち憚らない。


「とても立派な祝辞だったわ…。 それに、ちょっと痩せたんじゃない?」
「いやぁ~、♪ 組に入って直ぐの部屋住み修行以来のきつさでしたよ! もうやれませんねェ」

「よく言う! 一般採用のキャリアは勿論教官まで召使いにして何不自由無い毎日だったくせに!」
「あ~、それを言っちゃあおしめえよぉ。 もう、お嬢には敵わないなァ。 でもきつかった!」

「ま、20何年ぶりの勉強と運動の毎日で大変だったのは認めるわ。 私の下で働く為のね ♪」
「そう! だから早寝早起きも汗だくの柔剣道もお嬢の為に全然平気だったんでさぁ ♪」


通り名は 「デブ議長」。 いかにも都合の良い時だけ調子の良さそうな屑男だが、実はこいつは日本の任侠史上かなりエポックメイキングな奴なのだ。 とにかくアイデアマンで先見の明があり


「馬鹿野郎!! ウチは大卒しか入れねぇ!!」


以上は十数年前の流行語大賞にも選ばれた。 フル規格の暴力団で盃に 「学歴制限」 を設けたのは奴が、日侠組が全国初だ。 国政レベルで保守政治の長期化、自分達が生きる渡世の先細り傾向を誰よりも早く感じ取り衰退を防ぎつつ必死に黄金時代の再来を待ったその眼、胆力は買いだ。


「でも何で 『日本任侠道本庁』 なんて役所みたいな名前なの?」
「それはですね。 役所の様な名前だともう絶対従わないといけないと誤認してお金をすんなりと払ってもらえるからです ♪」

「じゃあ後半の 『さくら組』 は何で 『さくら組』 なの? 役所の次は幼稚園みたいだし」
「先々代の初代が、地元でしてね。 先々代御自身もそうだったんですがさくら小とさくら中のOB、OGを中心に組を立ち上げたからでさあ ♪ 硬軟織り交ぜての先々代渾身の命名ですよ」

「…聞くんじゃなかった」
「お嬢、そう仰らないで下さいよ。 みんなお嬢が大好きなんですから」

「ま…内心の自由は決して奪えないし私を好きでも嫌いでも構わないわ。 議長には来月には新編する三鷹青年警察署の、M.Y.P.S.の初代署長をやってもらうんだし仕事上の信頼関係は絶対持てるようにするわ。 その点は心配要らないから」


そうか。 これからはこいつの通り名は 「デブ議長」 じゃなくて 「デブ署長」 なのか。
情報を更新しておかないといけないな。


「そうでさあ! M.Y.P.S. う~~ん、いい名前ですわな。 『ムカつくヤツはパクってシバく』 私や子分の流儀にぴったりでさぁな。 お嬢の為に絶対いい仕事をしますよ!!」

「いい心掛けね。 額面上は警視正で所属長の大規模署長配置だけど権限上2階級上の警視監待遇だからもうこれ以上偉くできないわ。 これより上だと警視総監と警察大臣しかいないもんね」
「いえいえ、 私はお嬢の為なら一番下の巡査で出入りの敵に撃たれて死んだって構いませんわ」


「ああ、取材の真生です。 議長、警大卒業に当って何かお言葉を… ってお嬢。 すみません、お話し中でしたか。 では私の取材は後程」
「いや、もう話は終わったからいいわ。 真生さん、議長を目一杯男前に撮ってあげて。 ♪」



ヤクザとパパラッチの臭いが混じってもう今にも吐きそうなくらい最悪よ! 今日は速攻撤収!!

しかし、私自身が選んだとはいえ反日、赤旗の赤と任侠、黒社会の黒のコンポはとにかくつらい。

                            議案8 『赤と黒』 完     


次回予告

「僧侶と政治家は年を取れば取るほど値打ちが上がる」 誰? 今この場で本気でしばかれたいの? 意味も無く只古くなっただけなら産廃よ。 いや、それは産廃に大変失礼ね。 再利用すらできない癌よ。 「先生」 と呼ばれる職業には…ありがちな事だけど政界はそれがつらすぎる。
だがここでちょっと待った。 無駄に年を取っただけじゃない、敵として相応なしかし面倒な奴が現れた!


次回 議案9 『独裁者対熟練工!』

できるものなら、 出会いたくなかった。 でも出会ってしまった…。  とても、 つらい。

From now I want to it leave to Judgement of huture historans.

真実を直視せよ。


(え・伊澤 忍)



                               ©小林拓己/伊澤忍 2679


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 独裁少女サヨ子ちゃん 議案7... | トップ | 独裁少女サヨ子ちゃん 議案9... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事