伊澤屋

歴史・政治経済系同人誌サークル「伊澤屋」の広報ブログ。

独裁少女サヨ子ちゃん 議案9 『独裁者対熟練工!』

2019年07月03日 18時30分00秒 | Weblog

独裁少女サヨ子ちゃん


議案9 『独裁者対熟練工!』



 令和9年9月27日月曜、仏滅。 議会の第3回定例会の会期ももう終わりに近いというのに。
このまま波風立たず何も無く平穏に終われば良かったのに、終盤で最悪に面倒な奴の番が来た。
特定用途補助金・助成金審査特別委員会で。味方側にとっては喉に刺さった鯛の骨の様な奴だ。

いつものように議長の一声。 嫌なものだが試合開始、だ。 


「それでは、 次の通告者。 24番 吉田武一君、登壇願います」
「議長よりご指名を頂きましたので通告に従い質問をさせて頂きます。 宜しくお願いします。 この仕事に就いて40年の老いぼれ、老害ではありますが若くしてこの道に進まれた市長にお伺いします。 今の市政に於いて市長の仰られる 『多様性』 は余りにも恣意的な解釈で運用されておりごく普通の市民が皺寄せを強いられるのが常態化しており特定特殊な利権に預かる方々は批判を受け都合が悪くなると 『差別だ』 とさえ言えばどんな反社会的行為も罷り通る傾向が強くなってはいないでしょうか」

「市長 理辺サヨ子さん」
「ご批判は真摯に受け止めますが吉田議員のご質問はあまりにも範囲が広く大雑把過ぎはしないでしょうか。 抽象的に過ぎるのでもっと具体的な、個別の案件等々についてご質問願います」

「24番 吉田武一君」
「あまりに克明な、詳細な具体例一つ一つを最初から市長に突き付けては非常にお困りになられると思いまして、先ずはワンクッション置いて勿論これ以降お話していきます」

「市長 理辺サヨ子さん」
「私が未熟だからと吉田議員がお手加減をされる必要は全くありません。 寧ろ私が未熟であれば未熟なうちに完全に倒し、吉田議員の味方側の将来に至る安寧を図るべきでしょう。 ご質問を」

「24番 吉田武一君」
「お心遣いどうも有難うございます。 では質問の本題に入らせて頂きますが日本国憲法では 『任侠権の独立』 が明記されており自主憲法制定を結党当初より強く主張する我が党も現状ではそれに真っ向から反対し即刻無くせとは言えません。 しかし、ここで言う 『任侠権』 の主体足り得るのは司法官憲から公認を受けた職業的な侠客だけであり市長が就任後に相次いで助成金支給対象に加えられた暴走族や舊車會や全グレ等はこの職業侠客に相当せずこれら支出の決定は憲法違反で無効となるべきものではないでしょうか」

「市長 理辺サヨ子さん」
「只今のご質問にあったうち、市から助成金を月300万円支給している東部同盟にしても同団体のメンバーが兼任している舊車會にしても全グレは 「盃」 の有無で違いがあるのみで立進民主党指針、国連非常勤特別報告者コメントでも暴力団と変わらない権利、権限を持つものとされており市の支出に違憲性違法性はありません」

「24番 吉田武一君」
「市長、 よくお聞きになられていなかったのですか。 私は全グレの話を申し上げているのではございません。 全グレだけでなく青少年主体の暴走族も中高年主体の舊車會もそれ以外の色賊、愚連隊等も含めて申し上げています」

「市長 理辺サヨ子さん」
「…? どういう事でしょうか。 確かにご質問で全グレと仰いましたし私は色賊、愚連隊の話は出してはおりません。 吉田議員は急にお話を変えられてはいませんか」

「24番 吉田武一君」
「ふっ。 よくお聴きになられて下さい。 途中 『等』 と確かに私は申し上げました。 ♪」

「市長 理辺サヨ子さん」
「そもそも! 法解釈としてこれら助成金支出は国連非常勤特別報告者コメントに照らし合わせても正しい歴史認識として世論のコンセンサスを得ています!!」

「24番 吉田武一君」
「うむ。 うむ…。 なるほど。 市長が仰った 『国連非常勤特別報告者』 って実は私もその資格持っているんですよ。 今から8年ほど前にネットで登録させてもらいましてね。 ♪」


いつだって、こうだ。 味方の報道や学者や芸能人を相手に話するのとあまりにも違い過ぎる。 団塊? ポスト団塊? 神は何故かくも取り扱いに困難を来たす対象を作り世に送り給うたか。 


吉田武一(よしだ・ぶいち)。 昭和29年生まれ。 73歳。 

三鷹市議会自由の党議員団幹事長で昭和62年の市議会議員選挙に32歳で初当選以来11期連続当選の超ヴェテラン。 通り名は 「政治の鉄人」 「三鷹の鬼」。
これまでに議長を計8回、副議長を5回、文教委員会や町づくり環境委員会といった常任委員会、外環道委員会といった特別委員会の委員長を数えきれないほど経験しており今数えている最中だ。

長女の吉田愛子はやはり自由の党所属の都議会議員で三鷹市選挙区選出。 「美し過ぎる都議」 で知られる。

私が外来の新たな支配者ならばこの父娘は差し詰め未だ恭順の意を示さず抵抗を続ける在地の土豪か地侍の血筋といった所か。


だがこの父娘、唾棄すべき旧弊の象徴といった存在ではなく立場の差云々を度外視すれば学ぶべき点の多い貴重な存在だった。
現に三鷹市にしろ隣の杉並区にしろ自由の党の議員たちは半数強が二世、三世といった世襲議員であり 「家業」 としての仕事の流儀や思考様式等を学ぶには大変有難かった。
特に父武一には絶賛すべき、だが雑誌や専門書には未来永劫載る事が無い特異な業績があった。

「吉田学校」

と非公式には呼ばれる、不定期の私的勉強会を主宰し将来的に政治家を志す若者は勿論議員、首長といった現職政治家までもがその教え子に名を連ねる確かな技術継承の仕組みを持っていた。

奴の市議初当選の翌々年平成元年には産声を上げ、そこから得られる知識技能等教育水準は政党が通常は各都道府県連、委員会で運営している政治塾など足元にも及ばないほど非常に高く、全国に散らばる数百人の卒業生の結束は固くそれ自体が見えない脅威と充分呼べるものだった。

奴は当選回数を重ねた40代後半くらいまで都連、更には永田町の党中央から何度も都議や近隣の市区長、知事(※公選法上、議員と違い首長は当該選挙区の住民である必要は無い)更には国政への転出を強く求められていたにも関わらずそれを固辞し続け市議でい続けたのは決して落選のリスクを負いたくない、狭い範囲で 「お山の大将」 でいたかったなどというセコい計算ではなく党、政界の未来の為、内部的にしろ外部からの力によるものにしろ淀み易い政界に良い人材を供給する役割を果たしたいという思い故にだった。

この吉田学校を、またこれを40年近く続けてきた奴をどう表現すべきか。 正にかつての日本の産業の屋台骨を支えた町工場での、熟練工が油まみれ、粉まみれになりながら師と弟子の修行僧の如く部下達に技術を伝えていった日本型経営の政治への移植であり奴は政治における 「神様」 級の熟練工に他ならなかった。  これは対話ではない。 独裁者と熟練工との戦争だ。
奴を失脚させ社会的に消しても、又は極論物理的に消去しても教えを受けた弟子、孫弟子それ以下は無限に増え続け日本政界における奴の教えの血脈の駆除は永久に不可能だ。



この日の会議より数日後、 市長室。


「加戸尾、 M.Y.P.S.警備課と東部同盟に頼んでおいた吉田武一と家族の行動調査は終わって?」
「はい。 期限の先週までで全て終わっています。 ただ…」

「ただ? 何か見過ごし難い問題でも起きたの?」
「いいえ。 調査自体はできていて日常の行動の大体は把握できましたが、要員の問題です」

「調査に当る要員が? 年寄りのくせにあんまりにも活動的で尾行がきついとか感想が来たの?」
「体力的な問題ではなく、対象の行動から身辺を探っていく段階が進むほど心理的につらい、と」

「そう… 報告の物自体は出来ているの?」
「はい。 それについては問題無く」

「そうね… 調査に当った要員も疲労しているだろうし娘の吉田愛子の方の本格調査はまだ後ね」
「御意」

                            議案9 『独裁者対熟練工!』 完


次回予告

「アメリカを見ればいい。 保守の女はみんな美人でリベラルの女はその正に真逆じゃないか」

私にしばかれる覚悟があるようね。 現実にそうであっても口に出せば即刻しばかれるのは当然の帰結よ。 でも周りを見渡すと、認めたくないけど保守本流を標榜していてそれに美貌も加わる女が多くて脅威を感じるわ。 でも言えるのは、その美貌という武器は使わせない。 使わせる前に葬り去るのみ。 が私の流儀。 逆に味方の女の美なら大歓迎。 愚かなオトコドモの票の源泉、だもの。 ♪ 


次回 議案10 『美こそ罪』

この罪、私への量刑は重いと見たわ。 ♪ でもそれ以前に何人であれ私を裁かせはしない。

From now I want to it leave to Judgement of huture historans.

真実を直視せよ。


                               ©小林拓己/伊澤忍 2679


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