伊澤屋

歴史・政治経済系同人誌サークル「伊澤屋」の広報ブログ。

独裁少女サヨ子ちゃん 議案2 『これが政治だ!』

2019年05月15日 18時30分00秒 | Weblog

独裁少女サヨ子ちゃん


議案2  『これが政治だ!』



「あ~あ…」

「清々しくなるくらい盛大に負けましたね。 吉田先生」
「ああ、お通夜だ。 大河原、お前が受かったのは不幸中の幸いだったけどな」

「今日が通夜で明日が告別式、って所ですか…」
「上手い事言うじゃん! だけどな、都連が押し付けてきたバカボン一人受からせるのにそいつが六千票も集めたせいでそのあおりで五人落選で三議席減で野党落ちだもんな。 自業自得って言う以外言い様が無いわな」

「ま…、石原の子飼いの新人だから絶対落とさせちゃいけないのは解ってても、こっちは白石先生まで落とされたし、しかもあの市長ではもうこれから状況は悪くなるばかりですよ」
「だよ… 現状やるだけの事はやるけどもう駄目かもな。 あの金髪の小娘に命綱を握られた」

 

TELLL… TELLL… 旧与党の議員控室の電話が鳴る。



「吉田先生。 …理辺サヨ子さんからお電話です。 吉田先生に直々にと」
「おお、出るわ! 噂をすれば…だな。 早速刑の言い渡しかな。 あ~あ、胃が痛くなるぜ」

「もしもし、理辺サヨ子です。 吉田先生、御当選本当におめでとうございます」
「はい… ありがとうございます。 こんな老いぼれの方が当選してしまって落選した若手達に申し訳無く思っていたんですけどね。 いや、理辺市長こそ初当選誠におめでとうございます」

「いえ市長はまだなっておりませんので。 吉田先生がお気に病む御必要は全くありませんわ。 今回御連絡差し上げたのは与党幹事長の吉田先生に直にでないといけない事でしたので」
「それを仰るなら『旧』与党と仰って下さらないと。 どうやら吉報ではなさそうですね」

「いかにも! 議会運営で… これまで慣例として議長は与党第一党、副議長は野党第一党から選出していましたが副議長を与党第二党からに変更します。 宜しくお願い致します」
「ええ…承知しました。 今回の結果だと新しい副議長は公徳党からですね。 わかりました。 はい。 会派に伝えておきます」

画像


「ふぅ………  諸君、状況は更に悪化したぞ!!」


一先ず、旧与党のドンは黙らせた。 今頃旧与党の議員控室はソ連の対日宣戦布告直後の関東軍状態に違いない。 令和9年4月26日月曜日。 昨日結果が出た市長選、市議選の直後に二度目の敗戦を味あわせて敵の出鼻は挫いた。

それからは週内に現市長からの引継ぎ(そもそも、同じ立進民主党だから当選を見越して事前に殆ど終わっているが)を済ませ、翌週には小3から中、高、大学で同窓だった加戸尾を法務省から2年の期限で出向させた上で副市長に任命し脇はがっちり固めた。

日付は前後するが市長選立候補以前から既に調整し決めていた事項で当選後に発表する計画で既に前年度に成立していた市予算の大幅な組み換え、一般会計予算約700億円のうち1割の70億円は 「過去の歴史を償う」 意味で大使館ルートを通じてアメリカへの思いやり予算として専決処分で支出。(これはさすがにアメリカ大使館も当惑し最終的に約半額の38億円で妥結した) 

次に元祖外国人歌手で日本ユニメコ協会親善大使のアイリス・ミンと市参与・市公式イメージキャラクター任命の4年の長期契約を締結し同様に専決処分で年6億円、4年分で計24億円を支出。 

体育館、市民センター他施設管理の市指定管理者の入れ替えで日本任侠道本庁さくら組(日侠組)を指名競争入札で落札手続完了。 暴走族、舊車會、全グレ、白賊、緑賊といった色賊やその他反社集団に根拠法となる条例制定を待たずに市からの助成金を支給。 新聞協会と警察省任侠局に事前に伝え報道管制を敷かせた。 

私と新与党のあまりの電光石火の早技に旧与党も他叛徒も何もできなかったのはこれ以降非常に有用に作用した。 後で容易に覆せない既成事実を大量に積み重ねる手法は実に効果的だった。
これら案件処理は市長当選後初の議会となる6月の第2回定例会までに全てが終わった。


「加戸尾。 来月の第2回定例会初日に取材の報道は何社? 報道席の確保はもう終わって?」
「はい。 全国紙と在京キー局計17社です。 傍聴席の最前列全部を専用に取っておきました」


私は選ばれた。 選ばれたからには選んだ者も選ばなかった者も嫌でも完全に服従してもらう。
私は調整するのでなくあくまで支配する。 その支配は極めて厳しく過酷なものとなるだろう。  

                           議案2 『これが政治だ!』 完   

次回予告

血の繋がりだけが家族じゃない。 至極正論じゃないの。 逆に幾ら完全に血が繋がっていてもこいつは家族や親戚と到底認めてはいけない奴がこの世には確実に、いる。
わかる? 克服するんじゃなくて殲滅、尽滅するのよ。 それが世界の為、だから。


次回 議案3 『その男 ベルナール』

おぞましきその血ですらも、我が糧とせん。

From now on I want to leave it to Judgement of future historians.

真実を直視せよ。


(え・伊澤 忍)



                            ©小林 拓己/伊澤 忍  2679


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