電源が入らないと言うPW1を入手した。現象はコントロールパネルのPOWERをオンにしてもうんともすんとも言わない。他に電源スイッチらしきものはないので開腹手術開始。
PW1はMRF-150プッシュプルを4台電力合成してHF/6mの1KWアウトアンプ、構成は
・PAアンプx4
・スプリッターとコンバイナで4合成
・メインユニットとフロントユニットで制御と監視
・ATUとアンテナスイッチで2台のエキサイタと4系統のアンテナを切換る
・電源
サービスマニュアルはネットで手に入るが、よく見ると電源(PX-1981と言う大きなユニット)の回路図は無いが其の他はすべて手に入る。
チェック手順:
ケースを開けると45Vの電源とPA間のターミナルが見えるのでPAからのケーブルを外し、テスターでショートしていないか確認する。ショートしていなければPAは多分OK。 次にPX-1981を開けリレーボードをチェック、ここには菅フューズが2個あるので確認する。入手したPW1は完全に飛んでいた。 試しにFUSEを新品に交換しコンセントにつなぐとそれだけでボン、となると電源ユニットに誘導雷?が入り内部の破壊が考えられる。回路図がないとどうしようもないので調べた結果、Yahoo GroupのPW1グループで回路図を入手。ここから苦難(楽しい?)の原因追求が始まるHI。
電源は以下のサブユニットで構成されている:
AC入力フィルタPCB
リレーPCB ・・ 突入電流を押えるためソフトスタート機能が入っている。
SUBREGユニット: これは本体に供給する12Vと電源電圧によってファイナルにかける電圧をコントロールしている。100Vの場合は500W、200Vの場合はKWに自動選択できる。 実はこのPCBはACに直つながっており(NFBは入っているが)メイン電源を切らない限りフューズが入っているだけでつながりっぱなし。従い、誘導雷はいとも簡単にここから入りこむ。 構成はACをブリッジ整流し、パワートランジスタを220KHz程度の自砺式発振器でスイッチングしトランスの二次側で12Vと18Vの二系統が出ており、出力をシャントREGで電圧設定と同時に発振回路にフォトカプラで戻しているスイッチングレギュレータ。 このユニットで不良だったのは:ブリッジダイオード、パワトラ、フォトカプラ、其の他ダイオードやトランジスタなど多数。 コンデンサは平滑用は全部ダメ、実験中12Vと18Vの平滑Cもパンクした。抵抗は全部OKだった。
ACTFILユニット:ここはACをブリッジ整流し、DC高圧を発生させるPCBでパワーFETが3つ使われている。 ここではブリッジダイオードの破損、FETが全部ご臨終だったが、其の他はOKだった。 単独で実験は出来ないのでSUBREGユニットを動作させててからの実験となる。
CONVユニット:高圧をスイッチングしトランスの2時側に45Vを発生する回路。 ここはテスタでチェック結果損傷がないことを確認できたため交換部品はなし。
DCフィルタユニット: 電源とPA間のフィルタ
CONNECTユニット: 上記ユニット間のやり取りとメインユニット間のやり取りを行う。 ここも誘導雷では影響を受けていなかった。
以上の中で、肝はREGユニットでこれが動かないことには実験は出来ない。実験中パワトラが何度も昇天したが、理由はフィードバック回路からスイッチングレギュレータの発振回路に戻すフォトカプラがNGだったため、パワトラに常時コレクタ電流が流れ熱によって破壊された。フォトカプラを交換することで解決。
この手の修理ではどの部品がNGか分からないので、まずは目視でチェックするが、半導体は全部交換するつもりでサトー電気で購入。 ただしREGユニットのパワトラ 2SC4237と25Aのブリッジダイオードは無かったので若松通商で調達した。
手順として、まず回路図を入手し、構成を理解する。半導体は全部交換するつもりで手配する。その後、REGユニットを動く様にしたあと、高圧部分の部品をチェック交換する。 部品代は使わなかったものも含め15K程度かかった(使ったのは半分位だった)
電源が動く様になってから仮に本体各ユニットと結合し動作試験を行った。 予想通りファイナルは元気で、ATUも問題なく動作したが、安定度がどれくらいかもう少し様子を見て変更届を出す予定。
なお、半導体は一部同じものが手に入らないので代用品を使った。 主なものは以下の通り。
RG-4C → 3TH41A
D1NL20U → 1DL42
MTW20N50E → 2SK3911
PC111YS → TLP431
電源ユニット全景

電源とPA間中継ターミナル

リレーユニット フューズが飛んでいる

DCフィルタユニット

SUBREGユニット実験中

ACTFILユニット

CONVユニット

SUBREGとACTFILそれにCONV組試験中

本体と組み試験中

Yahoo GroupにPW1と言うのがあり、メンバーになると色んな情報が手に入る、申し込みすると管理者より承諾が数日で出るので検索するか、Fileに回路図含め改造記事や実験記事が出ている。これは是非見る価値があります。今回の修理もこのサイトでほとんど情報を得ることができた。 また、スイッチングレギュレータも色んな種類があり、PX-1981では基本的な回路が使用されているがよく理解しないと修理は困難でしょう。 動作原理を理解すれば後は順を追って実験し解決できると思います。 以上参考まで
ファイトに感心します。
自分の経験ではフォトカプラはDC的にはアイソレートされていますが、スパイク状のパルスに弱く筒抜けになります。 LEDとフォトトラが接近しているのでC成分で通り抜けるようです。
そういう状態ではDCで分離されていなくてもLCのフィルターの方が強かったことを経験しています。
お蔭様で、先日分けていただいたパワトラを交換し、此方の電源も生き返りそうです。