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オー、捨てないと!

隠れオタクな会社員の買い物や感じた事

保護帽

2010-01-04 20:21:12 | 保護具
昨年末のヘルメットの話題が盛り上がって(?)まいりましたので、
頃合いよしと判断して薄っぺらですがこの話題。

先ずは概要。
ヘルメットには以下の3種類があり、それぞれ作業の種類に応じて選択し着用する。
・飛来、落下物用
 その名の通り物が落ちてくる可能性のある職場。
 工事現場などでは上で作業している人がうっかり工具などを落とすかもしれない。
・墜落時保護用
 先ほどとは逆に着用者本人が落下する危険のある職場。
 具体的には2m以上の高所作業。
・電気用(使用電圧7000V以下)
 感電する危険のある職場。
 ヘルメットが通電部に触れても通電しないもの。
(※あくまで大まかな概要であり、実際には法令等を参考にしてください)

単なる飛来、落下物用を除いて機能は重複するものであり、
一番上は「飛来、落下物用兼墜落時保護用兼電気用」となる。
墜落時保護用と飛来、落下物用は簡単に言うと内側に衝撃吸収ライナーの有り無し。 
衝撃吸収ライナーは主に発泡スチロール製。

さて、以上を要約するとヘルメットとは
「物が落ちてきたり、着用者が落下したり、電線に触れた際に保護する物。」となる。
逆を言えば、「こういう危険性のある場所ではヘルメットを被りなさい。」ということです。


さて、知識が薄いので細かいことを省略して個人的な感想などを。
私が会社に入った頃、支給されていたのは谷沢製作所の野球帽型でした。
メーカー、形式問わずヘルメット着用の難点は蒸れる事とズレること。
ある時、機械の修理で狭いところに入って修理する際に当然着用したのですが、
直ぐにズレてきて視界を塞いでいくヘルメットに閉口したものです。
ただし、作業中に動く度に「コツン」「ザリッ」と音がするのは
ヘルメットによって頭部が保護されている紛れも無い証拠であり、
休憩の際に汚れたヘルメットを拭ってみて無数の傷がついているのを発見し、
ヘルメット無しではとても危険で作業できなかっただろうと思ったものです。

 
画像は倉庫から見つけてきた当時の物に近いもの(114-EP)。
内装の取付鋲が外れているのでこの状態では使用しないこと。
白色のヘッドバンドの形式に注意。

この後、古くなったヘルメットの交換が行なわれ、新型のST#1090-GPZとなりました。
このヘルメットは以前と同じ前ひさしつきスタイルながら、
蒸れを防止する通気穴がついたことで蒸れが軽減され、
以前の支給品には無かった衝撃吸収ライナーがつくことにより墜落時にも保護されるようになりました。
時に2m以上の高所作業をやっていたのに以前は墜落保護ができてなかったのです。
そして何より驚いたのが新型ヘッドバンドが採用されていたこと。
これには本当に驚きました。

(画像は同形式のヘッドバンドが装備された104-EPZ)
これは谷沢製作所がEPAと呼称しているものでワンタッチでヘッドバンドを調節可能にしたものです。
着用時に締め付けることにより頭部により密着してズレが小さくなりました。
ヘッドバンドの位置をより低く、ネックバンド形式にすることもこれに貢献しているといえるでしょう。
また、写真では写っていませんがアゴヒモも旧来の単なる調整式からワンタッチ金具が装着され、
脱着がしやすくなった他、万一ヘルメットが挟まれた時には外れるようになっていると言われています。
ただし、外れにくいように後部の方に持ってきたアゴヒモは耳に当たったりして不快に感じることが多くなりました。
現時点で最大の不満点です。
内装(着装体:ハンモック)は樹脂製から布製になり装着感が向上しました。

とまあ、不満点はありますが現時点では及第点です。

私の場合、修理などの非定常作業の際にしかヘルメットを着用することの無い限られた職場ですが、
炉前作業で防災面を装着したヘルメットを被ることがあり、
特にズレないヘルメットはたいへんにありがたいものです。

最後に注意事項。
ヘルメットは正しく装着して初めて効果を発揮します。
あみだに被ったりせずしっかりと被り、キチンとアゴヒモを締めること。
転落した時に脱げて行くヘルメットを見ながら「話が違う!」と叫んだ所で助けてくれる人などいないのだ――
(詳しくは取扱説明書にて熟知すべし。)
まあ、全ての保護具に言えることですよね。

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SR リトラ

2009-12-18 22:43:21 | 保護具

何だかんだで安全帯買いました。
藤井電工・ツヨロンのSRリトラです。



工場の色々な所に登ってみて考慮してみたところ、
・熱処理炉の上は大してフックの部署位置が見当たらないか安全柵が設置されている
・大径フックの方が多少は使いやすいかもしれない
・ロープ式は使わない時にジャマをしすぎるし、ロープが垂れていると熱で焼損しないか不安
という点が出てきました。
そもそも安全帯を必要とする機会は少なそうなんですがね・・・。

で、選定したSRリトラですがこの安全帯はリール(巻き取り)式ながらショックアブソーバーを廃することで、
工具等の吊り位置を広げています。
使う前から色々と選定に問題があったと痛感しましたが、藤井さんとこのカタログ意外と判り難いんですよね。

では、各部の特徴から。

先ずはバックルから。
バックルにはスライド部にバネが入り「脱げ」を防止すると共に、
間違った通し方で事故を防ぐために誤挿入が防止できるような形状になっている。
また、通す順序がわざわざ刻印されている。
安全帯のベルトはズレたりしないよう、腰骨の辺りで巻くこと。
位置が悪いとすっぽ抜けたり、内臓破裂を起こす。
バックルは重量形なのでスチール製だが、軽量形のアルミ製やワンタッチバックルも選べる。
ずっと画像に出てこないが、
反対側のベルト金具は一般的なベルトと同じく先端に金属製のチップがついているだけで特別なものではない。


フックは大径フックで約50mmまでのパイプなどに直接掛ける事が可能。
フックは打ち抜きのFS-99がついている。
ナイロン製のフック収納袋は標準装備。
巻き取り式はともかく、ロープ式の安全帯ではフックを雑に扱わないよう特に注意すること。
ロープ式ではロープ本体にも注意する必要がある。
収納袋で見えないがベルト本体には製造番号の入ったラベルが縫い付けられており、
裏面には使用開始日と名前を書き込むラベルが縫い付けられている。
ラベルから見るにベルト本体はリトラシリーズ全て共通のようだ。


巻取り器周辺。
SRリトラの巻き取り器はスケルトンタイプ。
織ロープの長さはフックを含めて1100mm。
巻取り器横のにあるのは緩衝リングで安全ブロックなどのフックを引っ掛ける口リップ環としての役目を果たす。
同社のリトラやリトライトであればショックアブソーバがつく部分であるが、
この緩衝リングで代用することにより腰周りをスッキリさせている。

余談になるが万一落下した際は樹脂製のベルト通しで固定された巻取り器本体はベルトから脱落して、
ベルトと緩衝リング(リトラならショックアブソーバ)で吊られることになる。
この吊り位置に注意が必要で必ず体の真横より後ろに来るように注意が必要で真後ろであるのが最良である。
安全帯というのはベルト一本で体を吊ることになるので、
万一体の前方で吊られると脊髄などを損傷する恐れがある。


フックと織ロープを繋ぐ部分を見る。
織ロープとフックは摩擦による損傷を防ぐため別材質の磨耗防止ベルトで繋がれ、
織ロープと縫製することによって繋がれている。
縫製部分は縫製部保護チューブで守られている。
縫製部分の矢印のような独特の形状に注目。
強度確保と共に緩衝を目的としているのかもしれない。
この部分が切れている場合、交換が必要だ。

この部分に限らず、安全帯は点検する箇所が多いので注意すること。
合成繊維で作られている安全帯は特に紫外線に弱いので、
屋外使用が多い場合は外見に異常が無くても定期的に交換する必要がある。

さて、そんなこんなで購入したSRリトラであるが、
ショックアブソーバが無いため落下時の衝撃吸収性基準をクリアするため緩衝リングをつけるだけでなく、
ロープの長さを短く(リトラ、リトライトでは1700mmに対し1100mm)することでクリアしている。
そのためフックをかける位置に制限が生じる。
また、SRリトラ、ロックリトライト(説明書には載っているがカタログ落ち)においては、
巻取り器は常にテンションがかかるタイプで常に引っ張られるテンションがかかっているため、
万一の落下時には最短の状態で落下して安全性が高い反面、作業にストレスを感じる可能性がある。
これはカタログを何度見ても読み取ることができなかった(簡易巻取り式の・・・という記述はある)。
本来ならリトラ、リトライト、2wayリトラを選択するべきであった。
そして緩衝リングを備えているものの試験による最大引き出し落下による衝撃力は7.0kNと
リトラ、リトライトの4.3kNと大きく水を開けられている。
実際に使ってみないと分からない部分ではあるが、この選択が凶と出ないことを願うばかりである。

サンコーやポリマーギヤの安全帯についてはまた書く機会があったらということで。

最後に文句ばかり書きましたが、実際のところ
・どれほど安全帯を活用する機会があるのか
・使用状態での落下ではロックリトラの4.0kNに対し3.4kNと小さい
・7.0kNは規格の8.0kN以下ではあるし、ロープ式安全帯と同等
・そもそも落下時の事を考えすぎるのはどうか
といった点もあるのですがね。
ロープの短さだけはいかんともしがたいです。

と、書いておいて実際に使ってみての感想を。
ロープは若干短く感じられるものの、常に気になるものではない。
常に巻き取りのテンションがかかっているが、それほど気になるものではない。
大径フックは万能ではない。
唯一部署できるアングルにかけようとしたらフックがかからず・・・。
この時の絶望感は半端なものではない。
仕方無しに中途半端にフックをかけた状態で作業をしたが、
一度下におりた際にワイヤーロープを持ってきてアングルに巻きつけ、
ワイヤーロープに安全帯のフックをかけるようにした。
ちなみにフックのロックがかからない状態で万一墜落した場合、
フックは変形・破損して着用者の安全は護られないだろう。

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ヘルメット 侍

2009-12-02 22:45:06 | 保護具

安全用品を扱うミドリ安全より新しいヘルメットが発売されました。
その名も「侍 SAMURAI」。

とりあえずCMをご覧下さい。


同社では既に目を守るスライド式のシールドを内蔵したタイプのヘルメットを販売してますが、
「侍」では顔全体を覆うシールドとして粉塵や液体の飛散、火花などから保護できます。
また、シールド下部には飛来物を跳ね返す形状とすることで首周りへの飛散を防止、
外側に傷のつきにくいハードコートと内側に防曇加工をしています。
また、シールド本体は交換可能。

保護メガネや防災面を別途で用意すればいいのですが、
それほど必要でもなく、しかし必要になることもあるという職場では便利だと思います。
ヘルメット内部に収納されるのでヘルメット外側が出っ張ることもありませんし、
レンズに傷がつくことも防止できますしね。
こういったデザインは消防用のヘルメット(防火帽)としては前からあるデザインで
フランスのガレ・F1ヘルメットなどが有名(国産にも普通にあるけどね)ですが、
産業用としては日本初だそうです。

面白いから1個買って会社で使おう。でも一人だけヘルメットが違うのはおかしくない?ってなオチを
プレスリリースを読んだ時点で考えておったわけですが、発表された単価は1万円越え。
一般的な工業用のヘルメットの単価が2000円程度であることを考えると少々お高いですね。
ミドリ安全のサイトはこちら

それにしても今回もユニークなCMで来ましたね。
テレビでCMやってどれほど効果があるのか謎です(〇ザックとかI〇Iとかも)が、
優秀なCMだと思うのは私だけでしょうかね?


 

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3M防じんマスク 9312J-DS1

2009-04-01 18:19:51 | 保護具

 いよいよ花粉症シーズンに突入した。
私のような花粉症持ちには厳しい季節だ。

対策としては薬を飲んで症状を抑えると共に
マスクをしてできるだけ吸い込まないようにするしかない。

そんなわけで(?)今回はこのマスクを紹介。


これは以前紹介した興研、重松製作所とは異なるスリーエム社のものだ。
同社は産業用、医療用のマスクのみならずテープや接着剤など幅広く扱う会社で
有名な付箋・ポストイットも同社の製品だ。

今回の9312J-DS1は同社の使い捨て式防じんマスクの中でも
携帯性とフィット製を主眼にデザインされたモデルだ。


このマスクは鼻当て部、中央部、あご当て部の3つの部分から構成されており、
最初は畳まれている鼻当て部、あご当て部を開いて装着する。
折りたたまれているため、未使用状態では平たい形状となって嵩張ることが無い。
画像は一度使った物を内側から見たところ。
鼻当て部には外側にアルミ製の板が内蔵され、
着用者の顔に合わせて軽く曲げることでフィット製を高めることができる。
このアルミ板は同社の使い捨て式防じんマスクの全てに装備されている。

鼻当て部内部にはポリウレタン製のパッドが内蔵され、
装着感の向上とズレ防止に役立っている。



装着状態。
あごをしっかりとカヴァーしているのが分かるだろうか。
ゴムバンドは2本で構成され、確実にマスクを装着できる。

マスクの中央には排気弁が設けられ、呼吸をしやすくしている。
この弁は上部だけを押さえている「のれん」のような形状から「のれん弁」と呼ばれているが、
動作は確実で不安要素は無い。



次いで未使用の状態を。
上は防じん性能が高い(DS2)9322J-DS2。
下が今回紹介した9312J-DS2。
後者の方が小さく見えるのは一度使って丸みを帯びているからで、
実際には表面のマークが無ければ外見上に違いは無い。

最後に性能を記しておこう。
3M  9312J-DS2 使い捨て式防じんマスク
粒子捕集効率         80.0%以上
吸気抵抗            60Pa以下
排気抵抗            60Pa以下
使用限度時間         19時間
重量           14g以下
二酸化炭素上昇値 1.0%以下
吸気抵抗上昇値   75Pa以下

装着時の注意としては鼻当て部をなるべく顔の上の方へ持ってきたほうが
密着性が向上するようだ。

余談になるが近年、一部の救急隊で感染症予防としてこのマスク(9322Jか?)が使われているようだ。

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興研 防毒マスク R-5型

2008-09-22 23:00:14 | 保護具

今回は防毒マスクを紹介。
防毒マスクというとゴツい軍用のいわゆる「ガスマスク」を連想しそうだが、
実際の作業現場では小型のものも多用されている。

これが今回紹介する興研のサカヰ式 R-5型だ。
これは区分として「直結式小型防毒マスク」として規定されるもので、ガスの濃度が0.1%以下で使用される。
形式は呼吸器だけを保護する「半面形」。


こちらは側面から見たところ。
ややもするとボンネット二重構造を見えなくもないが、これは通常のタイプで下に排気弁がついている。
それでも排気弁が見えにくい位置に入っているのは
塗装作業などで使用する際に塗料が付着するリスクをできるだけ下げるため工夫だろう。
しめひもは1本のタイプ。
通す部分が複雑な形状をしているが、これは4点式しめひものR-5X型と共通面体で利用しているから。
実際に仕事で使ってみて気付いたことだが、2点式のしめひもは装着が容易な反面、
作業をしているうちにマスクの位置がズレてくることが分かった。
隙間が出来るほどではなかったが、あまり気分のよいものではない。
そういった点から高性能のマスクでは4点式のしめひもを標準としているのではないだろうか。



で内側。
もはやお馴染みのフリーポジションアンダーチン面体により、顔の大小を問わずに高いフィット性を誇る。
無論、シリコーン製面体と接顔部の梨地加工により長時間の着用でも不快感を低減している。
内部には付属の吸湿スポンジを入れる事ができる。
これは特に塗装作業のおいてマスクから落ちた水滴が品物の表面に落ち、不良品となってしまうのを防ぐ必要があるからだ。
ただし、同社の防じんマスクの一部に付属する接顔メリヤスは絶対に使用してはならない。
密着性が命の防毒マスクでは僅かな隙間が健康を害する結果になるからだ。


再度全体を見る。
しめひもはポリバンドを使うRBタイプ。
布バンドのRAタイプも存在するのは言うまでもない。

画像のマスクに装着されているのは有機ガス用のKGC-1型(M)吸収缶。
吸収缶正面の独特の形状は塗装作業時に発生する飛沫の侵入を防ぐチッパーという簡易フィルターを取り付けるためのもの。
防毒マスクの吸収缶そのものには防じん効果は全く無いため、そういったフィルターの併用が欠かせない。

ここで、吸収缶について軽く解説しておこう。
防じんマスクと異なり、防毒マスクでは存在するガスによって専用の吸収缶を用意しなければ全く効果がない。
実際、このマスクにも
・ハロゲンガス用
・酸性ガス用
・有機ガス用
・アンモニア用
・亜硫酸ガス用
・硫化水素用
の6種類があり、最適な吸収缶を用意する。

また、それぞれにも種類があり、たとえば有機ガス用の場合
・KGC-1型S(除毒能力85分以上)
・KGC-1型M(同200分以上)
・KGC-1型L(同260分以上)
があり、それぞれ質量も違ってくる。

また、吸収缶の交換時期はガス濃度と使用時間を記録して付属の破過曲線図より算定するが、
短時間で繰り返し使用する場合、連続での使用時間より破過時間が短くなる可能性があることを熟知せねばならない。
特に有機ガス用吸収缶は湿度による性能劣化があることも考慮する必要がある。
臭気による判定は個人差などによる差が大きく、あまりアテにならないことも覚えておく必要がある。

そのうえで必要な作業条件は
・作業場所の酸素濃度が18%以上
・作業場所の有毒ガス等の濃度が0.1%以下
・有毒ガス等の平均濃度が暴露限界の10倍以下
の全てを満たしている必要がある。

と、まあ、たいへん複雑になりますが、一般的な塗装作業や模型製作では
マスクのフィットと吸収缶の定期的な取替えに気をつけていれば大丈夫かと思います。
工業的にマスクが必要な時はそれなりの標準が存在するはずですので。
あれ、ウチってそんなものあったか・・・?

画像の物はR-5-05型ですが、現行は改良型のR-5-06型が販売されております。


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興研 防じんマスク1180C

2008-08-04 22:27:30 | 保護具

以前紹介したものと同じく興研のフィルター交換式防じんマスクを紹介。
それがこのサカヰ式 1180C型だ。


以前紹介した1005R型や1021R型と大きく異なるのはフィルターだ。
それらのマイティミクロンフィルターに対し1180C型においてはアルファリングフィルターを採用している。
これは極細径のガラス繊維をプリーツ(ひだ)状かつラウンド(円形)状に加工する事により、
ろ過面積を底面積の最大12倍まで拡大させることにより、
高い捕集効率と長時間使用可能という相反する性能を実現したフィルターである。
また、アルファリングフィルターは撥水加工が施されているため、水分やオイルミストの存在する環境でも効果を発揮する。


フィルターを外したところ。
アルファリングフィルターは樹脂製のケーシングと一体となっており、
本体に直接ねじ込むだけで取り付けが完了する。
無論、本体にはパッキンが設けられ、隙間からの粉じんの侵入を防いでいるのは言うまでもない。
この形式のため、フィルターの価格は1個500円程度となっている。


次いで、マスクの内面を見てみる。
興研お得意のフリーポジション・アンダーチン面体により顔の大きな人にも小さな人にもフィットしやすくなっている。
また、シリコーン製の面体はひじょうに柔らかく、高いフィット性を持っている。
ここで内部の弁の配置に注目!
通常と異なり、排気弁が吸気弁の上についてる。
これは排気弁をマスク外側の樹脂製のケーシング(ボンネット=面体のプラスチック部分)で保護する事により、
排気の一部を排気弁近くに滞留させ、排気弁の動作が悪くなったりした際に粉じんを吸い込むことが無いようになっており
この構造を「ボンネット二重構造」という。


次いで全体を見てみる。
伸縮性に優れたスパンデックス製のしめひもは頭頂部を布テープで押さえるRAタイプ・・・といいたいところだが、
この1180C型においてはポリバンド仕様は設定されていないようだ。
(ただし、別売り品を取り付ければポリバンド仕様に変更可能)

全体的にひじょうに軽量かつ、呼吸の楽なマスクでとても感心させられるマスクだ。
フィルター(LAS-51C)には活性炭が配合されているため、有機臭を取り除くことができるため、
粉剤、水溶剤などの農薬散布用として売り出しているようだ。
私はオイルミストの発生しやすい熱処理課という職場であるのと、溶接作業を考慮してこのマスクを購入した。
防じん性能はRL2と溶接作業に対応しているし、
活性炭配合のフィルターは溶接作業時に発生する有害なオゾンを取り除くことができるからだ。

さて、上で書いたボンネット二重構造だが、意外な欠点が露呈した。
寒い時期に使用したら、排気に含まれる水分が排気弁より外のボンネット(面体のプラスチック部分)に付着、
マスクをしたままくしゃみをしたらこの水分が一気に噴き出した。
通常のマスクは排気弁がマスク下面についているため、水分が溜まっても排気とともに排出されるが、
このマスクは排気弁が高い位置にあり、マスク内に水分が溜まっても逃げようが無いのだ。
当然、オプションとして吸湿スポンジが存在しているが、個人的には不安を覚えざるを得ない。

また、このアルファリングフィルターには同系統の物を装備したマスク、1111型があるが、
そちらは活性炭が配合されていないだけでなく防じん性能としてRS2と何故かオイルミスト存在環境では使用が出来なくなっている。
同じように撥水加工されているので大丈夫だと思うが・・・違いは不明。
このマスクの追い番は03(1180C-03)。
一応、今のところ改良型は出ていないみたい。
また、フィットテスターはG型を使用するが、フィルターの吸気部分が小さいので手で押さえて容易に密着が確認できる(陰圧法)。

説明書による性能(平均値)は
粒子捕集効率(DOP粒子)  97.3%
吸気抵抗            61Pa
排気抵抗 43Pa
吸気抵抗上昇値 125Pa
死積 0.31%
二酸化炭素上昇値 124立法cm
質量               88g     
となっている。







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興研 防じんマスク サカヰ式 1005R型

2008-05-26 18:05:24 | 保護具

以前の1021Rに続き、今回も興研のマスクを紹介。
それがこの1005Rだ。

これは1021Rと同等のRL2の性能を持つ。
金属ヒュームの発生する溶接作業に最適のマスクだ。

1021Rとの違いは何と言ってもそのフィルターの面積にある。

190×80mmというひじょうに大型の静電フィルターを顔の形に合わせて曲げる事により、
コンパクトにデザインされている。
また、フィルターは15200平方mmという大面積を持つため、低い吸気抵抗と長時間の使用を可能にしている。
フィルターの交換も画像のように正面のカバーを開くだけで簡単にできる。
カバーも留め具のツメを外すだけのワンタッチだ。
それだけでなく、1005Rには装着時の密着を確認するためのフィットチェッカーが内蔵されている。
画像でフィルター上部に伸びているのがそれだ。

防じんマスクの装着で最も重要とされるのはマスクと顔の密着である。
いかに優れたマスクであろうとも顔との間に隙間があれば、そこから粉じんが進入し、何の意味も成さなくなる。
そのためには装着時のフィットテストが必要になる。
大半の場合吸気口部分を押さえたまま息を吸って空気が入らないかテストする陰圧法を使う事になるが、
やり方が悪いとマスクを変形させてしまい、正確なテストができなくなる。
また1005Rの場合、溶接面との併用やスパッタ吸い込み防止を狙った吸気口を手で押さえることは困難だ。
そのため、フィットテストを確実に行なえるフィットチェッカーの装備は正しい選択といえよう。


しめひもは布テープで頭頂部を押さえるRAタイプ。
以前、ワークマンで売られていたのはこのタイプだった。
収納時に折りたためるので便利と言えば便利だが、個人的には安定性はポリバンド使用のRBの方が高いと思う。
首の後ろは樹脂製のワンタッチ留具がついており、装着は簡単に行なえる。
また、しめひもは耐久性に優れたスパンデックスしめひもを採用。
このあたりは1021Rなど他の防じんマスク、防毒マスクと共通だ。

次いで裏面。

高いフィット性を誇る「フリーポジションアンダーチン面体」も他のマスクと共通。
排気弁は下方1箇所にある。
フィルターの状況を確認するフィルターチェックウインドウも当然装備している。
なお、一般的なMサイズのほかに顔の小さい人向けのSサイズも存在する。
フィルターにはオゾン臭を除去するKCフィルター、
メルカプタン臭を除去するKBフィルターも装備可能だが、取り扱い店は少ないのではないか?。
また、顔の接顔部の肌荒れを防ぐための接顔メリヤスが付属しているが、
密着性が下がるようで私はあまり好きではない。
また、マスク内部には湿気をとるための吸湿スポンジを入れることができる。
冬場など水滴が多く溜まる時には有効だ。

ちなみに手持ちの物(画像の物)の型式は1005R-06。
現行のタイプの追い番が-07なので何かしらの改良があったと推測される。
性能から推測するにフィルターが能力向上したようだ。

性能(1005R-06型・数字は平均値)
粒子捕集効率   98.74%
吸気抵抗                49Pa
排気抵抗                42Pa
吸気抵抗上昇値    68Pa
死積                       192立法cm
重量         147g     

このマスク、製鉄所、鉄工所などではよく見るマスクであり私の会社でも採用されている。
なぜかと思ったら、フィルター(ろ過材)が200円程度と安いのが最大の特徴であるようだ。

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興研 防じんマスク サカヰ式 1021R型

2008-04-10 18:17:35 | 保護具

久しぶりに防じんマスクのレビュー。
今回は取替え式と呼ばれるフィルター交換式のマスクの紹介。

今回は興研の各種ある取替え式のマスクのうち、1021R型。
これは左右に円形のフィルターを収容することで下方視界を向上させ、
高所作業や足場の悪い作業に対応させたモデル。


外見の特徴は何と言っても左右に装備されたフィルターだろう。
直径が86mmなので表面積は約5806平方mm。
左右合わせて11612mmの表面積となる。
何故に表面積の話になるかというと、表面積が広い方が吸気抵抗が低くなるからだ。
フィルターは水色のケーシングを外して交換することになる。
フィルターのみを交換する方式をとることで交換フィルターを300円程度と安くすることに成功している。
この安さが興研の強みで、工業用として多用されている理由はここにあると推測される。

また、フィルターは興研お得意のマイティーミクロンフィルターと呼ばれる物を使用している。
これは、羊毛フェルトを基布とした静電フィルターの一種で、フィルターに帯電させて粉じんを捕集させる物である。
一般的に静電フィルターは液体粒子の捕集は困難であると言われているが、
興研は独自の技術でこれを克服している。




装着したところを側面から。
しめひもはRB型と呼ばれるポリバンドが頭部につくタイプ。
全体が布製のRA型よりも頭部へのフィットが優れているように感じる。
首の後部に来る留具はワンタッチで留められるようになっている。
なお、鼻のあたりに隙間ができているのはマネキンヘッドの形状が実際の人間と異なるからで、
実際には高いフィット性能を誇る。




次いで内面(ちょっと汚くて失礼)。
面体には「フリーポジションアンダーチン構造」と呼ばれる構造をとっている。
これは下顎(アンダーチン)を固定しない(フリーポジション)とすることで顔の大小に関わらず
高いフィット性を確保する。
また、面体に使用されるシリコーンは常温のみならず低温化でも高い柔軟性を持ち、
なおかつ低刺激性となっている。
また、接顔部分を細かな梨地とすることによって装着感を向上させている。
フィルターのケーシング裏面には透明な窓「フィルターチェックウィンドウ」を設けることにより、
フィルターの汚れを簡単に確認できる。
とはいえ、裏面まで汚れてきたら手遅れじゃないのか?。
興研のマスクは製造年月の書かれたシールが貼られているのも特徴だ。
なお、このマスクはの正確なタイプ名は1021R-06型。
「-06」は追い番で小改良が施されるごとに数字が増える。
現状では06が最新みたいだ。
これも常に最良の物を目指す興研の企業姿勢がうかがえる部分といえよう。

このマスクのフィルター性能は国家検定RL2レベル。
これは溶接作業に伴う溶接ヒュームなどの金属ヒュームやオイルミストの存在する環境で使用できる。
フィルターには溶接作業などで発生するオゾンを取り除くKCフィルターや
メルカプタン臭(腐敗臭?)を取り除くKBフィルターが併用可能となっているが、あんまり売っていない。
また、マスクの密着をテストするには専用のフィットテスターF型が必要である。
(手で塞いでもできるけどね)

最後に取扱説明書による性能を。
数値は平均値。

粒子捕集効率 98.80%
吸気抵抗 59Pa
排気抵抗 40Pa
吸気抵抗上昇値 105Pa
二酸化炭素濃度上昇値・死積 0.56%・224立方cm
質量 149g

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興研 ハイラック650

2007-07-13 22:16:39 | 保護具

以前紹介した興研の使い捨て式防じんマスク、ハイラック620の改良型、
ハイラック650を先日入手した。
というより620を使ってしまったのでワーク○ンに買いに行ったらこれしかなかった。
小売価格は変わらない。

外観上はマスクの色が前の黄緑から薄い黄色になっている点のみが異なる。
これは防じんマスク用静電フィルターの原反からフィルターを打ち抜いた廃材を再利用して作られた「バイプロミクロンフィルター」と呼ばれる物を利用している事に由来する。
また、長さが調節可能なしめひもの先端には突起がモールドされ、不意に外れないよう改良された。
また、しめひもそのものが変更され、幅が4mmから5mmになり、素材もより柔らかい物へと変更された。
些細な点だが大きな改良だ。

内部にも大きな変更は無く、折りたたみ機能を実現するため(および形状保持のため)の樹脂製の格子が内蔵されている。
ただし、ハイラック620よりも格子が薄い気がするのは重量を軽減するためだ。
また、外観上は分からないがフィルター内部には結露防止加工が追加された。
実は、ハイラック620を5月頃使用していたところ、内部に水分が溜まることがあった。
排気弁無しの防じんマスクとはいえ冬場では無く春過ぎのこと。
これには私も驚いた。
今のところ実際にこのマスクを使ったことがないので結露防止加工の効果がいかほどの物かは残念ながら分からない。

折畳んだ状態。
この状態でポケットに収納することが可能だが、内部に粉じんが入らないように気をつけたい。
なお、防じん性能は以前と同じDS2で微細粉じん、溶接作業、感染症対策に使用可能だ。

最後に性能の一覧を見てみよう。()内は旧型のハイラック620の性能。
性能(平均値)
粒子捕集効率  98.71%(97.2%)
吸気抵抗     35Pa(42Pa)
排気抵抗     35Pa(42Pa)
吸気抵抗上昇値 92Pa(105Pa)
死積        149立方cm(173立方cm)
質量        9.6g(11.0g)
ぬれ抵抗値    33Pa(37Pa) 
使用限度     20時間(13時間)

どの面でも性能の向上が図られており、興研の企業努力が伺われる。
しかも価格は据え置きだ。

なおバリエーションにはしめひもがフック式の650T型、排気弁つきの655型がある。

2009年10月4日 誤字訂正しました

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重松 使い捨て式防じんマスクDD11-S2

2007-06-12 22:58:52 | 保護具
さて、以前紹介した物とは異なる使い捨て式防じんマスクを紹介しよう。

今回は以前紹介した興研と並ぶ国内大手マスクメーカー、重松製作所のDD11-S2だ。

重松製作所は1917年の創業から現在まで一貫して呼吸用保護具を中心とする保護具を製作しているメーカーだ。
が、私の知る限り使い捨て式のマスクは長い間販売していなかったように思う。
そんな重松が満を持して発売したのがこのマスクだ。



中央のライン(分割線とでも言おうか)が目立つこのマスクは、国家検定合格品で区分はDS2。ハイラック620と同等品だ。
すなわち溶接作業や感染症対策に使用できることを意味している。
しめひもはフック式で容易に脱着が可能だ。
が、フック式は耳に当たって痛いので私は付け替えて上下2本式に組み替えて使用している。
短くすれば耳掛け式にもできるが、安全性に問題が出るのは以前述べた。
2本式のタイプも発売されているようだが、残念ながら手に入らなかった。
また、しめひもはハイラック620同様、サイズ調節が可能だ。

今度は内部を見てみよう。


内部には本体の形状を保つと共に、折りたたみ機能を付与するためにポリエチレン製のインナーフレームが入っている。
本体の左右分割構成と相まって折りたたんだ時の形状はハイラック620と比較して良好だ。
また、内部外周にはポリエステルの接顔布が取り付けられており、すき間からの漏れこみを防止して高い防じん性能を発揮する。
興研のハイラックは顔との密着性が高い分、接顔部分が汗をかくことが多いが、重松は布が顔に当たるため、肌触りは良好だ。
逆に布では漏れ込みが危惧されるが、裏にポリウレタンコーティングされているので心配は無用。

個人的にこのマスクが優れていると思う点は眼鏡をかけていても使いやすい点だ。
興研やスリーエムのものは眼鏡が微妙にズレてしまう。
が、欠点がないわけではない。
問題はその価格。
ハイラック620の約400円と比較して、約500円と高価だ。
ネット上で調べてみると、もう少し安いところもあるようだが、マスク1個をわざわざ通販する気にならない。
欠点はこれくらいだ。

なお、DD11-S2の姉妹品としては、排気弁をつけたDD11V-S2、
区分がDS1のDD12-S1、それに活性炭繊維を内蔵したDD12A-S1がある。
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