活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

タウン誌に望みたいこと

2015-04-20 12:02:39 | 活版印刷のふるさと紀行

 紙メディアの領域がどんどん減っていくのをみるのは私のような活字人間、印刷人間にはなによりもさみしいことです。先日も新聞社の人と話していて、夕刊の配達を断る人が多く、夕刊だけならまだしも新聞購読そのものをしない若者が年々ふえて困ると聞きました。

 デジタル情報でじゅうぶん用が足りるというのでしょうか。活字の力をもっと評価してほしいと思ってしまいます。

 そうはいってもメトロの駅などに積んであるフリーペーパーは別にして、最近は、企業PR誌だとか、地方情報誌だとか、同人誌といった紙メディアも目に見えて減って来ています。そんな中にあって神出鬼没ではありますが比較的健在なのが「タウン誌」ではないかと思われます。

 ただ、残念なのはタウン誌で圧倒的なページを占めているのはグルメ記事、飲食店ガイドであることです。もっとも最近はテレビでもグルメ番組でなければ旅行か健康番組一色ですから已むを得ないかもしれません。

 そこで」1975年創刊のタウン誌『深川』を紹介したいと思います。

 偶数月発行ですから最新号が3・4月号ですが、表紙に大きく「東京     

大空襲を語り継ぐ」とあります。わずか2時間半の空襲で深川周辺だけでも3万人、東京都内で10万人もの犠牲者を出した1945年(昭和20)3月10日の東京大空襲を終戦から70年の特集としてとりあげているのです。3月10日の深川の町の再現、戦災資料センターの紹介、地元にある慰霊碑30にも及ぶ慰霊碑の紹介、空襲の体験談と充実した中身です。あるいは70年という歳月が惨禍の地元にあっても風化させてしまっているかもしれませんがタウン誌がたんたんと語り継ぐ姿勢に打たれました。

 タウン誌の多くがあまりにも今日的な情報提供に終始しておりますが、『深川』、のようにもっと町の昔を語り継ぐ記事をとりあげてほしいと思います。



 


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