主権と領有権

(コメント)
今夜は基礎知識として主権と領有権です。

主権とは、「自らの意思を除き、いかなる権力にも従属しない権力」です。極論すれば『何でもあり』です。自分で決めたこと以外には拘束されないという意味です。主権は原則として国家のみが持ちます。一応、国際機関も主権を持つという考え方もあるようですが、電突には関係ないと思いますので、国際機関はここで考えなくてもいいと思います。主権は、国内的権利と国外的権利の二種類に分類できます。言い方を替えると主権とは複合概念(混合概念)です。国内的な権利とは領有権、統治権といいます。一方、国外的な権利とは、独立権といいます。
まとめると次のようになります。

1.主権とは、自らの意思を除いて、いかなる権力にも従属しない権利である。
2.主権は国内的な権利と国外的な権利から成る。
3.国内的な権利は統治権または領有権という。
4.国外的な権利は独立権という。

領有権は、「領域を保有・収益・処分する権利」と、「領域に対する司法・立法・行政を行う権利」の複合概念です。「領域を保有・収益・処分する権利」は所有権と言い換えることができます。「領域に対する司法・立法・行政を行う権利」を狭い意味で統治権ということがあります。以後は混乱を避けるため、国内的権力を領有権、「領域を保有・収益・処分する権利」を所有権、「領域に対する司法・立法・行政を行う権利」を統治権と呼ぶことにします。独立権は、自らが望まない限り、国際的ないかなる権力にも従わないという権利です。
まとめると次のようになります。

1.領有権は所有権と統治権から成る。
2.所有権は、領域を保有・収益・処分する権利である。
3.統治権は、領域に対する司法・立法・行政を行う権利である。
4.独立権とは、自らが望まない限りいかなる対外的な権力にも従わない権利である。

領有権は分割性があります。例えば、米国から返還される前の沖縄は、日本が所有権を有し、米国が統治権を有していました。所有権にも分割性があります。例えば、租借地では保有・収益する権利がありますが、処分することはできません。処分とは領土を放棄、割譲することなどです。
まとめると次のようになります。

1.領有権には分割性がある。
2.所有権には分割性がある。
3.処分とは領土を放棄、譲渡すること等を指す。



★参考文献 (株)有斐閣 国際法 図説国際法 ★
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