日韓請求権協定

日韓請求権協定
(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)

署名  1965年6月22日(東京)
効力発生  1965年12月18日

日本国及び大韓民国は、両国及びその国民の財産並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題を解決することを希望し、両国間の経済協力を増進することを希望して、次のとおり協定した。
(コメント)増進したくないんですが。

第1条【経済協力】
1. 日本国は、大韓民国に対し、
(a) 現在において1080億円に換算される3億合衆国ドルに等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から10年の期間にわたって無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において108億円に換算される3000万合衆国ドルに等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかったときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。

(b) 現在において720億円に換算される2億合衆国ドルに等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付で、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極めに従って決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から10年の期間にわたって行うものとする。この貸付けは、日本国の海外経済協力基金により行われるものとし、日本国政府は、同基金がこの貸付けを各年において均等に行いうるために必要とする資金を確保することができるように、必要な措置を執るものとする。
前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。

2. 両締約国政府は、この条の規定の実施に関する事項について勧告を行う権限を有する両政府間の協議機関として、両政府の代表者で構成される合同委員会を設置する。

3. 両締約国政府は、この条の規定の実施のため、必要な取極めを締結するものとする。

第2条【財産・請求権 - 問題の解決】
1. 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
(コメント)「完全かつ最終的に解決された」という文言はかなり有名ですよね。

2. この条約の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執った特別の措置の対象となったものを除く。)に影響を及ぼすものではない。
(コメント)以下の(a)、(b)は本条約により消滅しないという意味、つまり(a)、(b)に含まれる事項は現在でも主張可能だということだと思われる。
(a) 一方の締約国の国民で1947年8月15日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益
(コメント)ここで述べられている本条約により消滅しないものとして、1947年~1965年(戦前、戦中を含まず)までの個人の財産、権利、利益だけが含まれており、請求権が含まれない点に注目。つまり戦前、戦中における個人の請求権は本条約により消滅しているという意味合いを同号は持つ(はず)。同号(a)にある「権利」が請求権に該当するという考え方もあるだろうが、同条1項で権利と請求権が別個に述べられているから、権利と請求権は異なるのだろう。従って、戦前、戦中のいわゆる従軍慰安婦の損害賠償請求権は本条約により消滅していると解するのが妥当だ(と思われる)。同時に戦前、戦中における日本側の個人の請求権も消滅しているのだろう。
(b) 一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であって1945年8月15日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいったもの

3. 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であってこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であって同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
(コメント)同項は、同条2項(a)のダメ押しの意味か。同項で述べていることは、1947年以前に生じた、いかなる請求権(国と個人)もお互いに主張できないということだと思われる。これにより、戦前、戦中における請求権は双方が主張できなくなったのだと思う。

第3条【紛争解決】
(コメント)要するに本条約を無視して、戦前、戦中の賠償にイチャモンつけたいなら、この条文に従ってやりなさいということだろう。しかし韓国側のイチャモンはとどまるところを知らないので、さっさと2項~3項に従って処理したほうがいいと思う。
1. この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

2. 1の規定により解決することができなかった紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から30日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該機関の後の30日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が氏名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であってはならない。

3. いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかったとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかったときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが30日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもって構成されるものとする。

4. 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする
(コメント)韓国政府の性格から察するに、彼等は絶対に仲裁委員会の決定に服することはないだろう(と思われる。)。

第4条【批准】
この協定は、批准されなければならない。批准書はできる限りすみやかにソウルで交換されるものとする。この協定は、批准書の交換の日に効力を生ずる。

★ 引用元 株式会社有斐閣 国際条約集2000年版 ★
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