熱情 ゲオルク・トラークル
オルフェウスが竪琴を銀色に奏で
夕べの庭で死者を悼んでいるとき、
高い木々の下で安らう者よ おまえは誰なのか。
秋の葦がさやいで嘆きの音を立てている。
青い沼は
芽生えの木々の下で息絶えて、
妹の影を追う。
奔放な種族の
昏い愛。
黄金の車に乗った昼が轟音を立てて飛び去る。
静かな夜。
暗鬱な樅木の下で
二頭の狼が石のように抱き合って
その血を混ぜた。
雲が
小橋の上で金色に消えた。
子ども時代の忍耐と沈黙。
ふたたび 華奢な屍が
トリトンの沼で会う、
そのヒヤシンスの髪の中でまどろみながら。
この冷たい頭がはやく砕けてくれますように!
いまも一頭の青い獣が
たそがれゆく木々の下を 眼光らせながら
さらに昏いこの径をたどっているから。
夜の快い響きに眠りを忘れ
柔かな狂気に心奪われて。
そして 昏い恍惚に満ちた
この弦の響きは
石の都会で罪を贖っている女の
冷たい足元に届いていたから。