DEBUO日記アジア情報

東北,東南アジアの政治,経済,音楽,食が中心です。

経済破綻①アルゼンチンその2

2006-10-08 | 経済(特に韓国)


その1からの続き

●90年代のアルゼンチン経済の回復●


 <回復した原因>

①カレンシーボード制(固定相場制)により,インフレの沈静化に成功。
②公営企業の民営化
③貿易の自由化をはじめとする規制緩和
④公共事業の拡大

90年代後半に至るまで高成長を続けることとなる。

※カレンシーボード制(固定相場制)
メリット
●為替変動リスクの抑制。貿易・投資促進。
●インフレ防止策。
●一般的に,通貨に対する投機的な攻撃に強い。
デメリット

●金融政策や為替政策の余地が限られる
●為替レートの変更が容易でなく,通貨の過大(過少)評価が生じやすい



●アルゼンチン通貨危機発生●


--------------------------------------------
アルゼンチン通貨危機発生のメカニズム
  ①「90年代の経常収支赤字拡大と同赤字補填額を大きく上回る外資流入」
⇒②「経済低迷と対外バランスの不均衡拡大」
⇒③「投資家の不安拡大」
⇒④「資本流出」
⇒⑤「外貨払拭」
⇒⑥「金融・経済の混乱」
--------------------------------------------

①98年には過去最高の資本収支黒字を記録する(190億ドル,GDP比6.4%)

急激な資本流入の背景
●急速に悪化し始めた経常収支赤字補填のための外貨需要
●資本移動に対する金融市場開放措置
●カレンシーボード制導入による為替相場の安定化
●国内経済の順調な拡大
●政府・民間企業による海外証券市場での資金調達意欲の強まり など

②98年ロシア危機,99年ブラジル通貨危機などブラジルの変動相場制への移行がアルゼンチン製品の急激な輸出競争力低下へ。

99年以降,経済はマイナス成長になる。
継続的な外国資本流入により,対外債務残高がふくれあがる。
巨額な財政支出(過度な公共事業)による財政赤字。多額の国債発行。

③アルゼンチンへの不安が投資家に強まる。

④証券投資収支が99年以降大幅赤字に転ずる。 2001年には資本収支は赤字になる。

⑤連鎖的な資本流出,対外債務の支払    

⑥アルゼンチン金融危機

国際収支とは
経常収支:貿易収支,サービス収支(旅行等),所得収支,経常移転収支
資本収支:証券投資や直接投資などによる資産・負債の変化を表す。



●対外債務状況●


●対外債務                    00年 約1448億ドル(GDP比50%に相当)
●1年以内に返済期
         限のくる対外債務   00年 約474億ドル アルゼンチンの国際収支

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsie/Tohoku_Univ/206_2.html
www.oecd.org/dac/Debt/htm/jt_arg.htm



●アジア通貨危機との類似性●


アジア通貨危機:1997年7月にタイバーツが海外の国債機関投資家の投機売り圧力に晒され,これが東アジアの金融市場一体に拡散されることで発生した。 公的債務の一時支払停止発表がきっかけとなったアルゼンチンのケースとは,やや異なる点があるが,通貨危機の発生メカニズムは基本的に大きく変わってはいない。



最新の画像もっと見る