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日中会談,気持ち悪い

2006-10-09 | 中国の情勢


●三国志の世界,中国●

中国という国は,皆さんもご存知の通り一筋縄ではいかない国です。かの国についていろんな言説が飛び交いますが,正直,私にはどれが本当でどれが嘘なのかよくわかりません。

ただ「中国人の一番の敵は中国人」というのは確信的に理解しています。

たとえば,日中戦争は日本と中国間の戦争ではなく,日本と国民党の戦争です。そして,国民党は実は日本以外にも共産党やら様々な軍閥或いは盗賊と戦わなくてはなりませんでした。水滸伝とか三国志の世界です。

※高校の時,期末テスト前だというのに三国志を貪るように読んでいた記憶がよみがえります。



中国はよくわからないせいもあるのですが,私は現代中国を三国志と混同して理解しています。中国のおもしろさは権力闘争にあるのです。それは現代でも変りません。外国との関係はおまけみたいなものです。中国問題はすべて内政問題中国国内の問題)である,という単純な観点で私はいつも中国を眺めています。



 

 

●現代中国の闘争●

開放政策以降,北京閥,上海閥,広東閥,或いは客家などか中原を目指して争っています。

※ちなみに客家は,李登輝,リークワンユー,小平,孫文などを輩出していますね。それなのに中国では被差別部族に近いようなのです。ちょっと謎の部族です。


少し前までの中国は,上海閥の天下でした。上海閥といえば,何といっても朱 鎔基。戦後中国の政治家では周恩来に次ぐ評価をされている人ではないでしょうか。そして江沢民。

江沢民は日本ではあまり評判が良くありません。やはり,98年の来日時の印象が強いせいでしょう。偉大な前任者の影もあります。しかし,世界的には功罪あい半ばする評価をされているようです。

胡錦涛は就任時よりこの江沢民の影響力排除を目指したようです。私の記憶では,彼は初期から江沢民の反日政策の転換を図ってきました。私はこれを胡錦涛対江沢民の図式でとらえています。「親日」派対反日派ととらえてもいい。ただし,本当に親日がどうかは関係ありません。権力闘争の文脈の中での親日なのです。もっと言えば,自分に得するから親日なのです。カッコつきの「親日」です。

※胡錦涛の権力背景が私にはわかりにくい。そういえば,小平も権力背景が謎でした。長老政治といいますが,単純にお金を持っているから強い,というわけではなさそうなのが,中国の不可解なところです。

 

●昨年の反日騒動●

私は,現在の中国を江沢民対胡錦涛あるいは「親日」派対反日派という単純な構図で捉えています。従って,昨年の反日騒動は何らかの形で胡錦涛の力が弱くなり,江沢民の逆襲があったのだと思っています。違うかもしれません。しかし,上海騒動は明らかに江沢民の影響を感じさせました。

ところが思いもよらず世界の目が厳しく,日本の世論も一気に悪化しました。この件で反日派はひっこまざるをえなかったのではないでしょうか。日本や世界の世論は意外なほどのダメージを反日派に与えたのかもしれません。今年の春頃から日中友好を図るサインが出始めています。そして安倍首相の訪中を迎えます。

 

●安倍首相の訪中●

なんと,中央委員会全体会議の初日に安倍首相との会談が予定されているそうです。しかも,TOP3の3人との会談だそうです。これが意味するところは誰にでもわかります。

気持ち悪いほどの厚遇ぶりです。


大事なことは胡錦涛が反日勢力つまり胡錦涛の対抗勢力を押さえ込んだと考えられることです。私は,この背景に昨年の反日騒動があるように思えます。


反日騒動は容易に反中(反共産党)運動に転換する恐れもあるでしょう。

反日騒動が日本にダメージを与えず,かえって反中感情を増幅させただけ,という認識もあったでしょう。


しかし,何よりも世界世論が中国を批判したのがショックだったのではないでしょうか。天安門事件を思い出させたのかも知れません。天安門事件の暗い影はいまだに中国に横たわっています。

反日に利がない,すぐに中国人は悟ったと思います。反日派は退却を余儀なくされました。そうでなければ,今回の日中会談の気持ち悪い厚遇ぶりは理解できません。

※そういえば,上海市の偉い人が軒並み汚職で逮捕される事件が続きました。象徴的ですね。 



 

●中国王朝が倒れる時●

民衆史観では,中国は王朝の腐敗に民衆が立ち上がり,民衆の指導者が新しい皇帝になるといいます。或いはそれを易姓革命とか格好のいい言い方をします。


笑えますね。実際はこうです。


大昔から,中国王朝が倒れる時は人々が文字通り食べられない,飢えて死んでしまうような状況に陥ったときです。飢えた泥棒や盗賊が集団化し,隣村を襲い始め,浮浪者を吸収し,不利益を蒙っている地方豪族とタイアップしつつ全国規模となり,結果として王朝が倒れるのです。戦争は中国の公共事業だ,という人もいるくらいです。そして山賊の親分が新しい皇帝となり,分け前を仲間に与え,飢餓や戦乱で人数調節がなされるので飢餓もひとまずおさまり,新しい王朝が始まる,というわけです。


よく,現在の中国の最大の問題の一つは汚職にある,という人がいます。私は若干ピントがずれていると思います。汚職自体は中国の伝統であり,中国の活力の源です。汚職は中国を滅ぼしはしません。仲間には利益を与えなくてはならないのです。


問題は,おこぼれに預かりたい(飢えた)人々が大量に発生することでしょう。

反日派だろうと親日派だろうと,或いは江派,胡派だろうと関係ありません。食い物を与えてくれる人が天命にふさわしい人なのです。まさしく「白い猫,黒い猫」です。


私は当初,中国はすべて内政問題である,と申しあげました。しかし,昔なら匈奴が中国に強い圧迫を加えたのと同様,現代では日米が強い圧迫を中国に加えています。しかも,日米は中国に多大な利益をもたらす存在であり,日米無しでは中国経済はまったく成り立っていきません。

(一般的に中国人は,強大なもの,利を与えてくれるものにはなんのためらいもなく頭を下げる民族でもあります)

胡錦涛政権の最大の関心事は政権の存続,利益の追求です。それには経済の持続的な成長が欠かせません。

端的に言えば,外資の導入です。外資の停まるときが中国の崩壊です。日本を含む世界世論の反発が中国に与えたショックはいかほどのものかわかりませんが,天安門事件後の世界の対応が頭にあれば,反日が中国に与える経済的ダメージは容易に想像がつくはずです。


胡錦涛はすごいインテリかつ現実的な判断をする人らしいですが,今回の気持ち悪い厚遇ぶりを見るにつけ,江派を追い落としたかもしれない現在の中国の経済状況に思いをはせざるを得ません。

 

 

追加

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安倍首相を「智者」と絶賛 
中国共産党機関紙・人民日報
http://www.sankei.co.jp/news/061008/kok009.htm  
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だそうです。笑っちゃうよね。


 

 sige (bye)



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