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My Favorite Things II

福岡生活、満喫中。

びわ湖ホール「さまよえるオランダ人」

2016年03月19日 | Music
2016年3月5日(土)14時開演
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール

ワーグナー作曲
歌劇「さまよえるオランダ人」全3幕

指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ
装置・衣装:ヘニング・フォン・ギールケ

【キャスト】
オランダ人:青山貴
ダーラント:妻屋秀和
ゼンタ:橋爪ゆか
エリック:福井敬
マリー:小山由美
舵手:清水徹太郎

合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
(合唱指導:三澤洋史)

管弦楽:京都市交響楽団



レポートが遅くなりましたが、今回も初日を聴いてきました。

平成19年度から始まったびわ湖ホール・神奈川県民ホールの共同制作オペラに
前回からiichiko総合文化センター(大分)が加わりました。
福岡在住の私にはもちろん大分が一番近いし、九響さんのワーグナーにも惹かれるのですが、
大分公演だけは指揮者が違うようで、やはり沼尻さんで聴きたい私、
今回も結局、びわ湖まで遠征してしまいました。
(毎回そんなこと書いてる気が・・私の大分デビューはいつになるんだろう(涙)



という事情はさておき、今回も良いお天気。
もう7~8年びわ湖オペラに通っていますが、なぜか天気が悪かったことがありません。
湖畔のオペラハウスはロビーにも光が溢れ、嫌が応でも気持ちは上がり、
このロケーションこそ最高の演出だといつも思うのです。



演目は「さまよえるオランダ人」、舞台となるのも水(海)のほとりですが、
外の明るさとは打って変わり、物語は暗く激しい嵐のシーンから。
実際のセットとプロジェクションマッピングを駆使した迫力の舞台でした。
全3幕、約2時間半休憩なし、演奏する側もさぞかしと思いますが、
足腰をちょっと傷めている私は最後まで座っていられるか不安で、
端っこの席にしたりしたけれど、結局夢中になって痛みも感じず。まったく杞憂でした。
視覚的に直球勝負の(ように見える)舞台設定は気持ちを入れやすく、
そして何より歌手のみなさんの力強い歌唱と渾身の演技に鷲掴みにされた感じ。

今回の演出では、お芝居の自然な動きの中で歌うことが多く、
歌いながらの振りもあるし、そもそも正面向いて歌えるとは限りません。
それでもホール中に豊かに響き、
上階隅っこの私の心に沁みるように、刺さるように届く歌声が素晴らしかったです。

主役3人も大健闘だったと思いますが、
エリックを歌った福井敬さんの(さすがの)安定感ある歌唱も魅力的ですし、
マリー@小山由美さんも、登場するだけで場の雰囲気が変わるような、まさに圧倒的存在感。
お二人とももっと聴きたかったなあ、というのは超個人的率直な感想ですが、
こうした実力派が主役以外の役を歌うのも、びわ湖オペラの醍醐味だったりします。

ひとつだけ、「舵手」に関する演出には私もやっぱり「あれれ?」でした。
自分の見間違いか解釈違いか(何せ鑑賞素人なので)と思いましたが、
その後新聞評などでもいろいろ書かれていて、やっぱりそうだったんだなと。
でもだからこそ、あのオーソドックスな舞台があったとも言えるわけで、
感想をひとことで表すのはとても難しいです。



来年の共同制作は同じ演出家でいよいよリング。
年に1作ずつ、4年越しの新制作とのことで、これもまた話題になりそうです。
私はどの会場で見るんだろう・・(笑)
やっぱりびわ湖まで来てしまいそうな予感もします。

九州交響楽団 第347回定期演奏会

2016年02月12日 | Music
2016年2月6日(土)午後3時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」
レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」《演奏会形式》*

アンドレア・バッティストーニ(指揮)

(「道化師」キャスト)*
カニオ:福井敬
ネッダ:嘉目真木子
トニオ:桝貴志
シルビオ:塩入功司
ペッペ:与儀巧

合唱:九響合唱団、NHK福岡児童合唱団MIRAI *

九州交響楽団
(コンサートマスター:近藤薫)

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当日の私、じつは2週間後に迫った演奏会のリハに参加していたのですが、
どうしてもこのコンサートを諦めきれず、抜け出してアクロスへ向かったのです。
(良い子は真似をしてはいけません。。)
でもその選択は(たぶん)正しかった!!
ライブはこうあるべきと思わせるような、わくわくに満ちた熱い演奏でした。

指揮者も演目も大注目のコンサートということで、
開演前のロビーのざわついた雰囲気も、三階まで埋まった客席の温度も、
なにやらいつもとは異なる感もありました。
その中、ウィリアムテル冒頭の艶やかなチェロソロが(ブラボー!!)、
有無を言わせず音楽に集中させてくれて、期待は早くも確信に変わったのです。

注目の指揮者バッティストーニ氏、
ステージ袖から指揮台に向かう姿にもオーラが感じられるのはさすが。
指揮中、表現したい音楽を全身で表そうとする様子は客席からもよくわかり、
そしてオケもそれに呼応して、いつも以上に密度濃くしなやかに、
躍動感あふれる演奏を繰り広げてくれました。

後半の「道化師」では、その熱気ときらめきはさらに増し、
歌手の皆さんの熱演も相まって、会場全体がひとつになってうねるような盛り上がりでした。
特にカニオ役の福井敬さんの素晴らしかったこと。
コンサート形式なのでソリストは横一列なのですが、
ひとりだけ前に出ているような圧倒的存在感、まさにスターの貫禄でした。
来月のびわ湖でまた聴けるのがますます楽しみです。

ところで、コンサートマスターの近藤薫さんは退任が決まっており、この日が最終公演でした。
コンマス席に近藤さんがおられると、
普段はどちらかというと落ち着いた印象の九響さんの音色に、
はじけるような華やかさが加わるのがとても新鮮で、私は大好きでした。
とても残念ですが、今後ますますのご活躍をお祈りしております。
東フィルさん聴きに行きます!



これで2015年シーズンの定期は終了です。
個人的な事情として、最近生活に少々変化があり、
年間通じて聴きに行かれるか不安なところもあるのですが、
「わが町のオーケストラ」応援の意味も込めて、次年度も定期会員を継続することにしました。
今度は2階上手バルコニー。
音のバランスよりも「ステージを見渡せる席」を選んでしまう私ですが(笑)
また楽しみに通いたいと思います。

九州交響楽団 第345回定期演奏会

2015年11月24日 | Music
2015年11月20日 午後7時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

ベートーヴェン :歌劇「フィデリオ」序曲
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調*
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調

ゴロー・ベルク(指揮)
アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノ)*

九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)
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到着が開演ぎりぎりになってしまい、自席で落ち着いて聴けたのは2曲目から。
大好きなブラームスに間に合ってよかった。

そのピアノコンチェルトのソリストはアンナ・ヴィニツカヤ氏。
プログラムによればエリザベト王妃国際コンクール優勝など数々の受賞歴を持ち、
世界中のオーケストラと共演を重ねる注目の若手ピアニストとのこと。
この春にはN響とラフマニノフ2番も演奏し、絶賛されたようです。
一見、華奢にも見えるピアニストですが、
この日のブラームスは相当骨太で、密度の濃い演奏。圧倒されました。
美しく歌う箇所では芯のあるしなやかさ、力強く駆け抜けるところは強靭なバネの迫力。
音楽をぐいぐいと引っ張り、息もつかせません。
オーケストラの熱演ぶりも客席に伝わってホール全体の集中力が高まり、
なんとも感動的な、素晴らしいピアノ協奏曲でした。

鳴り止まない(ステージ上からも)熱狂的な拍手喝采を静めたのは、
アンコール「トロイメライ」(シューマン)の演奏。
ぽつんぽつんと語りかけるような静かなピアノが胸を打ちました。

さて後半はブラームス3番。
指揮者ベルク氏は奇をてらうことなく、丁寧に折り目正しい演奏を導いていました。
九響さんはこうした定番シンフォニーのとき、特に抜群の安定感を見せてくれるのですが、
この日も落ち着いた美しい演奏で、私はとても幸せな気持ちになりました。

ただ演奏とは関係ないところでひとつだけ残念だったのは、客席のマナー。
演奏中の雑音(プログラム落下音や飴ちゃんを剥く音、さらにケータイ着信音まで)が響き、
緊張感が途切れてしまいました。
弱音終止なのにフライングで拍手が始まってしまったのも興ざめ。
でもこういう部分の改善は、
どのホールにとっても、程度の差こそあれ永遠の課題かもしれませんね。

と我ながら珍しく妙なことを書きましたが、演奏は本当に素晴らしく、
この日たまたま誕生日だった私、素敵なプレゼントをいただいたような気がして
嬉しくホールを後にしました。



12月の定期は(たぶん)第九演奏会との絡みで、すぐ2週間後。
小泉シェフの指揮でシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」です。
じつは私は珍しく予定が合わず、行かれるかまだ未定なのですが、
今期の「ペレアス」シリーズ最終回ですし、聴けるといいなあ。

チェコ国立 ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団 福岡公演

2015年11月18日 | Music
2015年11月10日(火)19時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

レオシュ・スワロフスキー(指揮)
イーヴォ・カハーネク(ピアノ)*

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より”モルダウ”
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調*
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団

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(なかなかブログを書く時間をとれずにいるため、
 このままになるよりは、と備忘録代わりに簡単な感想文です。)
 
思いがけずチケットを譲っていただいたのです。
席は1階中央下手寄りの5列目、
こんなかぶりつきのような席に普段は座ることがないので、少々興奮気味。
ホールに響く前の生音がダイレクトに届く位置で、最初はちょっと戸惑いましたが、
徐々に慣れて、かえって臨場感を楽しみました。

プログラムは見事な名曲ぞろい。
演奏は、全体を通じてとてもおおらかな、余裕のある大人の音楽という印象でした。

響きの美しい弦の波、なめらかなフルートをはじめとする柔らかな管、
のびのびおおらかなホルン、メリハリの利いた金管、
包み込むようなあたたかい音楽。

大げさな抑揚や無理な演出はどこにもなくて、とても自然なんです。
派手さはないけれど、誠実であたたかい音楽がじわじわとしみこんで、
なんとも幸せな気持ちになりました。

満喫しました! ありがとうございます。



九州交響楽団 第344回定期演奏会

2015年10月25日 | Music
2015年10月22日(木)午後7時開演
アクロス福岡 シンフォニーホール

ブラームス:大学祝典序曲
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調*
武満徹:組曲「波の盆」
R. シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲

川瀬賢太郎(指揮)
リチャード・リン(ヴァイオリン)*

九州交響楽団
(コンサートマスター:豊嶋泰嗣(桂冠コンサートマスター))

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今回の指揮者は九響定期初登場の川瀬賢太郎氏。
気鋭の若手指揮者としてお名前はよく聞きますが、実際の演奏に接するのは初めてです。

ここ数回、定期の客席は比較的多めだったのですが、今回は6割くらい。
アクロスは響きが良い分、客席が埋まっていないと音が相当ばらけて聴こえてしまいます。
残念ながら前半では、若干そんな印象を受けました。
特に協奏曲は、心持ちゆったりめのテンポでスケールの大きな演奏だったのですが、
ソリストとオーケストラが要所要所で微妙に噛み合わず、ハラハラ。
それでも、集中力の途切れない演奏はさすが。
三楽章後半になるとずいぶん持ち直し、オーケストラの総奏では生き生きと躍動、
最後も盛り上がりました。
ソリストのリチャード・リン氏、序盤はすこし緊張していたようでしたが、
丁寧で着実な演奏は気持ちが良かったです。
アンコールのバッハ(無伴奏パルティータ第2番)、心に沁みました。

休憩を挟み、後半1曲めは武満徹「波の盆」。
初めて聴いたのですが、武満氏らしい透明感と優しさにあふれた美しい曲でした。
懐かしさと寂しさが静かに共存しているよう。
小編成のオーケストラにチェレスタやハープなど特徴的な楽器が加わり、
寄り添うようなしなやかな演奏も素敵でした。
今後も九響さんで多く取り上げて欲しい作曲家と改めて思いました。

さて、日本のテレビドラマの組曲のあとは、
18世紀ウィーンが舞台のオペラの組曲、R.シュトラウス「ばらの騎士」。
九響さんは5~6年前までの数年間、定期演奏会でR.シュトラウスを取り上げるシリーズがあり、
私は福岡へ来た直後にその最終回だけ聴きましたが、
とても相性良く感じていたので、今回も楽しみにしていました。

実際にこの曲の総譜を見たことはないけれど、
シュトラウスの曲はとにかく楽器も音符も多くて複雑難解、というイメージがあります。
でも今回の演奏はそれを微塵も感じさせず、伸びやかで自然な音楽が息づいていました。
冒頭の力強いホルンと優雅なヴァイオリンで物語の幕が開くと、
もう個々の音を意識することもなく、
実際のオペラのシーンが目の前に広がっているかのように引き込まれます。
中盤のワルツはどこまでも美しく優雅だし、
クライマックスの「三重奏」も華やかなフィナーレも期待通りの盛り上がり。
聞き応えありました!

そして、それを導いた指揮者の大奮闘に、拍手大喝采したのは私だけではありません。
指揮台の上で文字通り飛んだり跳ねたり、
両腕で弦を煽ったかと思うとタクトを宙に突き刺して管を響かせたり、
長い両手両足、全身で音楽を表現する熱い指揮ぶりが目に焼き付いています(笑)
でも、颯爽としてまっすぐで嫌味がなくて、とても好印象。
ダイナミックな指揮ぶりは師匠の広上氏譲り?
ちょっと彷彿とさせるところがあるのも楽しかったです。

最後のカーテンコールでは、ステージ上からも盛んな拍手が送られて、
大照れで感謝する指揮者氏、とても微笑ましく拝見しました。



次回は来月20日、九響おなじみのゴロー・ベルク氏の登場。
私の大好きなブラームス3番が演奏されるので、また楽しみです!