2016年7月2日(土)午後3時開演
アクロス福岡シンフォニーホール
ダニエーレ・ルスティオーニ(指揮)
フランチェスカ・デゴ(ヴァイオリン)*
ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調*
ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調

(↑画像は公式facebookより)
溌剌とした指揮に導かれ大いに盛り上がった
2014年4月の定期演奏会の印象は、いまだ鮮やか。
2年ぶりに、ルスティオーニ氏が九響の指揮台に帰ってきてくれました。
しかも、素晴らしいヴァイオリニストとともに。
この日私が最も印象的だったのはそのヴァイオリン協奏曲でした。
じつはあまり期待していなかったのです(すみません)。
美男美女カップルに微笑ましく思う反面、
公私混同じゃない?なんてちょっぴり疑問を感じた自分、大いに反省です。
ヴァイオリン協奏曲の中でも非常に難易度が高いと言われるショスタコーヴィチ、
デゴ氏は終始集中力高く、強い意志でぐいぐいと推進していきます。
しなやかな中に強靭な芯を秘めた明るい音色。
どんな速いパッセージも細かい音の粒が立ち、滑らかに美しく響き、
また緩やかな歌には熱い心がこもっています。
途中からはあたかも耳元で筋書きのある物語を聴いているような気持ちになりました。
鳴り止まない拍手喝采に応えてアンコールを二曲。
これからきっと、ますます活躍されることでしょう。
忘れずに追いかけていきたいヴァイオリニストです。
さて、すっかり(私の中では)主役をヴァイオリンに奪われた感の指揮者ですが、
ルスティオーニ氏、今回もおおいに盛り上げてくれました。
颯爽とした気持ちの良い指揮ぶりは相変わらず、
豊かな表情と表現力で、奏者(と客席も)の心をつかむのが上手です。
オーケストラもその指揮にぴたりと寄り添い、
生き生きと躍動感ある演奏を披露してくれました。
この日は、昨季までコンサートマスターだった近藤薫氏が、
東フィルへ移籍されてから初めて、客演としてコンマス席におられ、
弾むような勢いある演奏、という印象がより強くなりました。
(2年前の演奏会でもこのコンビでした)
というわけで、1曲目の「はげ山」は、ムソルグルキー「原典版」でしたが、
荒削りとされるこの版も、
勢いづいたこの日の九響さんにはむしろぴったりだったかもしれません。
後半のラフマニノフ3番も、奏者にとってはプレッシャーのかかる難曲とのことですが、
指揮者の的確で(意外と)緻密な指示、奏者の皆さんの精妙かつ熱気のこもった演奏で、
終始変化に富む大曲、堂々として美しい大伽藍のようでした。素晴らしかった。
そうそう、この日の演奏会ではちょっと素敵なエピソードがもうひとつ。
演奏後、カーテンコールで呼び返されたルスティオーニ氏が、急に拍手を静めてスピーチを。
「どうもありがとう。今日は自分にとっても特別なコンサートだったが、
もうひとり、今日のコンサートが特別な人がいます」
退団の決まっているコントラバスの音部幸治さんのラストコンサートだったのです。
(花ではなく)一升瓶をプレゼントされて、涙涙のご挨拶で、思わずこちらももらい泣き。
終演後まで九響さんらしい、温かなコンサートでした。
さて次回351回定期は月末(最終営業日!)。
指揮は上岡敏之氏だし、
モーツァルトの協奏交響曲では木管首席4人がソロをとるし、
メインのブラームス1番も大好きなので、駆けつけたいところなのですが、
仕事の都合でおそらく(というか絶対)間に合わないのが悲しい。。
なんとかブラームスだけでも聴きたいなあ。