先の東京都知事選において「大年増の厚化粧」と不如意な発言をして、小池百合子を圧勝させてしまった石原慎太郎に「慎太郎って馬鹿なの?」とか「あれでは利敵行為だ」とか「ボケたか?老害だな」などと批判の声があがっている。
彼の名誉のために言うが、彼は決して馬鹿でも、ボケたのでもない。若い頃からの放言癖なのだ。
大親友であった三島由紀夫や実弟の石原裕次郎にでさえもそうであった。
プライドとジェラシーとコンプレックスの三重奏からなる彼特有の性癖である。
彼が初めて参院選全国区に出馬したときの同志であり、戦友でもあり、恩人でもあった小池勇次郎の娘・百合子ゆえにその性癖が再発したのではなかろうか。
少し古い話になるが、衆院選の最中、同じ選挙区の対立候補の選挙ポスターに「朝鮮人帰れ」というシールが不法貼付されるという事件があった。それが彼の指示であろうが、なかろうが、彼の監督責任は免れない。
そこで、盟兄・野村秋介らと徹底糾弾したことがある。
彼も潔く責任を認め、深く反省したので、事なきを得た。
その直後、頼みもしないのに、河野一郎建設相私邸焼き討ち事件の野村をモデルにした「ある行為者の回想」という短編小説を「新潮」誌上に発表した。
そんなサービス精神の持ち主でもある。
また、彼が東京都知事在任中、三国人発言が問題になったことがある。
彼は「差別意識があって言った訳ではない」と抗弁した。
そんなある夜、僕は行きつけの赤坂のバーで、面識のある解放同盟の組坂繁之委員長と出会し、同席し飲むことになった。
会話の中で、「明日、都庁に石原知事を訪ね、三国人発言に対し抗議をする」とのことであった。
そこで、僕が知事に謝罪させる秘策を提言した。
その秘策とは、知事との開口一番「チンタ!」と呼ぶこと。チンタとは彼の湘南高校時代の渾名である。
そう呼ばれたら、彼は必ずムッとする。
そこで、すかさず組坂委員長はじめ全員が土下座をして詫び「失礼しました。つい親愛の余り、渾名で呼んでしまいました。ご気分を害されたらお許しください。決して馬鹿にした訳ではありません」と口上を述べる。
そして「ところで、知事は三国人発言について差別意識はないと仰いましたが、言われた側は深く傷ついております。私共も知事を渾名でお呼びして気分を害されたので、土下座して謝りました。知事も彼らに謝罪してください」と畳み掛ける。
と言ったような作戦である。
組坂委員長は大いに感心されていたが、それを実行されたか、どうかは確認していない。
慎太郎が馬鹿とは思わないが、賢人の馬鹿は小賢しい。
いずれにせよ、わが大愚叢林の馬鹿とは、全く次元が異なる。
(
平成二十八年八月十一日認
彼の名誉のために言うが、彼は決して馬鹿でも、ボケたのでもない。若い頃からの放言癖なのだ。
大親友であった三島由紀夫や実弟の石原裕次郎にでさえもそうであった。
プライドとジェラシーとコンプレックスの三重奏からなる彼特有の性癖である。
彼が初めて参院選全国区に出馬したときの同志であり、戦友でもあり、恩人でもあった小池勇次郎の娘・百合子ゆえにその性癖が再発したのではなかろうか。
少し古い話になるが、衆院選の最中、同じ選挙区の対立候補の選挙ポスターに「朝鮮人帰れ」というシールが不法貼付されるという事件があった。それが彼の指示であろうが、なかろうが、彼の監督責任は免れない。
そこで、盟兄・野村秋介らと徹底糾弾したことがある。
彼も潔く責任を認め、深く反省したので、事なきを得た。
その直後、頼みもしないのに、河野一郎建設相私邸焼き討ち事件の野村をモデルにした「ある行為者の回想」という短編小説を「新潮」誌上に発表した。
そんなサービス精神の持ち主でもある。
また、彼が東京都知事在任中、三国人発言が問題になったことがある。
彼は「差別意識があって言った訳ではない」と抗弁した。
そんなある夜、僕は行きつけの赤坂のバーで、面識のある解放同盟の組坂繁之委員長と出会し、同席し飲むことになった。
会話の中で、「明日、都庁に石原知事を訪ね、三国人発言に対し抗議をする」とのことであった。
そこで、僕が知事に謝罪させる秘策を提言した。
その秘策とは、知事との開口一番「チンタ!」と呼ぶこと。チンタとは彼の湘南高校時代の渾名である。
そう呼ばれたら、彼は必ずムッとする。
そこで、すかさず組坂委員長はじめ全員が土下座をして詫び「失礼しました。つい親愛の余り、渾名で呼んでしまいました。ご気分を害されたらお許しください。決して馬鹿にした訳ではありません」と口上を述べる。
そして「ところで、知事は三国人発言について差別意識はないと仰いましたが、言われた側は深く傷ついております。私共も知事を渾名でお呼びして気分を害されたので、土下座して謝りました。知事も彼らに謝罪してください」と畳み掛ける。
と言ったような作戦である。
組坂委員長は大いに感心されていたが、それを実行されたか、どうかは確認していない。
慎太郎が馬鹿とは思わないが、賢人の馬鹿は小賢しい。
いずれにせよ、わが大愚叢林の馬鹿とは、全く次元が異なる。
(
平成二十八年八月十一日認