「心ある母さんの会」~Cuore通信~

長野県飯田・下伊那で活動する「心ある母さんの会」です。会の活動やお産・子育てのことなど情報やアドバイスなど更新中。

松本で「いいお産の日」イベント

2012-11-28 | 情報サイト
 松本市内の助産師と妊婦、子育て中の母親らが交流する催し「いいお産の日inまつもと」が25日、同市の庄内地区公民館で開かれた。同市内の助産師でつくる県助産師会松本地区の主催。30人余りが参加し、妊婦や産後の母親向けのフラダンスなどを体験した。

体力向上目指し助産師指導

 11月3日の「いいお産(1103)の日」に合わせ、2009年から毎年開催。あゆみ所産院(松本市双葉)を開業する助産師で同会松本地区会長の岡村祐子さん(39)によると、体力が弱く自然分娩できない妊婦が増えていることから今回、妊娠中の体力づくりや出産後の体力回復に役立つフラダンスと、体操などで骨盤の状態を整える「骨盤ケア」を初めて取り入れた。
 まず、岡村さんが指導するフラダンスサークルに通う妊婦や子育て中の母親ら6人が踊りを披露。その後、希望者が基本的なステップや腰の動かし方などを教わった。
 体験した主婦の御子柴志保さん(30)は「体が温まるし、骨盤を動かすので安産につながりそう。これからも続けたい」と話していた。
 この日は、赤ちゃんマッサージ体験、妊婦・育児相談などもあった。


2012年11月26日(月)信濃毎日新聞より


「産みたい心」妨げないか

2012-11-15 | 出生前診断
ダウン症の子どもを持つ母親 小島聖子さん(47)

 新しい出生前診断がどういうものかよりも、この診断をめぐっての社会の反応に考えさせられた。インターネットのブログや掲示板を見ると、検査で陽性の結果が出ても産むという意見は少数派だ。ダウン症の子どもは生まれてこないほうが幸せーと言われているようで、寂しい思いがする。
 長男、長女の後、流産を経て41歳で出産した次女は、生後1ヶ月でダウン症と分かった。待ち望んだ子どもと会えた喜びの後に障害が分かったことは、私にとってよかったと思う。顔も分からないうちに、ダウン症、障害児という言葉を突きつけられたら、何かえたいの知れない怖さを感じてしまうのではないか。
 新しい検査は、義務化されるのでなければ反対はしない。しかし、妊婦に対して周囲から、母体や胎児に危険はないのだから受けるべきだという圧力がかかったり、障害があると知って産むなら、育てるのは自己責任といった考え方が広まったりするのが心配だ。産みたい、育てたいと思っても、心が折れてしまう人がいるかもしれない。
 親の会には、障害があると分かった時は途方に暮れて泣いたが、今は、この子がいてよかったという人がたくさんいる。障害はその子の一部だと気づくし、親も子どもに育てられる。出生前に、とても育てられないという結論を出してしまうとしたらもったいないと思う。
 この検査で、すべての障害が分かるわけではない。生まれてから見つかることも、病気や事故で障害を負うこともある。そういうことを含めて、親になるということを考えてほしい。
 ダウン症は治せないが、教育の面でも仕事の面でも、機会や可能性は昔より広がっている。ただ、障害のある子どもを育てていくために必要な情報が、親に届いていない。私自身も、親の会で先輩のお母さんの経験を聞いたり、本を読んだりして、手探りしながら育ててきた。
「ダウン症の子は、成長はゆっくりだけれど素直で優しい」というような説明では、親の不安に応えられない。思春期も含めて、子どもはどう成長するのか。自立して生活していくためにどんな社会的支援があり、働く場はどこにあるか。親が子どもの将来像を描けるような情報を伝えていく仕組みが必要だ。

2012年11月5日(月)信濃毎日新聞 「どう考える新たな出生前診断下」の続き
 

新出生前診断めぐり公開シンポ

2012-11-15 | 出生前診断
http://www.shinmai.co.jp/newspack3/?date=20121113&id=2012111301001881

妊婦の気持ちに配慮を

 妊婦の血液で胎児がダウン症かどうかを高精度に調べる新しい出生前診断について、日本産婦人科学会は13日、東京都内で公開シンポジウムを開催、パネリストの専門医らは検査内容の十分な周知と妊婦の気持ちに配慮したカウンセリングが重要だと指摘した。

国民的な議論 望む声も

 市民約300人が参加。臨床研究として検査導入を計画している国立成育医療研究センターの佐合治彦周産期センター長や、日本ダウン症協会の玉井邦夫理事長らがパネリストを務めた。事前に寄せられたメールや会場の参加者からは、「すでに実施されている検査との違いは何か」「臨床研究は一般市民が見える形で進めてほしい」「海外の検査会社を使うことに問題はないか」」法律との関わりは」といった質問が上がった。
 質疑に先立ち行われた講演では、佐合センター長が「羊水検査などの出生前診断が行われている現状で、この検査を禁止することはできない。これまで曖昧にされてきた出生前診断全般の位置づけについて国民的な議論が必要だ」と指摘した。
 同学会は今回交わされた意見も踏まえ検査の対象や在り方に関する学会指針をまとめ、12月中にも理事会で決定する方針。検査の臨床研究を計画する医療施設は、指針決定を受けて、年内にも検査を始めたい意向だ。


「99%の精度」誤解招く恐れ

 日本産婦人科学会が13日に東京都内で開いたシンポジウムでは、新たな出生前診断が「99%の精度」と一般的に広まっていることについて専門家から「誤解を招く。正確な理解が必要だ」との意見が相次いだ。ダウン症の出生率が低い集団では、陽性と判定された人のうち実際にダウン症の子どもを妊娠している「陽性的中率」が下がるという。
 新出生前診断の臨床研究で利用する検査会社の米シーケノム社は、高齢妊娠や過去にダウン症の子どもを出産したことがあるなどの「ハイリスク」とされる妊婦を対象にした検査結果を公表。ダウン症の子どもの妊娠が確定した212人のうち、陽性と判定されたのは210人で99.1%の「感度(検出率)」、ダウン症の子どもを妊娠していない1688人のうち1人が陽性を判定され、0.1%の疑陰性率と公表している。
 陽性と判定されるのは、ダウン症の子どもを妊娠した場合の正しい判定と、妊娠していない場合の間違った判定の2通りがあり、陽性が正しい結果を示す「陽性的中率」は、検査対象とする集団のダウン症出生率によって大きく変化する。
 例えばダウン症の子どもの出生頻度が50人に1人と高いグループでは陽性的中率は約95%。ところが、250人に1人とされる35歳の妊婦グループでは的中率が80%程度となる。一般の妊婦と同じ千人に1人の場合、計算上は的中率が5割程度まで落ちるという。
 同学会もすべての妊婦を対象とすると制度が下がることや、確定診断のためには羊水検査が必要なことなどを強調。妊婦や家族に検査の情報を正確に伝える遺伝カウンセリングの重要性を訴えている。

2012年11月14日(水) 信濃毎日新聞より

どう考える 新たな出生前診断 下

2012-11-15 | 出生前診断
障害 重荷にしない社会に

県立子ども病院副院長・小児科医 中村友彦さん(53)

 新生児医療に携わる中で、どんな障害がある赤ちゃんも懸命に生きようとする姿を見てきた。命を救いたいという思いと姿勢は、医師として治療や支援にあたる大前提だ。出生前診断が、命を終わらせることにつながる技術であってはならないと思う。第一の当事者である胎児が一番の弱者だということも忘れてはいけない。
 出生前の診断は本来、安全な出産に備えたり、胎児の段階で病気の状態を把握して治療することを目的に研究が進んできた。例えば、母子の血液型が異なり、胎児に危険がある場合や、先天性の心臓疾患がそれに当る。しかし一方で、治療できないダウン症などを、技術の進歩によって出生前に見つけられるようにもなった。
 問題はその技術をどう使うかだ。胎児に障害が見つかった時、医師がすべきことは、それを告知し、妊娠を継続するか否か決断する苦しみを親だけに負わせることではない。これまでも、胎児の障害が分かった親には、小児科医として、出生後のことをできる限り正確に伝え、全力で支えていくと話してきた。ただ「先生は子どもの生活まで面倒見てくれるのか」と問われれば、どうすることもできないジレンマがある。
 「こども病院に来るとホッとする」と言う親は多い。だがそれは、障害のある子どもを街中に胸張って連れて行きにくいことの裏返しだろう。社会の理解や支援が十分でない中で、親は苦しんでいる。この病院には、障害のある子どもがいて当たり前の世界がある。それを社会に広げていかなくてはならない。
 生産性のない人間は生きる価値がないと考える人もいた。だがそんな人も、事故に遭ったりして、いつ体が動かなくなるか分からない。その時にも、生活していくための福祉制度や社会的支援がある。それは、障害のある人たちがいたからこそ築き上げられてきたものだ。
 新たな出生前診断について、一度立ち止まって考えようという動きが起きているのはいいことだと思う。健常者だけが生き抜く社会がいい社会と言えるのか。障害がある子どもの親だけが重荷を背負わなくてもいい社会をどうつくっていくのか。見つめなおす機会になることを期待している。


2012年11月5日 信濃毎日新聞より

どう考える 新たな出生前診断 上

2012-11-08 | 出生前診断
 胎児にダウン症などの染色体異常があるかどうかを、妊婦の血液検査で、高い精度で診断できるとされる新しい出生前診断をめぐって、議論が起きている。妊娠初期から受けられ、母体や胎児への危険もないため、軽い気持ちで受けて、重い決断を迫られることにもなりかねない。国内で臨床研究が始まろうとしているこの新しい技術についてどう考えるか。県内の産婦人科医、小児科医、ダウン症の子どもを持つ母親に聞いた。2回に分けて紹介する。(園田 清佳)

中絶の問題含め議論を
 信大医学部教授・産婦人科医  金井誠さん(51)

 胎児のダウン症などを出生前に確定的に診断する方法としては、妊婦の腹部に針を刺して羊水中の胎児由来の細胞などを調べる「羊水検査」が以前からある。これは、十分な技術を持つ産婦人科医しか行えないものだ。希望する妊婦には、自己決定に必要な情報を提供し、悩みや不安に応えて、結果が出た後も支えていくカウンセリングが欠かせない。そのような指針を医師が共有し、実施されてきた。
 しかし、新しい出生前診断は、妊婦から採血して米国の検査機関に送るだけでいいから、医療機関でない一般企業などでもできてしまう可能性がある。営利目的で、妊婦へのカウンセリングもなく実施したとしても、現状では規制する手立てはない。
 羊水検査は流産の危険性があるため、ためらう妊婦も多く、実際には受ける人はごく一部だった。新しい検査は、「採血だけで分かるなら」と安易に受ける人が増えれば、相談や支援の態勢が整わない中で、大きな混乱が起きる恐れがある。
 国立成育医療研究センターなどが計画している臨床研究は、こうした事態を防ぐために、新しい出生前診断を実施するにあたっての一定の手順を定めることが目的だと理解している。ただ、医学が進歩し新しい技術が次々に出てくる中で、医師の倫理観だけでは歯止めがきかない時代になりつつある印象だ。
 これまでの経験から、出生前診断を希望する妊婦の多くは、胎児に障害がないことを知って安心したいと思っている。しかし、その思いとは異なる重い結果が出ることがある。妊娠を継続するか否か。意思に反する決断を周囲から迫られる場合もある。どのうように判断するのも悩ましいと思うが、待ち望んでいたはずの子どもの命を断つ決断は、後悔しても取り返しがつかない。
出生前診断は、人工妊娠中絶の問題を切り離しては考えられない。日本では本来、胎児に障害があるからといって中絶はできないが、母体保護法の「身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれ」という条文を拡大解釈して黙認されてきた。新しい出生前診断は、簡便に受けられる検査だけに、導入の是非を考えるにあたって人工妊娠中絶の問題についても、社会でもっと真剣に話し合っていくことが欠かせない。

2012年11月2日(金)信濃毎日新聞より

日本脳炎ワクチン死亡例 厚労省、すぐ調査せず

2012-11-05 | 予防接種
 日本脳炎の予防接種を受けた子どもが急性脳症を発症して7月に死亡した事例を、厚生労働省が自治体からの報告で9月上旬に把握しながら、今月中旬に別の子どもが接種後に死亡するまで詳細な調査を実施していなかったことが26日、厚労省への取材で分かった。
 同省は「9月時点で同様の死亡例などが他になく、緊急の対応が必要な状況ではないと判断した」とするが、過去の予防接種渦の被害者からは対応の鈍さを批判する声も出ている。
 今月17日には岐阜県で男児(10)が接種直後に心肺停止となり急死。短期間に死亡例が2件となり、厚労省は急遽7月のケースも関係自治体に情報収集を要請した。
 三井辨雄厚労相は26日の記者会見で、予防接種の副作用報告制度を「しっかり見直していきたい」とし、報告義務化など予防接種法改正に前向きな姿勢を示した。情報収集強化など「弾力的にやれるものがあればやっていきたい」とも述べた。
 厚労省によると、7月に死亡したのは10歳未満の子ども。日本脳炎ワクチン接種後に急性脳症を発症し、約1週間後に死亡した。接種した医師は8月29日に自治体に報告し、自治体は9月7日に厚労省に報告した。
 報告書には、接種日時や使用したワクチン名のほか、接種から死亡までの容態の変化が大まかに記載され、アレルギーや持病の有無を記した書面が添付されていた。
 一方、解剖実施の有無や結果を示す「剖検所見」欄には記載がなく、病状の詳細な経過も不明で、接種との因果関係について医師の見解も示されていなかった。

2012年10月27日(土)信濃毎日新聞より