世界のどこかで起きていること。

日本人の日常生活からは想像できない世界を垣間見たときに記しています(本棚11)。

メキシコでは公務員によりジャーナリストが殺されている。

2017-10-31 12:23:09 | 日記
 権力による一般市民の殺害は歴史の中でたくさん行われてきましたが、一見平和に見える社会でもまかり通っています。

 有名なのはロシアのプーチン。
 彼に反対する立場のジャーナリストの不審死は200人を越えています。

2016-08-29 日曜未明、あるジャーナリストの不審死と、先を行く205人のジャーナリストの死

 しかしロシアという国の歴史はもっと血塗られたものです。
 スターリンによる人民殺害は1000万人とも6000万人とも言われています。

スターリン大粛清の犠牲者の実数は?

 ですから、第二次世界大戦末期に不可侵条約を無視して参戦し、終戦後も長く200万人もの日本人をシベリアに抑留したことなど、それに比べるとたいしたことがないのかもしれません。
 中国の毛沢東による文化大革命で殺された中国人は1000万人以上という統計もあります。

 人間って権力を持つと、ここまで残酷になれるのですね。
 日本も自民党一党支配が続けば続くほど、リスクが上がるような気がしてきますし。
 「日本では考えられない衝撃的なニュース」として紹介するつもりだった下記記事がかすんで見えてきました。

■ ジャーナリストが100人以上殺されたメキシコ
2017年10月31日:WEDGE-INFINITY:工藤律子
 知る権利と表現の自由を守る国際NGO「アーティクル19」によると、麻薬犯罪組織間の抗争に警察や軍が絡んだ「麻薬戦争」の続くメキシコでは、この17年間に100人を超えるジャーナリストが殺害されている。しかも今年上半期に起きた殺害、誘拐、脅迫などのジャーナリストへの暴力276件中、約半数は警察や軍、役人といった「公務員」によるものだという。
 「被害者の多くは、政治家の汚職や麻薬犯罪組織との関係を取材していました。政府機関の一部には犯罪組織の人間が入り込んでおり、もはや誰が加害者なのかを判別するのも難しい状態です」と、同NGOは説明する。
 「2014年5月13日、自宅の留守番電話に、『お前を殺す』という男の声が録音されていました。悪い冗談かと思いましたが、同時期に同じような脅迫を受けた5人のジャーナリストのうち、3人が殺されました。それでアーティクル19に安全対策を要請しました」
 メキシコの主要な新聞、雑誌で執筆を続けるマルタ・ドゥラン氏(55)は、それ以来、自宅に複数の監視カメラを設置し、常に緊急連絡ができるように携帯電話数台を異なる場所に置いている。脅迫事件はちょうど、彼女がメキシコ州で起きている女性の誘拐殺人事件と、その背後にある犯罪組織と役人の関係に触れる記事を書いたときに起きた。
 真実を報道しようとすれば命が危うくなる。しかし、「ジャーナリストが誠実さを失えば、もはやジャーナリストではない」と語る彼女は,同じ信念を持つ仲間とともに、取材・執筆活動を続ける。
 彼らは危険を減らすべく、自らに対する暴力を記録し、検察に届け、犯人の捜索を促す努力を続けている。しかし、過去17年間に届け出た1000件以上の事件のうち、犯人が逮捕され裁判による判決が下されたケースは、0・4%にも満たない
 この現状を打開するために今、「企業家組織、NGO、労働組合など、300近い団体が一つに結集し、議会を動かそうとしている」と、アーティクル19は話す。
 「行政機関の一部だった連邦検察庁が来年、政府から独立した機関となることに合わせて、その独立性が確実に保たれる人事を上院に働きかけています。誰が権力を握っても、連邦検察庁が常に自立した形で誠実な仕事を行いさえすれば、ジャーナリストの命と表現の自由は、保障されるに違いないからです」

難民審査官

2017-10-27 18:50:29 | 日記
 紛争の続く中東からヨーロッパへ逃れる人々。
 昔歴史の授業で「ゲルマン民族の大移動」というのがあったけど、それに近い規模ではないでしょうか。
 難民を受け入れる側に焦点を当てた番組を2つ見ました。

 一つ目の舞台はドイツ。
 審査官が難民の言葉に耳を傾け、その人が難民と認定されてドイツが受け入れるべきかどうかを判断する様が3パターン例示されていました。
 その人が体験した同乗すべき悲惨な出来事で決まるのではなく、ルールに則って冷静に対処していく様子が印象的でした。



■ BS世界のドキュメンタリー「難民審査官 決断のとき」
NHK-BS1:2017年9月13日
<番組内容>
 難民受け入れ枠を急拡大したドイツで、認定作業にあたる審査官の仕事の現場にカメラが入った。命をかけた脱出劇を語る難民申請者たちと向き合う、息詰まる毎日の記録。
<詳細>
 400人ちかくの審査官が、年に75万件を超す難民申請の認定作業にあたっているドイツ。「仕事は複雑・困難になるばかり」と、現場の負担は重い。中近東の戦乱や迫害から逃れてきたと語る申請者たち。張り詰めた面談、そして合否の明暗が分かれていく…。


 2つめはオランダに難民申請した人達を、いろんな立場の意見から見た興味深い内容でした。
 とくに擁護派の「ヨーロッパの反映は、昔あなたたちの国に侵入して支配し搾取した歴史の上に成り立っている。今こそその恩返しとして手をさしのべたい。」というセリフが印象に残りました。
 この植民地構造は今でも連綿と続き、旧植民地は貧困から抜け出せないでいます。
 先の大戦の処理・補償の前に、植民地時代も裁かれるべきでしょう。



■ BS世界のドキュメンタリー「“楽園”に渡った異邦人たち」
NHK-BS:2017年9月14日
<番組内容>
 南ヨーロッパで難民認定を待つ人々の前に、白人俳優が演じるニセの役人が現れる。受け入れをめぐる欧州社会の「本音と建前」を語る男に、本物の難民たちはどう答えるのか?
<詳細>
 ヨーロッパの一般市民が難民に対して抱く感情を、反対派・擁護派・ルール遵守型に分類し、実際の難民たちにぶつけてみた実験的なドキュメンタリー番組。欧州側が抱える矛盾や葛藤、難民側が抱く希望と現実のギャップが浮き彫りになっていく。俳優がなりきって演ずる役人像が、共感と反感がないまぜとなった反応を呼んでいく…。