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ダカーポ ♯009

2023-09-05 21:00:00 | 日記

  神出鬼没如く現れ出る
         モンスターたち

 ■モンスターペアレント
(Monster parent)
 またはモンスターペアレンツ。

 学校などに対して自己中心的かつ理不尽とされる要求をする親を意味する。
 元小学校教諭の向山洋一が命名した造語(和製英語)。
 略してモンペア、モンペともいう。

 基本的には直接教員にクレームを行うが、校長、教育委員会、地方公共団体より権限の強い部署にクレームを持ち込んで、間接的に現場の教員や学校に圧力をかけるという形式も増えている。
 日本では、2008年には同名のテレビドラマが制作され話題となった。
 さらにはモンスターペアレントの子供がモンスターチルドレンやモンスター大学生となり新たな問題を起こしている。
 なお、要求を繰り返すことがあっても、当該の要求が常識の範囲内にあり、かつしかるべき理由を明示してくる場合は「モンスターペアレント」とは言わない。
 とはいえ、保護者が正当な要求をしても、学校や教員が保護者を「モンスターペアレント」として敵対視することがある。
 アメリカ合衆国で使われている類似の用語にヘリコプターペアレント(Helicopter parent)というものがある。
 これは、子供の就職の面接についてくるような過保護・過干渉な親を指しており、常時子供を監視している様子を上空でホバリングするヘリコプターに例えている。

 《原因》

 モンスターペアレントという語が登場する以前から、こうした問題を「親のいちゃもん」として研究してきた大阪大学大学院の小野田正利教授によると、この種の保護者が目立って増え始めたのは1990年代後半からであるとされる。
 また、小野田によると保護者を「モンスター」にしているのは、「モンスター」という言葉を使っているマスコミや教育現場であるという。
 『モンスター=人間でない』ことで、保護者との関わりを拒否していると言う。
 教育社会学を専門とする門脇厚司の指摘によると、この時期に子供が学齢期を迎えた多くの親は、概ね1960年代生まれで、1970年代後半〜1980年代の校内暴力時代に、強面するヤンキー生徒に全く注意出来ないばかりか、その不甲斐なさを一般生徒に威圧的な態度で接する教師の姿を見てきて、全く教師への敬意を持っておらず、さらにバブル景気の時期に社会に出たために、教師を愚弄している。
 また、バブル崩壊後のリストラなどで社会的な地位を失った人々の(公務員ゆえ倒産や失業の心配がなく、終身雇用の保証された立場である)、教師に対する嫉みもあるという。前述の小野田は、「言ったもん勝ち」がまかり通る風潮が強まっている点も、モンスターペアレント出現の原因の一つではないかと指摘している。

 他方、現役の東京都立高等学校教諭である喜入克や元中学校教諭の河上亮一は、こうした保護者が増加した原因を、「保護者の消費者意識の暴走」とする見解を述べている。喜入によれば、保護者は自分の子供が学校で他の子供より“損”な待遇を受けることが我慢できず、「同じ値段を払えば同じ商品が手に入る」という意識で教育サービスを捉えているためとされる。
 例えばある学年の学級担任が新卒、中堅、評判のいいベテランというような構成になったとする。
 モンスターペアレントは、自分の子供が“評判の良いベテラン教師”以外に担任されることを不当待遇であると考える。
 また、喜入は、これらモンスターペアレントやその子供に学校が手こずる理由として、彼らが“学校と対等な消費者”としての立場と“まだ半人前である子供”としての立場を使い分けるという現象も指摘している。
 すなわちモンスターペアレントやその子供たちは、学校に対してクレームをつける際には“消費者”として振るまい、そうしたクレームが学校に“ルール違反”と認定されて退学や停学などの処分を出されそうになると、“半人前である子供への情状酌量”を要求する。
 こうした保護者については、門脇によっても世代の問題が指摘されている。山下・岡田らは小学校2年生の保護者を対象としたアンケート調査のクラスター分析をもとにターゲット・プロファイリングを行った。
 それによって、「既に子育てを経験している、経済的な余裕はないが教育ママ度はそれなりに高い、パート勤務の母親」が、学校への信頼度の低さを示す6つの指標においていずれも突出した数値を示すことを明らかにしている。
 山下・岡田らはそういった母親を『生活切迫型パートママ』と命名している。

 その他、地域の人間関係が希薄になった結果、かつては地域社会が緩衝材となっていた個々の親の不満が直接学校に持ち込まれるようになった状況も背景にあるのではないかという意見も多い。
 なお、こうした保護者は初等教育や中等教育に限られた問題ではない。
 星野・横山・横山・水野・徳田らは幼稚園の保護者でも、

 ・特定の園児は自分の子供と遊ばないでほしいと要求する。

 ・クラス分けで特定の園児と同じクラスにするよう(しないよう)要求する。

 ・テレビや本で紹介された教育方法を導入するよう要求する。

 ・時間かまわず保育者の自宅に毎日電話をかける。

 など、自己中心的な保護者が問題化していることをアンケート調査によって示している。この調査によると、保育者の4人に1人が問題のある保護者としてこうした保護者を挙げている。

 《問題点》

 こうした保護者が一人でも出現すると、教職員や学校はその対応に膨大な時間を奪われてしまう。
 その結果、他の児童・生徒のために使う教材研究、授業準備、生徒指導、部活指導、補習などの時間がなくなり、場合によっては学校全体に悪影響が広まる。 2006年に金子元久が1万校の小中学校の校長を対象にして行ったアンケート調査によると、中学校では29.8%の校長が「保護者の利己的な要求」が深刻な教育の障害になっていると答えており、「やや深刻」と答えた48.9%と合わせると78.7%の校長が保護者の利己的な行動を問題視しているという結果が出た。なお、小学校では「深刻」が25.7%、「やや深刻」が52.1%で合計は77.8%となっている。
 適切な対応がなされればその影響は最小限にとどまるが、対応が一人の担任教職員に押しつけられた場合などでは逆に被害が拡大したり、担当教職員自身が体もしくは精神を病んでしまう事例も珍しくない。
 特に、経験が浅い新任教師は適切な対応ができず問題を抱え込んでしまうと言われている。
 2006年には西東京市の市立小学校に着任した教員が、一部の保護者から深夜に携帯電話に苦情電話をかけられる、連絡帳で人格攻撃されるなどした結果、自殺している。
 また、2008年1月にうつ病として労災が認定された例として、子供同士のケンカで軽いけがをした子供の両親が、当時子供を預けていた埼玉県狭山市立保育所の所長に対して4か月に渡り苦情を言い続け、最終的に保育所の対応を批判する内容証明郵便を送りつけ、所長がこれらを苦に焼身自殺したというものがある。

 ■モンスターペイシェント

 モンスターペイシェントとは、医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求、暴力や暴言など非常識な言動を繰り返す患者(あるいはその親族や友人・知人等)を意味する和製英語。
 他の言い方としては難渋患者、モンスター患者、怪物患者などともいう。
 彼等による、医師や看護師など医療従事者への人格否定の言動・暴力・セクハラ等、その尊厳を傷つけるも行為は、「ペイシェント・ハラスメント」(ペイハラ)と呼ばれ、各地で深刻化している。

 《問題の事例》

 モンスターペイシェントの問題事例には、執拗な説明の要求、救急車の私用での利用、医療機関での居座りなどがある。

 ・医師から兄への治療法の説明の場に同席し執拗な質問を繰り返し、医師に無料で長時間の時間外労働を強要する。

 ・緊急性のない蓄膿症で夜間に救急外来を受診し、緊急CT検査と同日の結果説明を強要する。

 深刻な問題事例には医療費の不払い、暴言・暴力などに及ぶものもある。

 《背景》

 医学・医療技術の進歩に伴い様々な病気の治療法が見つかり、治療されている。
 しかしながらまだ全ての病気を治癒させることができるわけではない。
 また結核のように、治療法が発見されている病気でも死に至ることがある。 しかし、医療知識が乏しい一般人は「病院に行けばすぐに治る」「薬を飲めば(つければ)すぐに治る」という希望ないし過度の期待を抱きがちである。
 また医師法第19条には医療機関に患者の診療義務を課すいわゆる「応召義務」が規定されているが、その結果病院は度を越した行動をとる患者に対しての毅然とした対応をとりにくく、病院に診療拒否権がないことを盾にとる患者が増加していることもモンスターペイシェントの増加の背景になっているとの指摘がある。
 医療機関が一般のサービス業の業態を模倣したことが、患者に誤った権利意識をもたらしたとする指摘もある。
 小説家・医師の久坂部羊は「病院がまちがったことをしたら許されないが、患者はまちがったことをしても許される、という風潮が蔓延しているのではないか。
 一部の不心得な自称社会的弱者がこれを悪用し、理不尽な要求を押し通そうとする」と論評している。

 《歴史》

 ▼前史

 1995年、世界医師会総会は患者の権利宣言を改定し、医師による患者の自己決定権と正義の擁護を規定した(日本医師会は棄権)。
 1997年4月、総合研究開発機構の「薬害等再発防止システムに関する研究会」は中間報告書にインフォームド・コンセント(説明と同意)などを含む「患者の権利法」の制定を盛り込み、同年には医療法が改正され「説明と同意」の努力義務が規定された。

 ▼始まり

 産経新聞の報道によるとモンスターペイシェントは2000年頃より増え始めたとされ、これはマスコミで医療事故が大きく扱われ患者の権利が声高に叫ばれ、病院で患者が「患者様」と呼ばれるようになった時期と重なっているという。
 なお「患者様」呼びが一般化したのは2001年の厚生労働省医療サービス向上委員会による「国立病院・療養所における医療サービスの質の向上に関する指針」によるものとされている。
 2007年には大学病院における医療関係者の暴力被害が430件以上に上り、クレームも2年前に比べて倍に増えたとされる。
 同年、『日経メディカル Cadetto』は最近怒ってる先生を多く見かけるとしてモンスターペイシェントに苛つかされた医者の話を募集する。

 《影響》

 モンスターペイシェントの対処に追われ医師・看護師などの医療従事者や対応した事務員などが精神的に疲れ果て、病院から去ってしまうなどして医療崩壊の一因となっている。

 ■モンスター消費者

 モンスター消費者、またはモンスタークレーマー。
 企業・店舗などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする消費者・利用者を意味する。

 モンスター消費者の特徴は

 ・社会に対する鬱憤(ストレス)をぶつけている。

 ・正義感が異常に強く自分は正義で相手は悪 と決めつけている。

 ・自分は社会的に良いことをしていると完全に思いこんでいる。

 ・強い消費者(被害者)意識を持っている。

 ・言っていることがコロコロ変わり、結局何を聞きたいのか、質問内容が分からない。

 ・相手(批判対象)への人格否定。

 社会保険労務士の野崎大輔は、モンスター消費者は、(店の)従業員は会社や家庭での不満を晴らす捌け口と見做しており、気に食わないことがあれば、即座に“ブラック認定”すると述べている。
 今野晴貴は、モンスター消費者は低価格の商品やサービスにも過剰なサービスを求めるとし、企業側も競争を勝ち抜くためにモンスター消費者らの要求に応えようと労働者の酷使を「お客様の立場になって考えよ」と正当化し、企業に十分な人員や予算がなくても、社員に際限のない労働をさせているとして、モンスター消費者がブラック企業を増殖させる一因となっているのではないかと主張している。

 ■カスタマーハラスメント

 カスタマーハラスメントとは、暴行・脅迫・暴言・不当な要求といった、顧客による著しい迷惑行為のことである。
 略してカスハラともいう。
 顧客(カスタマー)+嫌がらせ(ハラスメント)を組み合わせた用語であるが、英語には
「customer harassment」という用語は存在せず、和製英語の一種である。日本では2010年代前半頃から、悪質なクレーマーに対して「カスタマーハラスメント」の名称を用いる動きが見られるようになった。

 《概要》

 ▼定義

 厚生労働省は2022年にカスハラ対策マニュアルを作成しており、企業が従業員(コールセンターや接客業など)を守るために対応するべき課題の1つとしている。
 そのマニュアルの中で、厚生労働省はカスタマーハラスメントを以下のように定義している。その解釈や判断基準、具体例などの詳細もマニュアルに記載されている。

 顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・様態が社会通念上不相当なものであって、当該手段・様態により、労働者の就業関係が害されるもの

  —厚生労働省、『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』

 ▼法律

 店で大声をあげたり、業務を妨げたり、無理に居座ったりする行為は、威力業務妨害罪や不退去罪に問われる可能性がある。
 そのほかに関連する条文としては、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、侮辱罪、名誉棄損罪、暴力団対策法が挙げられるが、内容によっては民事不介入を理由に刑事事件での立件が困難な場合もある。

 《事例》

 ・商品としての機能に問題ない程度の不具合をことさらに指摘する。

 ・介護施設において、介護者に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする。

 ・タクシーにおいて、運転中の様子をスマートフォンで撮影し、中傷の言葉をそえてインターネット上で公開する。

 関連項目 ー 協調性 ー
(モンスターペアレントには
  協調性の著しい欠如が
         多くみられる)

 協調性(英: Agreeableness)

 親切、同情的、協力的、暖かい、思いやりがあると人に認識される個人の行動特性に現れる性格特性のことである。
 現代の性格心理学では、協調性は性格特性の5つの次元の1つで、協力や社会の調和における個人差を反映しているとされている。
 協調性のスコアが高い人は共感的で利他的であり、一方、協調性のスコアが低い人は利己的な行動(しばしば吝嗇として現れる)と共感の欠如に関係する。
 また、協調性のスコアが非常に低い人は、操作や協力よりも他者と競争するなどダークトライアドに見られる行動の兆候を示す。
 協調性は上位特性であると考えられており、統計的にまとまった性格における下位特性をグループ化したものであることを意味している。
 協調性の下にグループ化された下位レベルの特性、つまりファセット(側面因子)は、利他主義、協力性、謙虚さ、道徳性、共感性、信用性である。

 《歴史》

 ▼キャッテルの16因子性格

 すべてのビッグファイブ性格特性と同様に、現代の「協調性」の概念の起源は、ゴードン・オールポートとヘンリー・S・オドバートの1936年の研究にまで遡れる。
 その7年後、レイモンド・キャッテルは、オールポートとオドバートが特定した何千もの性格関連語のクラスター分析を発表した。
 この研究で特定されたクラスターは、キャッテルが人間の基本的、そして普遍的な性格要因を特定しようとさらに試みるための基盤となった。
 彼は最終的に、因子分析を使って16因子性格(16PF)を決定した。
 さらなる因子分析により、これらの16の因子を包含する5つの高次の因子、また「普遍的」な因子が明らかになった。
 これはキャッテルによって「独立性」と名付けられたが、16因子性格検査(英語版)のE、H、L、Q1因子の高得点によって定義される普遍的因子は、現代の「協調性」の概念の初期の先駆けであった。

 ▼ビッグファイブ

 性格の五因子モデルにおける協調性の度合いは、最も一般的には自己報告式の測定によって評価されるが、同僚からの報告や第三者による観察も利用されることがある。
 自己報告式の測定は、語彙尺度や記述尺度に基づいて行われる。
 どちらのタイプの測定を利用するかは、心理測定特性の評価と、実施する研究の時間と空間の制約によって決定される。
 語彙測定では、共感的、協力的、暖かい、思いやりがある、厳しい、不親切、無礼など、協調・非協調の特性を反映する個々の形容詞を使用して測定する。なお、非協調性を表す単語は協調性を表す単語を逆符号化することで対応する。
 ゴールドバーグ(1992)は100語のビッグファイブマーカーの一部として20語の尺度を開発し、ソーシエ(1994)は40語のミニマーカーの一部としてより簡潔な8語の尺度を開発している。
 トンプソン(2008)はこれらのマーカーを体系的に修正・改良し、アメリカ人と非アメリカ人の両方においてより優れた心理測定特性を有する40単語の尺度の国際英語ミニマーカーを開発した。
 この簡潔な尺度は、協調性をはじめとする五因子性格次元を評価する際にアメリカ人集団内と、特にアメリカ人以外の集団において、良好な内部一貫性信頼性と妥当性を有している。
 実際に英語を母国語とする人々に対する協調性の測定の内部一貫性の信頼性は.86であり、英語を母国語としない人々に対するそれは.80であると報告されている。

 記述測定は、語彙測定よりも多くの単語で構成される傾向があり、そのため、より多くの研究機器のスペースを利用することになる。
 この測定法では例えば、「私はほとんどすべての人と仲が良い」「私は他人の問題に関心がない」「他人の感情に共感する」といったことの程度を回答者は尋ねられる。
 キャッテルの因子分析的アプローチは、普遍的な人格構造を特定するために用いられ、16PFの導入以降、数十年にわたって無数の研究を触発した。
 キャッテルの元々のクラスターである16個のパーソナリティ要因と元々のデータを用いて、複数の研究者がこの期間中に独自にパーソナリティの五因子モデルを開発した。
 1960年代初頭から、これらの探求には「協調性」や「社交性」と呼ばれる因子が含まれることが多かった。
 キャッテルの先駆的な研究に続いて5つの安定した人格因子が何度も再現されたにもかかわらず、この枠組みがパーソナリティ研究を支配し始めたのは1980年代初頭、ルイス・ゴールドバーグ(英語版)の業績からであった。
 オールポートやオドバートと同様の語彙的研究を用いて、ゴールドバーグは各々が包含する人格関連用語の数が非常に多いことを反映して、「ビッグファイブ」という用語を選んだ。
 そのうち一つである協調性は、「友好的」「気立てが良い」「協力的」「信頼できる」「育成的」「社交的」「思いやりがある」といったパーソナリティ関連用語で定義された。これらは以前や最近現れた概念と似ている。

 ▼NEO-PI

 1970年代から、ポール・コスタ(英語版)とロバート・マクレイは、因子モデルに基づくパーソナリティ評価の開発を研究し始めた。
 キャッテルの16個のパーソナリティ要因のクラスター分析から始めて、コスタとマクレイは当初、パーソナリティの三因子モデルに落ち着いた。
 これら三つの因子は、神経症傾向(⇔感情安定性)、外向性(⇔内向性)、経験への開放性(⇔閉鎖性)であり、「NEO」という頭文字が生まれた。
 コスタとマクレイの三因子NEOパーソナリティ目録とゴールドバーグのビッグファイブとの類似性から、コスタとマクレイは1980年代初頭に協調性と誠実性を評価する尺度を開発し始めた。
 この作業は1985年に完全な五因子モデルに基づく最初のNEO-PIマニュアル(英語版)が出版されることで結実した。
 これはNEO-PIに協調性が導入されたことを示しているが、コスタとマクレイはこの要因を構成する面を特定し、改訂版NEOパーソナリティ目録で詳述するためにさらに7年間働いた。

 ▼NEO-PIのファセット

 NEO-PIでは、コスタとマクレイによって特定された5つの因子は、6つの下位レベルのファセット(側面因子)で識別される。
 協調性に含まれる下位レベルのファセットは、NEO-PIの改訂版が1992年に出版されたときに初めて紹介された。
 現代のNEO-PI-Rに基づいて、協調性の6つの側面は次のとおりである:信頼、率直、利他主義、追従(英語版)、慎み深さ、優しさである。

 ◆信頼

 信頼は、心理社会的発達、パーソナリティ理論、そしてパーソナリティに関する民俗心理学(英語版)的概念の特徴である。
 このファセットで高得点を得る個人は、一般に他者の意図を善意によるものであると考える。
 このファセットで低得点を得る個人は懐疑的であり、他者を不審、不正直、そして危険なものと見なす傾向がある。

 ◆率直

 率直は、他者とのコミュニケーションにおいて直接的で正直な態度を示す性質である。
 道徳哲学において長い歴史を持つにもかかわらず、率直さは協調性の他のファセットほどパーソナリティ理論においては重要ではない。
 率直で高得点を得た人は、他者と直接的で正直な方法でやり取りする傾向がある。
 低得点者はあまり直接的ではなく、自己監視の傾向があり一般的に不正直であり、また操作的である。
 両者は同一ではないが、このファセットで低得点を得た人はマキャベリズムが高い傾向がある。
 率直さは、対人円形図(英語版)における「純真⇔計算」という次元に似ている。
 マイケル・C・アシュトンとキボム・リーによれば、率直さはHEXACOモデルの正直さ-謙虚さの正直さの側面に似ている。

 ◆利他主義

 動物に対する利他主義や倫理的利他主義と同様に、このファセットは自己犠牲、無私、寛大さ、思いやり、礼儀正しさ、他者への配慮などを測る尺度によって定義される。
 利他主義はアルフレッド・アドラーの社会的関心という概念に似ている。
 社会的関心とは、自分の行動を社会の向上に向ける傾向である。
 利他主義で低得点を得た人は、無礼で自己中心的または貪欲である傾向があり、これはアドラー心理学では「自己利益」と呼ばれる行動パターンである。

 ◆追従

 協調性のファセットとして、追従は典型的な対立に対する個人の反応として定義される。
 追従で高得点を得た人は、おとなしくて温和であり、対立を解決する手段として協力や服従を好む傾向がある。
 低得点者は、攻撃的で敵対的であり、口論好きで恨みっぽい傾向がある。

 ◆慎み深さ

 信頼、率直、利他主義、追従はすべて対人・社会的な行動を指すのに対し、慎み深さは個人の自己概念を指す。
 慎み深さのスコアが高い人は謙虚で他者志向的であり、低い人は傲慢で自己顕示的である。
 慎み深さが低いことは自惚れやナルシシズムとも呼ばれ、極端な場合には自己愛性パーソナリティ障害として現れることがある。
 ネオ人格目録改正版(英語版)では「謙遜」とも呼ばれる慎み深さは、HEXACOモデルの正直-謙虚の謙虚側面に似ている。

 ◆優しさ

 優しさとは、個人の判断や態度が感情によってどの程度決定されるかということによって定義される。
 この用語はウィリアム・ジェームズによって生み出され、16PF(英語版)の初期版でも目立っていた。
 優しさは主に共感によって定義され、国際パーソナリティ項目プールの「共感」スケールに対応する。
 対照的に、「タフマインド」とは、アイゼンク性格検査の精神病質と関連した特性である。

 《幼少期から成人期まで》

 協調性は、精神的健康、ポジティブな感情、他者との良好な関係を予測し、心理的幸福にとって基本的に重要である。
 幼少期と青年期の両方において、協調性は外在化の問題と結びついている。
 また、葛藤管理能力、学校適応、仲間・社会的地位、自尊心などの結果にも関与している。
 また、幼少期を通じた協調性の水準が成人期の適応や協調性に影響を及ぼすかどうかを調べる研究も行われている。
 若年成人では、外向性障害と内向性障害のいずれかと診断された人は、そのような障害のない若年成人と比較して、協調性とコミュニケーション性が低く、否定的感情性が高いことが示されている。
 また、若年成人の怒りとうつ病の関連を媒介するのは、「協調性」であると報告されている。
 大学生において、協調性は感情的な刺激に対する心理生理学的反応とともに、感情的な経験やコントロールの自己申告としばしば関連している。
 成人期には、低い協調性が健康上のリスクとなることが判明している。
 高い協調性、特に信用性と道徳性は、長寿と関連している。
 カスピ、エルダー、ベム (1987)の研究によると、爆発的で機嫌の悪い子供は、機嫌の良い同世代の子供と比較すると、大人になってからの離婚率が高いことが判明した。
 さらに、短気な男性は学歴、職業、仕事の安定性が低く、短気な女性は同じように低い学歴を持つ男性と結婚していた。
 シャイナー(2000)による2つ目の、より新しい研究では、中年期の協調性と友好的遵守を表す複合変数が、10年後の思春期の学業成績、行動様式、社会的能力を予測することがわかった。

 〔ウィキペディアより引用〕




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