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中国の運気の流れ

2009-01-18 01:31:03 | 易 de コラム
昨年5月に起きた四川大地震の復興とチベット問題の紛糾を携えつつ、8月に開催された北京オリンピック、および翌月のパラリンピックが一大イベントとなった中国。その後は、アメリカ発の経済危機に煽られて影を潜めたものの、昨今の先進的発展の勢いは世界随一とさえ言えるかもしれません。

しかし、一方で国の体質、例えば政治主導と思われるマスメディアにおける言論統制じみた行いや、マイノリティ(小数民族)に対する横暴や偏見、コピーを堂々と売り物にするなど、まだ内部に抱える問題は多いようです。

いくら世界的な影響力を持つようになったとは言っても、中身が批判されるようなことばかりでは国際的信用を得られませんよね。はたしてこうした諸々の課題を今後どのように扱っていくのか――段階的にであれ着実に克服しようとしていくのか、あるいは開き直って強引に力で押し切っていこうとするのか、その手法が問われているように思います。


さて、では中国も基礎データと共に、易に拠る大運表を掲示しておきます。

◎中国の建国データと大運表

建国日時:1949年10月1日16時頃(JST)/北京
(現地時間では1日の15時頃で土曜日。※15時を10~15分ほど過ぎた頃と想定)
旧暦:己丑年8月10日申刻
四柱干支:己丑年癸酉月甲子日壬申時

1949~1951年  山火賁[二]
1952~1961年  火雷噬ゴウ[初]
1962~1971年  雷風恒[初]
1972~1981年  沢山咸[二]
1982~1991年  艮為山[三]
1992~2001年  震為雷[四]
2002~2011年  天山遯[五]
2012~2021年  雷天大壮[四]
2022~2031年  風山漸[三]
2032~2041年  雷沢帰妹[二]
2042~2051年  坎為水[初]
2052~2061年  離為火[初]


これを見る限りでは、今は2002~2011年の天山遯[五]の運気の中にあるようですが、これから3~4年ほど経った頃から雷天大壮という覇気のある大運の中に入っていくことがわかります。ことに大壮の九四では、貞正の態度を取ってさえいれば存分に進んでゆけるような意味がありますから、この辺りの時期には中国は世界の覇権に関わるポジションに立っている可能性も考えられます。

現在は天山遯と隠遁の卦ですし、九五では何かとケジメをつけなければならない事態・状況になることが多いのでしょう。既に中国側としては終わっていると思っている関係(事案)でも相手国は納得がいかずに引き下がらない(下がれない)ことが沢山出てきます。

例えば、中国とチベット、また中国と日本を含めた近隣諸国とのイザコザなどがそれに当たると思います。しかし、中国政府としてはどうにかして関係を割り切り、印象を悪くするような懸案を早く解決済みに持ち込みたいところなのです。

というのも、大壮としての勢いをもって前に進むためには、どうしても過去を振り払わなければならず、いつまでも引きずっていては体裁が悪くなる一方だという心理が働くからです。もちろん話し合いで解決することが現代の国際社会でも最重要なのは違いありませんが、かといって長々と引き伸ばし作戦のカードを切られるのも嫌だし、できれば早く終わらせたいというのが中国としての心情ではないかと思います。

まあ、今の大運の本質的性質としては、“風当たりの強い逆風の中でも、やることだけはしっかりやる”というスタイルのようなので、容易には折れないだろうし、挫折をよしとはしないとは思いますが。

なんであれ、こうした障害として立ちふさがる問題は、それが国内における小さなものであれ、国際世論に影響を及ぼすような大きなものであれ同じように、これまでの中国が無視してきた、または見過ごしてきた(気にも留めていなかった)事柄が根本にある、というのが九五の特徴です。

これは一種の「マナー、モラルに関わる問題」といっても良いかもしれません。自と他の常識の違いが生み出すギャップ。それが種々のトラブルや批判の根幹になっていて、今以上の発展を手に入れようという中国が“身ぎれい”になるためには、どうしても避けては通れない試練となっているように思えます。

人でも地方自治体でも国でも同じだと思うのですが、経済的・物質的な豊かさを享受する一方で、精神的な未熟さや荒廃または常識の欠如が目に付けば、否が応にも相手のひんしゅくを買います。せっかく盛り上がってきた国情に対する評価を内部の乱れで貶めないためにも、力で他国を無理強いすることなく、大壮期に入るまでの残りの数年をかけて丁寧に対応し、ポイントを上げておくべきでしょう。

一つ問題を指摘するならば、大壮期の運気の根底には山地剥が横たわっていることでしょうか。活動という面では力のある時期になりそうですが、欲深くなって力を求めるあまり、諸刃の剣にならなければ良いのですが。風雷益が次に沢天夬を迎えるように、益されて発展した後、力に恃んで自国民や世界の国々を侮れば、快刀乱麻で断たれます。今後の中国の上層部は、この辺の事情を肝に銘じておいたほうが良さそうに思えます。


ここで年運を少し考えてみると、昨年2008年の中国の年卦は、根っこが水地比[初]で表向きが乾為天[初]でした。

オリンピックを含めた国際的な交際能力は水地比に象徴されるように親しみあるものでしたし、初六の性質にあるように開催国としてのアシストもそれなりに評価できるものだったと思います。乾為天初九は地に潜む龍で四川大地震をどこか彷彿とさせますが、それはともかく全体的にも乾為天としての巨大なエネルギーのうねりを垣間見たような年回りだったように感じます。

そして、続く2009年の中国ですが、依然として基本的傾向としては盛運に属する運勢にあります。というより、内需的な意味では、今年の方が昨年よりも良さそうにさえ思えます。易卦では根っこ(本質的要素)が火天大有[二]で、表向きの傾向が坤為地[二]です。

火天大有は乾為天同様に強い気を有する卦であり、場合や扱いによっては危険とも解せるものですが、一般的には盛運を示します。
もっともこの場合の大有は国民意識や政府のベースとして働くので、強い意志を持って徹底して物事に取り組む姿勢という風に表れやすいと思います。で、現象的には坤為地そしてその六二に示されるような中国国民としての意識――家族・生活・社会・国政など、当たり前すぎてあまり振り返ってこなかった身近な事柄に対して、今まで感じなかったほどに気を配るようになるはずです。

これには2008年の北京オリンピックを機に、多くの外国人が国内を訪れたこと、そしてそのために色々と社会のあり方を初め、自分達の世界観や認識の転換を迫られたということも影響を与えていると思われます。人も社会も、その意識すなわち認識する視野が広がることで今まで考えもしなかった事態に遭遇し、それに適応しようと変化を遂げていくものですよね。

この坤為地六二では身近な生活に関する執着とも取れるような強い愛着心があるのですが、止むを得ない事情があったりして立ち退きを迫られたり、自分から今の生活様式を変えていこうと考える傾向があります。自分の中で、今の生活や職場、家族や仲間との関係に“お別れを告げる”ような状況になりやすいのです。この意味合いは、実は雷天大壮の九四にも通じています(後述)。

ドラマや漫画などのフィクションでは愛着のために仲間や「懐かしの場」が戻ってハッピーな結末を迎えることもあるでしょうが、現実生活では部屋を引き払って引越しをすることになったり、家具の配置を変えざるを得なくなったりと身辺整理が必要になるケースが多いのが特徴です。

現在の中国は13億人という世界1位の人口(日本の約10倍)を誇りますが、一方で文化・教育レベルは各地域で大きな格差があるようで、その点ではまだまだ発展途上にあります。

今のところ都市部に過密なほど先進文化が集中していますが、広大な大地の各行政にも相応な水準が構築されてくれば、それぞれの地域の人々の世界に対する認識の格差が埋まり、それが大きな力となって国を持ち上げていくことになるだろうと思います。そうなれば、名実ともに世界の軸として活躍できる時期が来ることも夢ではないかもしれません。

ただ、元来の性質としての中国は雷風恒の六五を本卦としてもっているので、国の方針の重要な分かれ道に差し掛かったときに、「さて、このまま勢いに任せて力を試す道を進むべきか、それとも自重して引き下がる態度を取るべきか。」は国としての考えどころです。

一応、国は男性としての性を持って建国(宣言)されると僕は考えているので、「男性」として読むならば(一時的であるとしても)世界の牽引役を担うことを考えても良いことになりますが・・・。

2010年代の雷天大壮の大運期は、そのタイミングを見計らう時期になるやも知れません。

というのも、この卦爻は象徴的な表現をすればジブリ映画の「おもひでぽろぽろ」のような内容だからです。
「私はワタシと旅に出る」(糸井重里さんによるキャッチコピー)とあるように主人公の岡島タエ子さんが経験していく事柄が、まさに雷天大壮の九四に類似していると、僕はかつて思ったことがあります。

みなさん、映画のストーリー覚えてますか?


さてさて、その頃の中国のトップの方々はどういう決断を下すことになるのでしょうね?


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