前回の記事で、Excelで作成している四柱推命白帯というソフトのVer.0.95へのアップデートをお知らせしました。
その後も細々とした更新を続け、現在はVer.0.96.5が最新版です。
この一週間ほどで2100ほどのランダム・データを作成し、それを基に色んな統計を出してみました。
ツイッターでも進捗状況は報告していましたが、自分自身のメモも兼ねて、この記事で整理したいと思います。
でも、いきなり統計データの画像を貼り付けても何のことか分からないと思いますので、少し長くなりますが、先に説明を入れたいと思います。
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四柱推命は、他の中国占術と同様に、陰陽二元論や五行理論がその根本にあります。
そして、そこから派生した十干十二支で構成された干支を年月日時という四つの柱それぞれに配置し、各時間の性質や関係性を読み取ることで一個人の運勢や出来事を知ろうとする技術です。
古来より様々な見方や読解方法が提唱されており、流派間での考え方の違いも見られますが、大枠的に共通していることとして、各個人の運勢を知るための基準、あるいは型と言えるものがある、ということです。
これは主に五行の状態から導き出されるもので、思考手順や計算方法の違いはあるものの、数量的に換算することで、どの基本型(タイプ)に該当するのかを把握するというやり方をしています。
その型は、「身強(身旺)/身弱」と呼ばれるものと、「内格(普通格局)/外格(従格・特別格局)」と呼ばれるものに大別されます(呼び方は様々ですが、意味するところは同じです)。
「身強/身弱」は、四柱推命での自分を表す日干(生まれ日の十干)の力量を主として、それを支援する力とを総合したものです。ただ、ここでの「身」という文字から身体の強さ・弱さだとか、運の良し悪しそのものが連想されがちで、そのために時折、「身強のほうが良いんじゃないの?」といった早合点も生まれています。
しかし、身強であれ身弱であれ、これ単独で肉体面の強さ・弱さだとか幸運度を述べることはできず、それを知るには四柱干支(八字)全体を見て、さらに各時期の運気との関わりを考える必要があります。
ここで使われている「身」という文字が持つ意味を感覚的にとらえると、その人の運の拠り所としての性格の鋳型、自我の在りようを表していると言えるのではないかと思います。このことから、僕はこれを「気質」(の強弱)と言い換えています。または、気性といった表現でもいいかもしれません。
そして、もう一つの「内格/外格(従格)」も、そうした型の一種であり、運気を読み解いていく際の分岐条件の一つとなっています。概念的には、数学のサインやコサインが内格で、タンジェントが外格のような分け方ができます。
まず、内格というのは、個人の中での上限と下限を行ったり来たりするような細かな浮沈のある運気を示すもので、その浮き沈みに際して生じるストレスを低減もしくは緩和するために、自ら抑制を設けて均衡(バランス)を図るといった対処を必要とするタイプです。簡単に言えば、調子づいた時に己の分(限度)を越えないように謙虚さを思い出し、落ち込んだ時は卑下し過ぎないように自信を取り戻すことをする、ということです。
内格は、五行の配分的には調和を是とするため、ある一面に偏り過ぎないで済む運気の時に喜び事や楽しみ(総じて『喜』の事象)が多く、逆に調和性が低くなる時に辛い事や悲しい出来事(総じて『忌』の事象)が起きやすいと見ます。
一方の外格は、あまりに命式内の五行の状態が偏っているためにバランス(調和)を取ることが難しく、それならばむしろ強い勢いを利用したほうが良い、という考えで対処していくタイプです。
これはタンジェント・カーブのように、一定の上限や下限を意識することなく、ただただその人の特徴が生きる方向へと進んでいくことを是としています。つまり、ある五行の配分が極端に偏る時期や、その勢いの捌け口となる方向がある時期を“喜”とし、逆に本来の偏りが崩れてしまって自分の利点が生かせなくなる時期を“忌む”時期としています。(流派や個人によって考え方の違いはあります。)
それで、これら「身強/身弱」と「内格/外格」の二つの型が組み合わさって、以下の四つの基本パターンが出てきます。
・内格身強
・内格身弱
・外格身強
・外格身弱
単純に言えば、これらはフローチャートでいう分岐点とみなすことができます。
図示すると、こんな感じです。
この時に注意すべきことは、身強身弱にしても内格外格にしても、それら単独で(出生時点での強弱や内外の)どっちが良いというものではなく、各時期における運の状態との関係が重要になってくる、ということです。言い換えれば、導き出された四つのパターンのどれかが基になって、個人の運気の良し悪し(吉凶)が定まってくるということです。
ところで、身強身弱の判定の際に、そのどちらとも言えない、いわゆる中間に当たる場合があります。上図での中和(中庸)です。
そのような場合でも、厳密に考えて身強身弱を取ることができるものもありますし、それができない特殊なケースでは、専用の型を適用することで、その枠組みに従った考え方で運気の喜忌をみていくことになります。例えば、以下の画像での両神成象格とあるのが、その一つです。
・・・
前置きとしての説明が長くなりましたが、上記の四つの基本パターン(タイプ)があり、その派生として個別の名前が付けられています。
これら一つ一つの格(型)の名前も便宜上のものであり、従殺格のような恐い名前のものもありますが、字義に囚われる必要性はありません。
さて、やっと本題です。
以下の内容は、四柱推命白帯(四柱推命ソフト)の現時点での最新版を使ってランダム・データを蓄積し、それを基に統計をとったものです。
(最初にある“取得条件”とは、「白帯」内での設定項目に関するものです。実際に使ってもらわない限り、これを見ただけではよく分からないと思います。一応、ここに書かれた設定が現バージョンでの初期設定になっています。)
「総エネルギー」「気質」「五行の調和度」「五行の偏向度」などの個別の意味については、実際にソフトを使いながら四柱推命白帯の解説ページを参考にしていただきたいと思います。ただ、一つ書いておく必要があるのは、基本的にはソフトの初期設定のままで算出しているのですが、干合する場合にのみ任意に力量操作している、ということです。
例えば上のデータの中での総エネルギーの最小値は11となっていますが、これは干合時に試験的に力量を加減した後の値です。実際には、初期設定や一部設定を変えて計算させた中で、これまで僕が見つけた最小値は18(17.8)です。
同様に、エネルギーの最大値も設定項目を変更したり、支合・支冲や干合、生剋などで加減させる場合、 ここで得れらたデータとは少し違った結果になると思われます。個人的には275という数値を見たことがありますし、四柱全てが壬子のような場合では345.3にもなります。
また、「力量計算に地支蔵干も含める」の項目でチェックするかしないかは、格や喜忌の選定を含めた結果全体に関わるため重要です。
それと、画像内で「不従」としているのは、一般に「仮の従格」とか「条件によっては成格する」などと言われる命式に相当するのではないかと思われるものです。ただし、ソフト内では定めた数値や条件で厳密に仕分けられるため、実際の判断とは食い違うこともあり、まだまだ未完成というか不十分な部分があると感じています。
現状、五行の計算式にしても喜忌の条件設定などの他の面にしても十分とは言いがたいのですが、それでも、ある程度は指標として参考にできるレベルにはなってきたのではないかとの理由から、今回、試しに統計を取ってみました。
数値として現れる部分ではデータ数が1000の時点のものと大差がなく(下図参照)、これ以上、数を増やしてもあまり意味はなさそうだったので2100まで出したところで打ち切りました。
なお、今回使用したデータをそのまま提供しますので、使えるようであれば各自の学習に役立ててください。
こちらに置いておきます。
参考として、先日お生まれになったばかりの英国のプリンスの命式を出してみました。
出生時間&出生地のソースは下記から得ました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10153073980990525&set=a.425771535524.372452.313564270524&type=1&theater
http://www.astro.com/astro-databank/George_Alexander_Louis_of_Cambridge,_Prince
☆ジョージ・アレクサンダー・ルイ<男性>
(Prince George of Cambridge, George Alexander Louis)
2013/07/22 16:24 London 51N30, 00W10 DT
※画像を新規ページで開けば、原寸サイズになります。
土旺の時期に当たり日主に勢いがあり、印の後押しもある身強の命式ですが、外格になるほどではないため、これは内格身強と言えます。
すると、原則的には日主(日干)を支える印星と自星が忌神で、強い日主の力の捌け口(活路)となる食傷・財・官が喜神となります。
こうした簡易的な読み方で計算したのが“喜忌グラフ”の数値であり、それをもう少し細分化しつつ十二運を加えたものが一番下の“栄枯盛衰グラフ”です。これらを見ることで、大まかに人生の運気の流れをつかめます。(※ソフトの条件設定が悪くて喜忌が合わないケースもまだありますので、その場合は任意に身強身弱や格を選択してみてください。)
ところで、四柱推命では節気を使うので通常は意識されることはありませんが、プリンス・ジョージは蟹座の最終度数のまさに最後の瞬間に生まれています。つまり、獅子座に入る直前であり、その上、ちょうど満月の生まれです。実際の月の運行は四柱推命では使用しませんが、こうして太陽との明確な関わりがある場合は特に、命式にも何らかの影響を与えているのではないかと思えてきます。
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