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易の初歩 : 八卦の意味するもの

2014-08-26 18:46:31 | 易 de コラム

今回は「八卦の意味」の前半です。

夏休みで3週間ほど帰省していた子供達のはしゃぎ声を聞きながら、またその面倒見に負われながら、集中できたりできなかったりでちまちまと書いていたものです。あまり内容整理できていませんが、巽坎艮坤が未着手ということもあり、ひとまず乾兌離震までUPして先を書き進めようと思います。

なお、8年位前にも一度、「八卦の千変万化」というタイトルで八卦(九宮)について書いたことがあります。
このブログでも読めますし、保管庫のサイト内でも読めます(ページ下の「コラム:八卦の千変万化」)。 
あの頃と今とでは考え方が変わっているところもあると思いますが、色々参考にしたいという方はそちらも併せて読んでみて下さい。

同日夜~翌々日: 読み返してみて気になる箇所を修正したり、部分的に若干の加筆をしました。

 

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4-d. 八卦の意味するもの


以下、八卦それぞれの基本的な意味にも触れつつ、個人的に思い浮かぶ象徴も挙げていきます。色々と発想を広げる参考にして下さい。


1.乾


乾は八卦図にあるように全てが陽で構成された卦ですので、光が強く明るい性質があり、陰としての影や湿り気がほとんどない状態です。(この、湿り気がないという意味では、恋愛のような色事や人情的な湿っぽい関係には向かず、ビジネスのようなドライな関係に適しています)

易のテキストでは「天」がその正式な象意として載っています。いわゆる「お天道様が見ているよ」的な天とも言えますし、現代では大宇宙や天地創造の源、アカシック・レコード(地球や宇宙の記録庫)、宇宙意識みたいな意味に解してもいいかもしれません。

日常的には輝く太陽や煌々と照る満月、秋晴れの清々しい空を思い浮かべても良いと思います。この他、人物としては父や上役などの目上、身分の高い人、社長などの経営陣、司令塔(リーダー)、資金援助者(スポンサーやパトロン)、人格円満な高潔な人、神主や神父(聖職者)などが乾に相当します。

物象では有名所や官公庁(行政の中心地)、重要な場所、見るものを圧巻する場所や大きなもの、鉄球のような固いもの・円形・球体のもの、天球や黄道12星座、大人や子供が元気に遊びまわる場所、競技場やスポーツ公園、貴金属などの光り物、高級品、高いか広い建物(ビルやタワー)、大容量の記憶媒体、図書館や公会堂のような一堂に会する場所、教会や神社仏閣、アシュラムなどの神聖な場、荘厳な音楽、虎・ライオン・象・クジラなど王者の風格のある生き物、竜・ペガサス・ユニコーン・神獣・精霊などの伝説的・空想的・神話的な存在、ハイヤーセルフ(高次の自分:守護天使)といった高い意識次元の存在、調子の良い時の自分、人体の重要器官(心臓、血圧、頭(脳や顔)、背骨)など。

あと、これは後天八卦との関連になりますが、方位としては北西、季節は秋から冬の入り口にかけて、時間は夕方から深夜へと向かう間。十干は辛(位置的に見て)、十二支では戌亥と関係します。先天八卦との関連では南と甲が対応します。ただ、先天八卦を時間や方位に適用する場合、そのまま用いるということは少ないかもしれません。

 

先天と後天の八卦の相互関係やその使い方は様々で一言では言い切れませんが、今は「人の意識のようなもの」と考えてみて下さい。つまり、顕在的・表面的には後天八卦が作用し、それが潜在性を引き出すまでに深まると先天八卦が顔を出す、という風にです。

例えば先天八卦の乾は後天八卦での離の位置にあります。離も乾も光や熱に関する卦ですが、離は懐中電灯やスポットライトの光のように闇の中に光を照らす感じですが、それが拡張されて光量が増すと、建物の照明のように空間全体をパッと明るく照らすようになります。この象徴的な意味を具体的に言い直すと、例えば個人としての自立を離とすれば、家族や社員を養うまでに器が大きくなった状態を乾と見なすわけです。

また、例えば後天八卦の兌の奥には先天八卦の坎が秘められています。兌は楽しいことや喜びを意味しますが、これに依存したり甘えるようになると、坎としての深い溝・穴に落ち込んでしまい、なかなか抜け出られなくなります。昔の話に、「棚ぼた式に切り株に頭をぶつけたウサギを得た木こりが、また同じことが起きないかと期待し続けて無益な時間を過ごす話」があったと思いますが、一度上手く行った方法にこだわるあまり、そこで自ら思考停止させてしまうケースが、その一つの例です。

逆にいい意味では、兌としての「甘い考えを改めて怠惰な生活を克服することで」(・・・この書き方は人によってはキツイと感じることがあると思います。その場合は、こんな風に考えてみて下さい。「できないことで卑屈度や自信喪失度を強めるのではなく、その都度、小さくても達成感を得られることをするか、些細なことでも自分の存在価値を信じられる行動を繰り返すことで」)、ついには坎としての内面から滲み出る深遠な知性(洞察力)を発揮したり、ちょっとやそっとの事では動じない落ち着き(中立的に物事を見る力)を備えるようになっていくでしょう。あるいは、兌で色々な事象の繋がりや共通性を見出し、そこから坎で帰納的に法則化することができるかもしれません。

こうした関係性が先天八卦と後天八卦の間にあると考えるわけです。この辺り、内容的にはエニアグラムの「成長レベル」や「統合と分裂の方向」と関連するかもしれません。

だいぶ脱線してしまったので話を戻します。

基本性質としては上昇志向が強く、向上心や前向きさ、旺盛なエネルギー、視野や展望・器の広さ、輝かしさ、創造性を刺激する物事・人・出来事が、この乾に象徴されると考えたら良いと思います。また、卦徳が健であることから、物事や考え方の健全さ、子供の健やかな成長といったことも連想されます(同時にそれは、健やかであるべし、という指摘でもあります)。

一方で、そうした勢いが裏目に出ることもあります。例えば、自信過剰で人を圧倒する、強気なまでにポジティブ思考でかえって周りに煙たがられる、実力が伴わないのに自己主張だけは強い、ワンマンで人の気持ちも知らずにどんどん自分のペースで事を進めてしまう、序列や権力・財力を利用して圧力をかけたり情報操作する(パワハラ)などです。

こういった性格が出てきたら要注意で、周りとしてもなかなか物が言えなくなってしまうでしょう。その場合、どこかの段階で失敗するとか人が付いて来なくなったことに気がついて、やっと我が身を振り返ることになるんじゃないかと思います。

というわけで、こんな調子で八卦について書いていこうと思っています。なお、書き忘れる場合もあるかもしれませんが、それぞれの卦には長所と短所があることを考えながら読み進めて下さい。また、その時々の体調や書き方によって文章量が変わるのが僕の毎度のスタイルです。その点、どうぞご了承願います。


2.兌


古典的には艮と並んで八卦の中で最も若い部類の人物を象徴します(テキスト的には兌が少女で艮が少年とされます)。中高生から20代中頃までの女性が人物象としての主な対象ですが、必ずしも性別が限定されるわけではありません。大まかに思春期の人だとか恋多き人と括ってもいいでしょう。占星術での金星のように。

人物の場合は他にも、兌に象徴される口や言葉(会話)、五感(五官)を活用すること、色気(艶っぽさ)、甘美さ、エンターテイメント性(楽しさ)、報酬や給与(兌は季節では実りの秋)といったことを上手く生かしている人も表します。

例えば歌手やアナウンサー、落語家や漫才コンビ、お笑いタレント、コメディアン、連想したり共通項を見つけて話を膨らませるのが得意な人、営業職、翻訳家、通訳、教師、カウンセラー、電話相談室の人、講演活動をして回る人、司会やプレゼンテーター、コメンテーター、歯科医、ライトノベル作家や恋愛モノの小説家、声優、実況者、ホステス、グラビアアイドル、性風俗やAV女優、美容師や理容師、経理や銀行員(収支管理)など。

(※注意していただきたいのは、どの卦であれ象徴として挙げられた人や物が、その卦単独で示されるとは限らないということです。例えば「営業職」とありますが、営業をする人は弁が立つだけではやってはいけないことを知っているでしょう。他のスキルも当然求められますよね。これは「教師」にしても「歯科医」にしても同様です。これらは単に卦のもつ特性に合致する面を強調しているに過ぎません。)

また、兌は歓楽や喜び(喜ばせる)ことを象徴します。性格的な良し悪しも「楽なこと(楽したい)」が一つの基準になっています。この意味では(占星術のアスペクトの概念に準えて)兌はeaseやsoftで、向かい合う艮はdifficultやhardとも表現できるかもしれません。

プラス面では、笑いで人の心を明るくする人、気持ちのいい感じで接客する人、いつもニコニコして場の雰囲気を和やかにしてくれる人、凝り固まった心と体を解きほぐしてくれる人、優しい言葉や労わりの言葉をかけてあげられる人、屈託のない素直な反応を返す人、純粋な願望やワクワク感に従って生きる人、シンクロニシティや引き寄せの法則を上手に使う人、プレゼントや祝い事を欠かさない人、褒めて伸びる人、好きなことを仕事にする、複雑で時間のかかる手順を簡略化できる人、専門家にしか使えなかったものを誰でも扱えるように一般化できる人、品質をなるべく落とさずに低価格で提供しようとする人など。

マイナス面では、お世辞や社交辞令が上手な人(口先だけの人や、本心とは裏腹にご機嫌取りをする人)、信念のない人、金魚のフンのように追随してばかりの人、誰かのヒモや遊び人(他人の金を散財する人)、遊びや気晴らしに夢中になって義務を怠る人、享楽や快楽に耽る人(食べすぎなど欲望を自制できない人)、自分に甘い人や過度に甘やかす人、見返りが欲しい人、猫撫で声で媚びる人、言い訳をして嫌な事から逃げようとする人、責任を回避・転嫁しようとする人、いつも物足りなさを感じながら心を満たしてくれる人(ソウルメイトとか)や物・金・機会などを求めている人、何かにつけて批判したり説教する人、自分の趣味や興味のあることについて語り出すと止まらない人、本来ならば自力で解決すべきところを人にやってもらう人、などです。

場所では、古典的には沢と表現されています。娯楽施設(テーマパークやアミューズメントパーク、パチンコ、ゲームセンターなどのレジャー施設)、飲食する場所、特に喫茶店やファミレス、ペット同伴のカフェなど歓談(おしゃべり)できる場所、キャバクラ、女性がらみのイベント、居酒屋、パーティーや合コン会場、カラオケ、マンガ喫茶、講演会場、ライブ会場、比較的安全で人や小動物が集まる水辺・憩いの場、水族館や可愛い動物達と触れ合える場所、温泉やプール、按摩や整体マッサージなどです。

人体や病気関連では金行に関係した部位や「欠け」や「カット」を意味すること。歯医者(虫歯治療や歯石除去)、筋肉に溜まった乳酸・コレステロール・尿石などの詰まり除去、腫瘍の摘出(外科自体は震とも関係する)、耳鼻咽喉科や呼吸器科、泌尿器科や婦人科病院に関わること。干支と方位では先天的には丁と辰巳(南東)、後天的には金行の庚と酉(西)。時間帯ではまどろみやすい時間、ルーチンワークに飽きたりして休憩が欲しくなる頃、夕方。季節では陰気が最後の抵抗を見せる春から夏に向かう頃、後天八卦的には実りや剥落の秋。

物象では、甘くて美味しいが糖分の多いもの、小さかったり柔らかかったりして可愛いもの、家族同然に慈しまれるペット、人魚伝説もあるイルカやマナティ、可憐な妖精や愛らしい小人、ユルキャラのような何かのマスコットキャラクター、美化されたもの、美少年・美少女もの、おもちゃ、コーヒーやお菓子やタバコなどの嗜好品、止められない遊び、道楽や趣味の追求と散財、ギャンブル、(ソーシャル)ゲーム、チャットやLINE、恋愛やファッションやインテリアや料理を扱った手軽に読める雑誌、潤沢な資金または逆の金欠、旅行やレジャーの楽しみをおすそ分けする意味でのお土産、戦利品、賞金、獲得した品など。

そうした楽しみや喜び、愉悦、恍惚感(エクスタシー)といった言葉から連想される事柄を象徴する一方で、そこに届かない・満たされない状態の辛さ、もどかしさ、悩みも象徴しますし、努力不足だとか怠慢、放逸さといった状態も示します。

例えば受験を占って兌が特徴的に表れた場合、合格して喜ぶというイメージもできますが、勉強が不十分であれば常識的に考えて不合格になるでしょう。この辺は本人がどれだけエネルギーを傾注しているかにかかっています。また、好きな人に告白して恋人になれるケースもあれば、片想いのまま叶わぬ恋に悶えるというケースも。

兌の形象的に最後の一歩(3割)が欠けている状態ですので、何事も中途半端にせず納得するまで行う、最後までやり遂げる、という意識を持つことが大切です。でなければ、文字通り「一歩及ばず」という結果に終わって凹(へこ)むことになります。それと気をつけたいのは、兌の恩恵・喜び(仕事の報酬でも何でも)を受け取った時、それを単純に当然だと考えて感謝の気持ちを忘れてしまうことです。これもまた、残りの三分の一を埋められず、不満がくすぶる原因になり得ます。自力で達成したように見えても、その影では多くの人の支えられていることを思い出しましょう。

他にも兌卦の注意点としては、昨今のオレオレ詐欺のように口が達者な人に乗せられたり、色香の誘惑や金銭的な甘い話(中身のない話・小悪魔の誘惑)に踊らされてバカを見ないように気をつけること。同時に、自分自身が悪事に加担しないように自制心や良心をもつことも大事ですね。


3.離


この離と後で出てくる坎は、易の中でもちょっと変わり者というか癖のある存在です。他の6つの卦とは違うという意味ではなくて(八卦はそれぞれ等しい価値を持ちますから)、その性質に二面性が出やすいという意味です。

もう少し細かく言えば、二面性というよりも中性的な存在として両極の間に介在する立場にあるため、常に両方の力関係や均衡に左右される、という感じになるでしょうか。

このことは卦の形にも表れています。離の場合は||(陽=|、陰=)で陽の間に陰があり、坎は|で陰の中に陽が内在しています。これは、場合によってポジティブにもネガティブにも様態が変わるという相対性が端的に示されたものであり、「易は変化の学」ということを殊更に象徴する卦と考えることもできます。

古典的には離と坎は日月の精とされます。これは太陽と月の光(エネルギー)や、日月が示す象徴的な意味を私達が住む地球(現実世界)に反映させたものです。

離の場合は表面を照らす明るさを象徴するので、一般的には太陽光や照明、いわゆるライト全般を暗示します。しかしその内部・中心までは光が届きません。全体的に中まで光が行き渡る場合、それは離ではなく乾の働きです。

もし離がその空虚な中身を充実させようとするのなら、坎などが持つ内なる陽性(実性)を受け入れてなくてはなりません。それは例えば、理詰めで考えるばかりでなく感情面もしっかり考慮に入れる、といった両面のバランスを意識することです。

ここで幾つか例を考えてみましょう。離卦では陽が陰を挟んでいますから、その表面的性質は陽的で、内に秘めるものは陰的です。これを人のあり方に例えると、どうなるでしょうか?

一見知的で陽気だけれど、内心ではいつもどこか満たされない気持ちを感じている。
仕事など対外的なことはそつなくこなすが、掃除や料理などの家事は苦手。
周りから浮いてしまうことを恐れて常に仲間や一般社会と同じようにしていないと不安になる。
体裁や利益を重視して人間性や自然環境・動植物が軽視される。
効率・便利さ・成績を優先するあまり何か大切なものが犠牲になる。

今は「ポジティブに振舞ってネガティブさを取り繕う」みたいな例ばかり書きましたが、もちろん、いい面もあります。

個人的な悩み事を抱えていても、それを人に見せずに家族や他の人達のために頑張る。
恥をかかないように、ちゃんとしているところを示せる自分作りや子供の躾けができる。
世間で流行っているスタイルや新しい技術・機器に素早く適応して、必要な時は他の人に教えたり見本となることができる。
場の空気を華やかにしたい時に、うまく盛り上げる話題やアイデアをもたらす。
悲観的に考えがちな人に対して、物事を前向きに見る視点を提供できる。
時代に対する先見性を発揮することで、これから求められそうなことを察知、計画する。
美に対する感性の鋭さにより秀逸なデザインを考えたり、明快で読みやすい文章を書いたり、小難しい事柄を分かりやすく話すことができる。

こうした内容を参考に、極端に偏って片方を忘れてしまうことのないよう、楽器の弦みたいに緊張の糸を適度に張りながら調和の取れた道を探ってみましょう。

最後に象徴事例を羅列しておきます。

人物では、ありていに言って総じて美に関係する職業の人、(未婚で)美容やダイエットなどに関心の高い年代層(10代後半~30代くらい?)、美容師やネイルアーティスト、宝飾店勤務、ファッションモデルやファッション誌に携わる人、配色やインテリアなどのコーディネーター、綺麗なイラストや風景画・デッサンを描く人、被写体を見栄えよく撮る技術を持つカメラマン、作家やエッセイスト、コラムニストなどの文筆家、ツイッターや俳句のような短い文章で意志や情報を伝えることに長けた人、学識者やいわゆる文化人・インテリと呼ばれる人、実力のあるなしを問わず高学歴を誇る人、何かの賞を獲得したりして脚光を浴びる人、雑誌の表紙を飾る人、流行の発起人、近未来を予測する人、見栄を張ったり嘘をついたりする人、テレビや映画などで見る芸能人の姿(その私生活までは分からない)、表向きの顔(ペルソナ)と本心のギャップが目立つ人、見掛け倒しな人、など。

物象では、体の急所や弱点としての部位(目や心臓、顔面や頭部、体の正中線にある各部)、医薬品、先進医療、光や熱(火)・電波・電気を利用したもの(生活を便利にする文明の利器:電化製品、最新機器全般)、人類の叡智の粋を表したもの、新しく生まれた現代用語や流行語、注目を集めるスポット、表看板、印鑑、広告の品、サウナやエステ、メガネやコンタクトレンズ、眼科、整形外科、脳外科や心臓外科、発熱、のぼせ、熱射病や日射病、物価上昇(高騰)、美容グッズや鏡などの化粧道具、装飾品、火事、磁石や貼って剥がせるシール(離は付着と分離の意味がある)、水と油のように簡単には混ざらないもの、富裕層と貧困層とが隣り合わせている区域、目に見える差別、目印になるもの(目立つ色や光を放つ構造物)や先を見通せる場所(高台、見晴台、山頂)、火口、双眼鏡や望遠鏡、シースルーの服や透明感を押し出したもの、文化会館や劇場などアートの展示や公演が行われる場所、モデルハウス、期間限定で発売されたり公開されるもの、授賞式など人生の晴れ舞台、離婚などの訴訟や裁判、文書に関すること、学問に関係する場所や人(学校・図書館・資料館・研究施設・文房具店・教員など)、ステンドグラスで彩った聖堂、など。

動植物では、色合いが派手だったり、特徴的な容姿を持つもの、光を放つ(反射する)もの(熱帯魚・孔雀・蛍・スケルトンな感じの生き物、電飾がついているような魚、バラやカーネーションなど。離は赤や光彩を象徴する)、気が強そうに見えて案外と臆病な性格をした動物。バラのように遠くから見ると綺麗でも、近づくと刺があるような二面性があるもの(人物でもそうかもしれない。親しい者や目を掛けている者ほど厳しくなるってこと、ありますよね)。

季節では春分の頃、および太陽高度が上昇している時期。後天八卦では真夏の暑い時分に当たります。時間帯も同様に朝および真昼の頃(全般的には午前)。干支では、日の精としての己と火の五行である丙・丁、日の出の卯時と正午前後の午時。方位は先天の東と、後天の南になります。一応、先天の場合も書いていますが、十二支方位や時間帯については後天八卦を目安にするのが一般的です。


4.震


陽気の発動段階が震、陰気の流入段階が巽。これは乾坤の両極性に陰陽・動静それぞれの気が兆した状態を表しています。これがさらに伸張すると震(長男)は乾(父)に向かい、巽(長女)は坤(母)に向かいます。

この震と巽は先天八卦では真逆にあって対向していますが、後天八卦では東側グループとして同じ木行を担っています。これは震と巽双方の役割分担が社会や個人の成長のために欠かせないものであり、この二つの引き合いを通じて極論に偏りすぎないようにバランスが図られ、さらには、私達が一段高い視点から中立的に物事を把握する術を学ぶのに役立っています。

例えば、子育て中の親や、子供を躾けたり指導したりする立場にある人をイメージしてみて下さい。彼ら/彼女らは我が子であれ他人の子であれ、どんな風に子供達と接したらいいのか常に悩み、考えながら動いています。厳しく叱ることもあれば、優しく褒めたり甘えさせたりすることもあるでしょう。けれども、その胸の内は愛情や良心(木行・仁の意味合い)から出ているはずです。

こうしたことは、大本としての乾坤をはじめ、この震巽と同じように先天八卦で対角線上にある艮兌も、関連する事柄の均衡を図る目的でペアを組んでいます。そして、そこに坎離としての陰陽の混合・融和の卦が仲介して、各ペアが対立だけに終始せずに調停や調和の方向に進めるよう促しているわけです。この調和が成立することで“良い意味”での三者鼎立(三つ巴)となり、そこからまた新たな段階での陰陽の引き合いが現れ、より賢い、または高度な対処を求められるようになります。

八卦およびその発展の六十四卦は、どの卦であれそれ単独で存在を確立することはできません。この相対的な世界においては、互いの関係性を知ることでのみ、それらが持つ意味・価値が真に有用なものとなることを良く覚えておかなければなりません。

それでは、これまで同様、思いつくままに震の象徴を羅列していきます。これらが確実に正しいという保証はありませんので、あくまで皆さんがご自身で考察される際の参考として使っていただくことを望みます。

人物象としては、陽気が奮う・活発化し始めるというイメージから「若い男性(古典の表現では長男)」が基本的な象徴ですが、そこから色々な連想ができると思います。個人的には、activateという言葉が震の多くを表現している気がします。また、DNAの起点となるコドンも震および巽がペアとして働いていると僕は考えています。

以下、重複を避けるために「~の人」として列挙していきますが、これを「こと・もの」のように置き換えて物象に関するイメージへと広げてみてください。

青年企業家や活動家、フロンティア/パイオニア/ベンチャーの精神、若者世代に人気のある人、冒険好きだったりで血気盛んな人、勇気ある人(人々の勇気を引き出す人)、最初の一歩を踏み出せるように背中を押してあげる人、鼓舞したり、動機付けたり、叱咤激励したり、応援したりして元気付ける人、暗く沈降した状況に喝を入れる人、希望の光を灯す人、やる気(起動)スイッチを押す人、若気の至りで失敗を恐れない人(猪突猛進する人。でも、一度大きな壁にぶち当たると逆に臆病者や小心者の気が出てきて慎重になることも)、青二才(まだ経験的に未熟な人)、後先考えずに突っ込む人、とにかく行動で試してみる人(思い立ったが吉日で動く人)、新しいこと・困難な課題・事業にチャレンジする人、他の人が恐くて言えないことをズバッと言ってのける人(切れ味の鋭い人)、刺のある言葉を使う人、配慮が足りないと思われる人、危険でもそのスリルやギャンブル感を欲する人、短気や短慮な人、急かす人、喧嘩腰な人、衝動的な行動に出たり感情を爆発させてしまう人(怒りに駆られて暴走するなど喜怒哀楽の激しい人)、お酒を飲むと感情が高ぶってハメを外してしまう人、蝉時雨のようにワーワーギャーギャー騒ぎ立てる人、パニックやヒステリックになっている人、騒音で迷惑な人、逆に大きな音にビクビクする人、ドスドスと足音を立てて歩く人、威嚇する人、番犬のように知らない人に吠え立てたり噛み付く人、権力や気に入らないことに対して抗議の声を荒げる人、爆音を立てて車やバイクを走らせる人、ロックバンドのライブやスポーツ観戦で熱狂的に盛り上がる人々、

(ふと思い出しましたが、この震卦を書き始める直前に見たツイートが上記の性質の一つを代弁していました。これも参考までに。「一般に青年が主張する内容は正しくない。しかし、青年がそれを主張するそのこと自体は正しい。(ジンメル)」)

誰かや何かの広告塔として宣伝する人、コピーライター、SNSなどのメディアを使って(正誤交々の)情報を拡散する人、大言壮語や虚言癖のある人、音響アンプのようなエネルギーや力を増幅する機械を扱う人、発電に関わる人、乗り物や通信に関する機械工・技術者、商品を売るために声を張り上げる人、闘う人、軍人(銃火器や刀剣などの武器を扱う人)、雷や花火のように音響や光(フラッシュ)を効果的に用いる人、地震のように人の感情を揺さ振る人、すぐに動揺しやすい人、びっくりパーティーやいたずらのように驚かす・驚かされる人(インパクトを与えたい人)、色柄やコントラストのキツイ(奇抜な)格好をする人、Youtubeなどで動画放送する人、アナウンサー、突撃インタビュアー、スクープを狙って飛び回っている人、スポーツカーのようなスピードや即効性を求める人、たいてい三日坊主で終わってしまう人(最初の熱意は凄いのに結果を出すまで続かない人)、一発屋で終わる人(そのインパクトで一世を風靡するかもしれませんが)、一夜漬けや山勘に頼る人、短期決戦を得意とする人、主に単発の仕事をこなす人、出張や転勤が多い人、あちこち動き回るのが好きな人、スケジュールが過酷でのんびりとした休みが取れない人・・・などです。

人体では、木行に関する肝臓や気管、動きの基盤に関わる部位(手足の付け根や体幹、素早く力強く動くために必要な筋肉(大腿筋など)、反射神経。病気や怪我もそうした部位が想定されます)、痛みや熱さ冷たさなどの危険を告げる皮膚感覚、性欲・食欲・生存欲求などの本能的衝動など。

基本的に外向的で活発ですが、直観や衝動が行動の機軸にあるため、時に思慮が足りずに自ら危険に飛び込んでしまったり、そのことで批判を買う・叱責を受けるという場合もあるでしょう。その一方で、「すげー!」「勇猛果敢にアタックする姿に元気を貰った!」「生きる勇気が出てきた。ありがとう!」といった賛辞を得ることもあるでしょう。

方位に配当する場合は、先天的には北東ですが、先天の場合は主に意味付けや概念を知るのに使うので、普通は後天での東を取ります。それから時間帯や季節は朝方と春で、陽気が萌えてこれから暖かくなっていく時です。十干は先天との関連では庚、後天では木行との関わりで震(寅卯の明け方)には甲が、巽(辰巳)には乙が対応すると思われますが、六壬でもやらない限りは特に覚える必要もないでしょう。十二支と方位は後天八卦の卯の方位を見ればいいでしょう。


(次回は巽・坎・艮・坤が書けたらUPします。)

 



6 コメント

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ありがたいです (sinsia)
2015-01-21 07:38:58
易経を勉強し始めて1年ほどになります。
やっとこの頃 どう読んでいくかが解りかけたところです。(^^;;
マヤ暦アドバイザーをしており、
マヤ暦と易経はセットになっていて、ブログに投稿したりしていたのですが、こちらの易経の内容がとても解りやすいので、今後は是非学ばせて頂きたいと思います。
どうぞ、よろしくおねがいします。

陰陽五行、生命の木、占星術、カバラ、タロット、風水など、全てが繋がっている事に 今更ながら、、、

私がマヤ暦や易経を学んだ理由は、自分をもっと知りたいからなんです。
易経では地水師に当たり、補完が風水渙と知り驚きました。
私のツインレイと言われた方が風水渙なんです。
直に学びたい気持ちです。(((o(*゜▽゜*)o)))

これからの更新を楽しみにしています。
返信する
> sinsiaさん (CI)
2015-01-22 02:23:51
このブログの書き手、CIです。はじめまして(^^)

コメントありがとうございます。
マヤ暦アドバイザーですかー、面白そうなことされてますね。どんなことをされるのでしょう?

僕自身は、ホゼ・アグエイアスさん系統(高橋徹さん・いずみさん)の本(時空のサーファー、マヤン・カレンダー1、暦のちから)、あとは大沢直行さんのマヤ占い、それと多種あるマヤ暦の天文学的な内容の本とかを10年以上前に読んだことがある程度で、正直あんまり詳しくは知らないです。

それと比べたら易経のほうの理解は多少マシかな、というレベルだと思います。まだまだ分からないことや学びを深めなければならないことが一杯。お互いに学び合えるといいですね。

>易経では地水師に当たり、補完が風水渙と知り驚きました。

これってKin対応ってやつですか? 以前、書店でマヤン・カレンダー2ってのを立ち読みした時に易対応が出てたのを思い出しました。
返信する
ありがとうございます (sinsia)
2015-01-22 22:02:38
マヤ暦もそんなに前に読んでらしたんですね。
アドバイザーとは大それた名前ですが、CIさんの知識の方が優れているかもしれない。(^^;;
普段はマヤ暦の初級講座や、生年月日で刻印を調べてリーディングしています。

易経はマヤ暦にも対応しています。
ガテマラの長老が詳しく知っているそうですが、私たちは対応している易経のホンの少しだけを活用させて頂いています。
が、探究心が強い為に易経にもどっぷりと浸かってしまいました。
最近、独自にマヤ易リーディングなるものを開発し、その方法が事象と易の内容がリアルに合致するので、使っているんです。

こちらの内容を読ませて頂いて、未だ未だ理解出来ていない事が多く、何度も訪問させて頂いております。

月一の易経講座では、待ち切れません。
これからも、よろしくお願いします。
返信する
僕は何になるんだろう? (CI)
2015-01-23 01:48:29
生年月日から求めるんですか。何かブログやサイトで調べられるところってありますか? 自分自身が何の卦になるのか興味があります。良かったら教えてください。

あ、それと、sinsiaさんのブログにもぜひ訪問させてください。もし構わなければURLを入れていただけるとありがたいです。

易は、人間の遺伝子コードにも対応するとも考えられているので、根本的なところで人の運命の核心を表しているのかもしれませんね。また、易は東洋の暦(旧暦・干支暦)とも密接に関係しているので、365日のハアブ暦と太玄易とを比較したりもできそうです。

マヤ暦については17種類でしたっけ、かなり種類があるんですよね。最初はそれを知らなくて、ドリーム・スペル式のカレンダーとは異なる暦や天文計算に混乱してました。

でも、今はそれぞれに用途とか個々に合った適性のようなものがあるのかなーと思ってます。運命学にも様々な種類があるように、用いる人や条件にとっての最適解(使いやすい道具みたいなもの)を見つけたらいいのかも。

何度もブログを読んでいただいて嬉しいです。励みになります。易関連の更新ペースも上げていけるように努力していきます(^ー^)
返信する
マヤ暦 (sinsia)
2015-01-23 04:05:54
マヤ暦のKinNo.は分かりますか?
ネットで出せる13の月の暦では、閏年の3月のKinNo.が一日ズレる場合があります。
http://cosmic-diary-internet.com/whats_cd/

こちらは内容が詳しく書かれています。
http://mayareki.biz

どちらも、易経との関連は載っていませんので、KinNo.が判ればお知らせします。

今朝、ブログにCIさんの翻訳をシェアさせて頂きました。
易経の内容は未熟過ぎるほどで、間違いがあれば正して頂けると嬉しいです。

ご縁に感謝します。o(^▽^)o
返信する
> sinsiaさん (CI)
2015-01-23 05:11:15
サイトの紹介、ありがとうございました。
僕の持ってる本のKINナンバーと同じでした。

そのことに関しては、sinsiaさんのブログのほうにコメントさせていただきました(シェアしてくださったDL Zetaさんの記事のところです)。

今は水星の逆行期で再勉強(re-study, re-learn)にはいいんじゃないかと思うので、改めて易やマヤン・カレンダーについて学び直そうと考えてます。

思えば、まだ八卦の巽~坤の解説をしてなかった! 忘れていました・・・。言い訳を探し出す前に、優先順位を上げて早めに取り組みたいと思います。

現在は易とサビアンの対応で考え直しを進めている最中ですので、その後になりますが。

ところで、「時間を外した日(Day out of time)」ってありますよね。実は僕の妹がその日なので、昔からちょっと気になってます。
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