DP2m
この村のひとたちは、百年後を見据えて山に木を植え続け、
先祖が植えた木を切り続けて、生きてきた。
それは、笑ったり怒ったりしながら暮らす毎日を自分達と同じように、
百年まえのひとたちも送っていたし、百年後のひとたちもきっと送るにちがいないと、
信じているからだ。
自分が死んでも、あとを生きるひとが幸せでありますようにと祈って、
神去村のひとたちは山の手入れをしつづける。
その信頼こそが、愛ってやつじゃないかなあ。
・・・・
もし、明日世界が滅亡するとわかっても、
親しいひとたちを急に殴りまくるようなことはできない。
たぶん俺たちには、信頼と愛がインプットされているんだ。
明日も明後日も百年後も、きっと人々は幸せに暮らすにちがいないと、
楽天的な希望がすりこまれていて、
そこに向かって毎日を生きようとする力が備わっている。
だから、なにかの原因で信頼や愛を見失ってしまったり、
自暴自棄になってしまったりしているひとを見ると、
胸が痛いような気持ちになる。
なにごともなく百年後がくるなんて、
よく考えたらなんの保障もない、バカみたいな希望なんだけどね。
神去村なあなあ 夜話 三浦しをん 抜粋
この村のひとたちは、百年後を見据えて山に木を植え続け、
先祖が植えた木を切り続けて、生きてきた。
それは、笑ったり怒ったりしながら暮らす毎日を自分達と同じように、
百年まえのひとたちも送っていたし、百年後のひとたちもきっと送るにちがいないと、
信じているからだ。
自分が死んでも、あとを生きるひとが幸せでありますようにと祈って、
神去村のひとたちは山の手入れをしつづける。
その信頼こそが、愛ってやつじゃないかなあ。
・・・・
もし、明日世界が滅亡するとわかっても、
親しいひとたちを急に殴りまくるようなことはできない。
たぶん俺たちには、信頼と愛がインプットされているんだ。
明日も明後日も百年後も、きっと人々は幸せに暮らすにちがいないと、
楽天的な希望がすりこまれていて、
そこに向かって毎日を生きようとする力が備わっている。
だから、なにかの原因で信頼や愛を見失ってしまったり、
自暴自棄になってしまったりしているひとを見ると、
胸が痛いような気持ちになる。
なにごともなく百年後がくるなんて、
よく考えたらなんの保障もない、バカみたいな希望なんだけどね。
神去村なあなあ 夜話 三浦しをん 抜粋