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インプットされているもの

2013-11-25 09:04:52 | 雪道
DP2m


この村のひとたちは、百年後を見据えて山に木を植え続け、
先祖が植えた木を切り続けて、生きてきた。
それは、笑ったり怒ったりしながら暮らす毎日を自分達と同じように、
百年まえのひとたちも送っていたし、百年後のひとたちもきっと送るにちがいないと、
信じているからだ。
自分が死んでも、あとを生きるひとが幸せでありますようにと祈って、
神去村のひとたちは山の手入れをしつづける。
その信頼こそが、愛ってやつじゃないかなあ。

・・・・


もし、明日世界が滅亡するとわかっても、
親しいひとたちを急に殴りまくるようなことはできない。
たぶん俺たちには、信頼と愛がインプットされているんだ。
明日も明後日も百年後も、きっと人々は幸せに暮らすにちがいないと、
楽天的な希望がすりこまれていて、
そこに向かって毎日を生きようとする力が備わっている。
だから、なにかの原因で信頼や愛を見失ってしまったり、
自暴自棄になってしまったりしているひとを見ると、
胸が痛いような気持ちになる。
なにごともなく百年後がくるなんて、
よく考えたらなんの保障もない、バカみたいな希望なんだけどね。



神去村なあなあ 夜話 三浦しをん 抜粋