ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

映画「Wの悲劇」 感想

2011-01-29 | 映画


BS2で薬師丸ひろ子さんの映画を特集していて,忙しい週でしたが,
何とか「Wの悲劇」は見られました

もう三回くらい見てますが(笑),好きなんですよねこの映画

まず,話が面白いです
「Wの悲劇」がタイトルになっていますが,これは劇中劇として演じられるだけで,
本筋は,女優志望の女の子の成長物語です

そして,この映画は,映画なのに,むしろ「すべての芝居好きに捧ぐ」というべき作品です。
芝居の魔力に取りつかれてしまった人たちの物語,なのです。

薬師丸ひろ子さん演じる劇団員の静香は,「Wの悲劇」の重要な役である真子役を,
あるスキャンダルをかぶることにより手に入れます。

その結果,マスコミの攻勢を受けますが,記者会見を見事な「演技」で切り抜け,
大きな舞台に立つ。が,しかし…

ちなみに,
彼女が,自らスキャンダルをかぶってまで手に入れた大舞台,というのが,よく見ると帝国劇場なんです
舞台から見ると,1000人以上の観客ってこんな風に見えるんだっと新鮮でした。

と,同時に,その観客から満場の拍手をもらう,というのは,
きっと役者にとって病みつきになる感動なんだろうなとも。
だからこそ,大女優は,その地位を必死で守ろうとし,駆け出しの女優は泥をかぶってでも,それを手に入れたい。

初めてこの映画を見た時は,生の芝居を見たことがなかったので,
どうしてここまでするんだろうという気持ちがどこかにありました。

でも,見る側で芝居にハマっている今見ると,何だか,あり得ない話ではないのかも,
なんて思ってしまうから怖いですね(笑)

芝居関係者では,蜷川幸雄さんが演出家として出演されています。
劇中劇の演出も蜷川さん。
まだ,お若い蜷川さんの,激しい演出振りが見られて,こちらも面白いです

あと,忘れてはならないのが,静香の前に立ちはだかる「大女優」=三田佳子さん
三田さんが,本当にすごいんです,この映画は。
もはや「大女優」にしか見えない,貫禄と迫力。しかも,お美しい

「あたしたちお客様に道徳を教える為に芝居しているの?」
「女優、女優!勝つか負けるかよ!」
などなど,彼女が言うと,すべての台詞が説得力があるんです

未見の方は,是非ご覧下さい

映画 『最後の忠臣蔵』

2011-01-08 | 映画


気になっていた映画,『最後の忠臣蔵』を見てきました

大好きな佐藤浩市さんと片岡仁左衛門さんが出るとあれば,
おじさん向け映画であろうが何であろうが,一人でも行きましょうとも

でも,実際,おじさんが好きそうな映画でしたね(笑)
結末も,これが歌舞伎ならまあ,諦めますが,現代人の私にはう~んっというのが正直なところです。

片岡仁左衛門さんは,大画面で見ると確かにお年は隠せませんが,
大石内蔵助の人間としての大きさを感じさせつつ,気品もあって,

役所広司さんや佐藤浩市さんが演じる赤穂浪士たちが,
命を預けようと思ったのも,なるほど納得できる,そんな大石像で,
とても素晴らしかったです

佐藤浩市さんは,今回は脇役に徹した感じでした。
こんな抑えた演技でも魅せるなぁと,改めて惚れ直しました(笑)

佐藤浩市さんが脇役,ということで,つまりは,この映画は役所さんの映画でしたね

実直で,でも,若い可音に思いを寄せられるのも何だか納得できちゃう,大人の男の魅力もあり,
渋い演技で作品を引き締め,最後まで,じっくり見させていただきました

その可音を演じた桜庭ななみさんも,台詞など技術的には上手いとは言えませんが,
どことなく品があって,初々しい娘役を好演していました

女優さんでは,安田成美さんもすごく素敵でした
もとは,島原の太夫だったということで,
可音と対比されるしっとりした大人の女の魅力を漂わせていて,
朝ドラのおかあちゃんと同一人物とは,最初,気が付きませんでした(笑)

最後の方で,孫左衛門を必死で引きとめようとするとことが,
ドキドキして,でも,哀しくて,すごく印象的でした。

という訳で,役者の個々の演技は堪能できます
あとは,ストーリーが好きかどうか。好きであれば,すごくハマる映画なんだろうな,と思います

2011年夏公開 映画『小川の辺』

2010-12-05 | 映画
南座で海老蔵さんの代役として大活躍中の片岡愛之助さん。
彼のファンのブログで知ったのですが,来年夏公開の映画『小川の辺』(藤澤周平原作)に出演されるそうです

シネマトゥデイの記事によると,
主演は,東山紀之さん,監督は,篠原哲雄監督,ということで,
私の大好きな同じく藤澤周平原作の映画『山桜』のタッグ再び,ということのようです

『山桜』は着物とか,時代劇の所作とかで,いくつか突っ込みたいところがあった以外は,
すごく静かで,余韻のある素晴らしい映画でした

主演の田中麗奈さんが,鬱積した思いと熱い情熱を胸に秘めながら,
静かに耐える主人公を,控え目に演じていて,彼女の役者としての印象が大きく変った作品。

そして,東山紀之さんも美しかった
実は出演シーンはすごく少なくて,台詞はさらに少ないのですが,
清廉潔白な剣の達人,という藤沢作品定番の男主人公を,嫌味なく,しかも印象に残る鮮烈さで好演されていました

映画の作り方としては,時代劇というより現代劇に近い感覚で作られているのかなぁという印象。
なので,一応「若者」の私にも,すごく見やすい映画でした

で,同じ監督&東山さんのタッグで藤沢作品,ということで,
片岡愛之助さんが出演される,ということを脇に置いたとしても,是非観に行きたい作品

しかも,片岡愛之助さんが東山さんが止むにやまれず上意討ちしなければならない,義弟を演じるとあらば
絶対に行かなくてはっです(笑)

東山さんの妹で,愛之助さんの妻である,要の女性の役には,菊池凛子さん。
まともに演技を見たことがないので,彼女のお芝居を見るのも楽しみです

韓国映画「キッチン」 感想

2010-11-25 | 映画


「魔王」の最終回を見た余勢をかって,チュ・ジフン主演作の「キッチン」も見てしまいました
ヘイン役のシン・ミナがヒロインということで,「魔王」のキャストが移ってきたかのよう(笑)

雰囲気はフランス映画風,
シン・ミナは「魔王」の無垢で聖母のような包容力を感じさせる女性とは打って変わって,
世間知らずで,少女っぽさの残る新妻を,
「アメリ」のオドレイ・トトゥ似のコケティッシュな魅力を振りまきながら好演

ま,映画としてはおススメしかねますが,「魔王」のラストで凹んでいた心には,
ちょうどいいリハビリになりました

チュ・ジフンは,スンハと同一人物が演じているとは思えないほど。
セクシーなのに,表情とかは「少年」で,これまた魅力的でした

二人とも役者だなぁ,と思った2時間でした(笑)

『リトル・ランボーズ』 感想

2010-11-23 | 映画
映画『リトル・ランボーズ』予告編


渋谷のシネクイントで『リトル・ランボーズ』を見てきました

友人の誘いだったので,あまり内容を知らずに観に行ったのですが,
主役の男の子が本当に可愛くて
ミニシアターらしい,地味な映画でしたが,楽しめて最後はじんわり暖かい気持ちになりました

ストーリーは,一家で厳格な宗派に属するために,一切の「世俗」の娯楽を禁じられた少年と,
手のつけられない悪ガキ少年が,ふとしたことから出会い,映画製作にのめり込んでいく…
というのが,前半。

二人の間に友情が芽生えて,でも,その友情が危機に瀕して…というのが,後半。

ま,よくある話と言えば,そうなのですが,
主人公の少年が,か細い体で「ランボーの息子」になりきっているのが,
本当に微笑ましくて

それから,キリスト教の原理主義,厳格な宗派の信徒の生活が垣間見られたのも面白かったです
彼は,学校で教材として見せられるビデオすら,見ることができないのです

そんな彼がいきなり「ランボー」を見てしまうのですから,
すごい衝撃を受けたのも納得ではあります

あと,悪ガキ少年の方も,後半はすごく健気で可愛くて,
むしろこっちの方が愛おしくなります(笑)

という訳で,子役の魅力全開のほのぼの系映画。
安心して見られるし,ほっこり感動できて,いい映画でした