combatfoxの日記

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ハスコックエピソード・シーズンⅡ

2011-04-15 18:40:24 | ミリタリー
ベトナム戦争

ハスコックは一九九九年、多発性硬化症でこの世を去ったが、その活躍は、戦争で発揮された驚くべき忍耐力と集中力と勇気を示す最高の事例として、今も輝きを失ってはいない。ハスコックは敵の間では「白い羽毛」を意味する「ロン・チャン」の名でも知られていた。(ハスコックが愛用していた迷彩よう帽子に白い鳥の羽をつけていた事に由来する)

情報によると、十分な訓練を受けた敵の狙撃兵一二名が、ロン・チャン捜索のため南へ向かったことがあるという。

会話部分などを分かりやすいよう人物ごとに色分けしています。
ハスコック一等軍曹  ジョン・バーグ上等兵  敵狙撃兵「通称コブラ」
プロローグ
五五高地の近くでハスコック一等軍曹ジョン・バーク上等兵は、その一人と戦闘を開始した。コブラと呼ばれていたその敵兵は、ハスコックを一対一の対決に引き出すため、海兵隊員数名を狙撃していたのである・・・・・・
                     〆
「太陽は西の空に傾き、日差しは高地にいるハスコックバーグの背にあたり、草におおわれた広い斜面に長い影を落としていた。斜面のふもとには溝があったが、そこからはアジア人特有の切れ長の目が二つ、黒い双眼鏡を通して斜面を注視していた。敵の狙撃兵は、『白い羽毛』の姿を求めて、木の幹を一本一本、低木の茂みを一つ一つ、じっくりと観察していった。『こういう傲慢さが命とりになるんだ』狙撃兵は、正面の遮蔽物を動かしながら、そう考えた。『自慢するとどういうことになるのか、教えてやろう。ここでは謙虚な者が勝利するのだよ、君』木々が稜線の最上部と出会う高地頂上に再び双眼鏡を向けると、今度はなにかが目に入った。暗がりのなかで、小さいなにかがチラチラと光っている。男はいったん目をぎゅっと閉じると、改めて双眼鏡をのぞき、逆光でまぶしい西日の向こうになにがあるのか、目を凝らして見た。『どうやら、見つけたようだぞ、白い羽毛の戦士君』よどみない落ち着いた動きで、この北ベトナム軍狙撃兵は、溝からライフルを持ち上げると床尾を方に当て、塹壕の上の地面に置いた左手で銃身を固定した。そして小さなスコープであの海兵隊員の居場所を見つけて殺そうとスコープ内部の先の尖った照準に神経を集中させたが、太陽がまぶしくて標的を見失ってしまい、つい銃を傾けた。

『あれはなんだ?』ハスコックが言った。なにかが光るのをスコープでとらえたのだ。
(中略)
『ちょっと動かないでくれ、バーグ。いちかばちか撃ってみる』ハスコックは、キラキラと光るものにスコープの十字線を慎重に合わせた。息を吐き、十字線を標的に重ねると、そのまま銃を発射した。三〇-〇六スプリングフィールドの銃声が斜面を駆け下り、木の生えていない広い峡谷に響きわたった。
(中略)
『ハスコック軍曹!命中です』バーグが言った。銃弾が命中すると、反射光が消え、代わりに息たえた兵士の体が現れ、溝の反対側に勢い良くぶつかった。ハスコックは、にっこりと微笑むと、こう言った。『一撃必殺さ』
(中略)
バーグが先に死体のもとに着いた。そして軍曹に顔を向けると、こう言った。『こんなこと、自分の目で見るまでは誰も信じないでしょうね。銃弾がスコープを貫通してまよ!』
(中略)
『バーグ、私はちょっと怖くなったよ。こんなふうに撃てる方法は一つしかないからね』バーグは怪訝そうな顔をした。『どういうことです。軍曹?』『ちょっと考えてごらん。私の銃弾がスコープをきれいに貫通して、そんなふうに目に当たるには、彼がライフルの照準を私にピタリと合わせてなくてはならない』『じゃあ、こいつも軍曹を撃とうとしているところだったんですね!』『そのとおりだ、バーグ。ということは、私と彼との違いは、私の方が先に引き金を引いたということだけになるんだよ』
                 Fin

上記エピソードは某書籍より転記した内容です。

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