ひとりごと

Oh my God!!

「超入門 失敗の本質」 鈴木博毅 ★★★★

2012年07月29日 | 感想文
大東亜戦争時の日本軍と、現代の日本は非常に似ており、同じような弱点を晒している...という。
日本軍は、初期の快進撃から一転、守勢に立ったのちは、「これまでの戦闘方法が通用しない」状態に大混乱し、突破口を見つけられないまま敗戦を迎えた。
日本製品が世界を席巻した80年までの日本とは打って変わって、現代日本は新しい時代への展開を必死で模索している。

だからこそ、日本軍が何故負けたのかを考え同じ過ちを繰り返さないことが大切なのである。

日本軍が何故負けたのか?
その一つの大きな要因は、「日本軍の戦略があまりに曖昧だった」ことである。
戦略とは、「どこで勝てば最終的な勝利につながるか」を決めることである。
日本軍は、この「どこで勝つべきか」が曖昧だったがために、無駄な勝利ばかりに努力が費やされた。
「目標達成(最終的な勝利)につながらない勝利」ばかりに努力したのだ。
日本軍の努力の実に70%もが「目標達成につながらない勝利」に費やされたという。
一方の米軍は、劣勢の状況の中、「目標達成につながる勝利」
だけをつかみ取った。
そして、戦局を逆転させ、最終的な勝利を掴みとった。

「どこで勝つか?」
これは具体的な戦場だけのことではない。
「どのような指標を追い求めてで勝つか?」だとも言える。

日本軍は、「戦場での一大勝利」がそのまま国家の勝ち負けを決めると考えていた。
だからこそ、「どこかの戦場で大勝利する」という指標を追いかけた。
しかし、実際は、「国力、生産補給力」こそが勝敗を決めた。
つまり、「国力、生産補給力の増強」こそが本来追い求めるべき指標であり、「どこかの戦場で大勝利」は間違った指標であったのだ。
勝つために指標を正しく決めることが、「目標達成につながる勝利」を決めることであり、そして戦略なのだ。

そして、既存の指標を追い求め続けても、勝ち続けることは難しい。
勝つためには以下の3ステップが重要だ。

1.戦場の勝敗を支配する既存の指標を見つける
2.敵が使いこなしている指標を無効化する
3.支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦う

既存の指標を追い求め続けても勝てないのは、新たな指標により無効化されてしまうからだ。
この3つのステップを通じて米軍は、日本の追い求める指標を無効化し、勝利した。
一方の日本軍は、無効化された指標を追い求め続け、敗北した。

この3ステップにより、ゲームのルールを変えてしまったとも言える。

現代においてもアップルやインテルは、新たな新たな指標を示し、復活した。
一方で新たな指標に気づかずに(気づいてはいるが?)古い指標を未だに追い求め続ける日本企業。

日本軍の敗北から学ぶべきことは実に多いと言える。

「ルポ 餓死現場で生きる」 石井光太 ★★

2012年07月15日 | 感想文
「僕らが子供兵だったという過去は一生消えない。胸の奥には様々な感情があると思うけど、それを言葉にしたところで何もはじまらない。だから、今は黙って目の前にあることを一生懸命やっていくしかないんだ」

タイトルの通り"餓死"するような貧困の現場で、"生きる"ことをテーマにした本だ。

飢餓に瀕している子供だって、サッカーをする。
路上で暮らす少女だって、化粧や花で着飾る。
どんなに貧困であろうと彼らも普通の人間であり、生きているのだ。
彼らも生きている、まず忘れてはいけないことだ。

貧困には、児童結婚、児童労働さまざまな問題がある。
だが、それを一概に禁止してはいけない。
どのような社会背景の中で行われ、どのような意味を持つのかを考える必要がある。
そして、何が出来るか自分なりに考え、行動することが大切なのだ。